ブログをたどり小町物語1・2・3から読んでね
できるだけわかりやすく、現代語で書いてあります。
私は、笛吹きであるあの方の事、私の生涯で初めて恋をし、慕うておりました。
桜の木の下、2人きりの恋愛慕情。
毎日毎日、灯りの消えたその夜、私はそそくさと服を着替え、あの方のもとへ…。
会いたくて…会いたくて…愛おしくて…愛おしくて…その思いだけが私をつき動かしておりました。
しかし…。
毎日をうつろうつろ過ごす私の異変に気が付いた父君、
そして舞の席で紅をぬり、めかし込む私に父君は、(何かある…。)と気がついていたのでした。
父君の使いである男が、私の後をつけ、全てを見て、父君に報告をしていたのでした。
愛しいあの方の事、そして2人の事…。
桜の美しき季節、桜の満開の夜でありました。
今日もいつものように服を着替え、桜の木の下へと向かう私。
その後を追う男。
恋をしていたら、何も見えないし、気が付かないものなのですね。
追っ手がついている事…少しも気がつきませんでした。
その夜も月夜美しく、桜満開、桜の香り香る中、私はあの方へ言しました。
(小町)「みょうは、そなたの事、心より慕うております。そなたのもと、身を寄せたい…。」
(あの方)「………。」
美しき微笑を浮かべ、笛を吹き始めました…。
あの方の肩へ身を寄せました。
笛を吹き終えたあの方は、申しました。
(あの方)「美しい。あなた様は、その美しき髪、その美しきお召し物がお似合いでございます。
私のような笛吹きとは、ふつりあいでございます。」
(小町)「いらぬ、身分などいらぬ、そなたを慕うておるのじゃ。」
あの方より抱き寄せ接吻…。
(あの方)「私もあなた様を心より愛おしくお慕いしております。しかし……………。」
なぜじゃ、なぜじゃ………涙をこぼす私の涙をぬぐい……
(あの方)「わかりました。私が一人前の笛吹きになった時、あなた様を迎えに行きます。必ず迎えに行きます。それまで……お待ちください。」
(小町)うなずく………。
二人はかたく抱き合い、桜満開、月夜の美しく光指す中、接吻を……。
離れたくない。一時も離れたくない。
しかし…それがこの美しき笛の音を聞く最後、そして、この美しきあの方のお顔を見る最後、そして私の生涯愛する方との最後の夜となるのでした。
明日、慌ただしく私は、父君のもとへと呼ばれました。
目をうつろいながら、父君のもとへと向かいました。
(小町)「何事でしょうか。」
(父君)「あの笛吹きは、今日よりそなたのもとは、訪れぬ。
あのふとどき者、身分貧しき育ちの上、そなたをそそのかすなど、本来ならうち首じゃ。
あのやからは、今拷問にかけておる。
二度と笛なぞ吹けぬように。
そなたをそそのかした罪じゃ。
もし今度会うような事となれば、奴は、うち首じゃ!!」
(小町)「…………。」絶句……。
(小町)「父君、私です!私がいけないのです!あの方へ文を渡したのは、私なのです!!おやめください!!おやめください!!」
涙………………………………。
(父君)「今すぐ身支度をするのだ。」
私は、それからというもの様々な土地へと父君の命により移りました。
→次に続く
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