飛行機を降り特別待合室に通され手続きが済むのを待つが外に待ち構えるマスコミの対策に
護衛の人達がピリピリと緊張しているのがわかる。
私も…久しぶりにカメラの前に立つ事にどうにも緊張してしまう。
余裕そうに読書に耽るシン君が少し羨ましくもある。
「ふぅ~」
「なんだ緊張してるのか?」
「そりゃーね! 久しぶりだし…。私の顔固まってない? 大丈夫?」
必死で自分の頬をつねったりひっぱったり顔がほぐれる様に引き伸ばす。
その顔があまりにもおかしかったのかシン君がお腹を抱えて笑い出した。
「ぷっ、ハハッ。お前はいつもかわいいよ」
「ちょっとシン君! 笑い事じゃないんだからねー!」
笑いながらもシン君の手は私の髪を優しく撫でてくれる。
こんな些細なやり取りにも私の緊張はほぐれていく。
シン君には敵わないな、私の不安も緊張もその瞳を見つめるだけでスゥと消えていく。
「殿下、お車の準備が整いました」
コン内官のおじさんに報告を受けるとスッと立ち上がり居ずまいを正すシン君。
その横顔はいつもの皇太弟の顔つきで…。
私はやっぱりこんなシン君も好きだなって再確認。
「さあ、行こうか。妃殿下」
「はい、殿下」
私達はいたずらっぽくお互いを呼び合い手を取った。
この手を繋いでいれば何があっても大丈夫。
不思議とそう思えた。
特別室から車まではわずかな距離、でも押し寄せる人並みに思うように進めないもの。
フラッシュの嵐に目をつぶってしまいたくなるけれども、ここは国民に元気な姿を見せようと必死に笑顔を送る。
「妃宮様、ご帰国おめでとうございます。今のお気持ちは!」
「殿下、今回の事故に対してどのようにお考えですかっ! 妃宮様の体調はいかがですか?」
「殿下、妃宮様、何か一言!」
予想どうり記者からの質問は絶えない。
一つ一つ質問に応えるわけにはいかないけれど、私の帰国を許してくれた国民へ一言お礼が言いたかった。
するとシン君が私の気持ちを察してくれたのかマスコミに向けロイヤルスマイルを送り挨拶を始めた。
「ご心配をお掛けしましたが幸い怪我も順調に回復し妃宮はこの通り健やかに帰国できました。
これも日頃から私達を支えてくださる国民の方々のお陰です。どうぞこれからもいたらぬ二人ではありますが、温かく見守ってください」
「国民の皆さんこうして無事に帰国できました事に感謝致します。これからも殿下と共に皇室を守って行きたいと思いますので皆さんどうぞ見守っていてください」
隣にいたシン君が少し驚いた顔をしているのがわかる。
少しは妃宮様らしくなれたかな?
マカオに居る間チェ尚宮お姉さんからのお妃教育はそれはそれは厳しいものだったもの。
シン君に釣り合うお妃さまになりたい。そう心から思えたから必死に勉強したのよ。
そうして私達は車へと乗り込み家路へと急いだ。
晴れ渡る空は清清しく青々と生い茂る緑の風を誘う。
流れる雲は揚々に夏の訪れを感じさせた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
Next → Ep6の④
参加中であります、励みになります。よろしければ1日1ポチッとしてください。
にほんブログ村