空港を後にした私達は宮殿へと向かっているところ。
病院に向かう前にどうしも宮殿に行きたいと言う私の我がままを渋々シン君が聞いてくれた。
沢山心配をかけたからキチンと会って元気な所をみせたくて…。
シン君はそんな事退院してからでも良いって言うけどやっぱり宮殿に戻らないと帰ってきた気がしないしね。
車が宮殿に着くと降りた先には沢山の尚宮さんや女官のお姉さん達、内官のおじさん達までもが皆で出迎えてくれた。
皆、口々に「妃宮さまおかえりなさいませ」と言ってくれている。
中には涙まで流して喜んでくれている人もいた。
ここにいた頃はみんな感情もなく機械のように働く人たちだと思っていたけれど、こんなにも温かく歓迎してくれて私の方も涙がでちゃうわ。
でもしっかりしなくちゃいけない、皇族が尚宮達の前で涙をながしてはいけないから。
ここは凛と姿勢を正し妃宮として振舞わなければいけない。
「皆さんお出迎えありがとう。みんなに会えて私も嬉しいわ。また宮殿に戻ってきたらよろしくお願いしますね」
涙を堪えた精一杯の笑顔で皆へと言葉を送る。
すると一斉に深々とお辞儀をし、かしこまってくれた。
やっぱりちょっと慣れなくて恥ずかしいけれど、隣にいるシン君が満足そうに微笑んでくれた。
慈慶殿
「皇太弟殿下、妃宮様がお見えになりました」
「おぉ、すぐに通しなさい」
尚宮さんに通された私達はお祖母様のお部屋へと足を進める。
そこには優しい笑顔で迎えてくれる家族の姿があった。
部屋の中ほどまで車椅子をすすめるとお母様が駆け寄って来て強く強く抱きしめてくれた。
「妃宮、無事でよかった。どれほど心配した事か…。そなたにばかり辛い思いをさせてすまなかった」
「お母様…」
「これ、皇太后。私にも妃宮の顔をよくみせておくれ」
「も、申し訳ありません、太皇太后様」
いたずらっぽく笑う可愛らしいお祖母様が目に入ってお母様と顔を見合わせて笑い合った。
あぁやっとここに帰って来れたんだ。
家族の下に…。
「お祖母様、ただ今帰りました。ご心配お掛けして申し訳ありません。でも私はこの通り元気です!」
「お帰り妃宮、遠い異国で独り暮らすのは寂しかったでしょうに、すまなかった」
「妃宮、お帰り。私が言えた事ではないが油断は禁物だ。身体を大事にしなさい」
「ふふ、本当お父様は言えないわ。妃宮お帰りなさい、辛い想いをさせてしまったわね、これからはシンと二人仲良くすごしなさい。ゆっくりと身体を労わるように」
皆が私を気遣ってくれているのがわかる。
でも私はマカオに行った事を後悔はしていなかった、それが分かってほしくて…。
「ありがとうございます。確かに辛い事もありました、でもそれ以上にマカオは私にとって学ぶべき事も多く充実した日々でした。この国を出て初めて気づけた事も多いのです。この経験を生かしてこれからも精進していきたいと思っております」
「まぁ妃宮、たった半年で見違えるようだわ、よほどチェ尚宮の教育は厳しかったのね」
「へへ、そうなんですよ、 お母様」
私はお母様に褒められて照れているのを隠すかのように笑った。
皆も笑顔になるのが嬉しくて、ここに戻ってこれた事が嬉しくて、涙がでそうになるのも隠すように沢山笑った。
「そうだチェギョン! あなたが居なかった時のシンの話をしてあげましょうか?」
「ちょっと姉さん!」
話は尽きる事がない。
笑顔も耐える事がない。
私は大切な家族に囲まれて時が経つのも忘れて笑っていた。
そよぐ風は香しい華の香りを運んでいる
窓の外には【変わらぬ愛】の名を持つ桔梗が咲き乱れている
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