神宮寺三郎DSの4作品のうち、1番最初に発売された『神宮寺三郎DS いにしえの記憶』をプレイたので感想を書きます。

ソフト名にもある『いにしえの記憶』の他に、シリーズ1-4作目(を携帯アプリにリメイクしたもの)と携帯アプリ版のオリジナルストーリーが収録されているようです。神宮寺三郎は初めてだったので、1作目からじっくりプレイさせてもらいました。

収録作品は以下の通り
・新宿中央公園殺人事件
・横浜港連続殺人事件
・危険な二人
・時の過ぎゆくままに…
・アカイメノトラ
・いにしえの記憶


※※ネタバレ注意※※


新宿中央公園殺人事件

とりあえず最も古そうなお話からプレイ。シリーズ1作目(ファミコンソフト)のリメイクらしいです。

内容は1時間20分くらいと結構短め。アニメで金田一少年が事件を1つ解決するくらいの長さでしょうか。さーっと聞き込みをしてざっと終わりました。ゲーム内でも所要時間は4日です。

初めてプレイ画面で神宮寺さんを見たとき、ちょっとびっくりしました。なんせ探偵というよりマル暴の刑事のような容姿していますので。パッケージしか見てなかったためか思いの他ゴツかったです。…まあカッコいいのですが。

意外なことに、プレイヤーが推理していくタイプのゲームではなくて、選択肢を総当たりすれば誰でもクリアできる超楽ちんシステムでした。こんだけ大人っぽい雰囲気出しといて、どんなアホでも出来るゲームだとは。携帯版にするにあたって、めっちゃ簡略化されている可能性がありますね、これ。


さてこの事件ですが、熊さんの依頼にもかかわらず警察の協力が少ないのですよ。被害者宅の情報とか病気の内容とか、普通は警察の方で調べて持ってきてくれるレベルの情報が入ってこないので、現地に行って調査するしかない。特に前半の内容は、「どうせ依頼する側が情報持っているだろ?寄越せ!」としか思いませんでした。神宮寺シリーズが初めての自分は、「この世界の警察って冷たいの?それともろくに働かないの?」と少々驚きました。

そして実際調べに行くと、探偵の名刺効果の凄いこと凄いこと。病院の窓口でも警察手帳レベルで信用してくれます。いやただの名刺ですよね、それ。
もしかして警察の代わりに探偵が動きまくる世界なのかと疑ってしまいました。

後半になると、『戦う』『脅す』とかいうコマンドが出没しました。探偵って何故かよく戦いますよね…
それにしてもチンピラボコって脅してから警察に通報した訳ですが、明らかに過剰防衛レベルではないでしょうかね…。まあ探偵にはよくあることですが

終盤の加害者を呼ぶ段階になれば、アホでも誰が犯人かの察しがつきます。あれ?これ警察が普通に捜査したら分かったんじゃね?というくらい分かりやすくて、推理する余地がありません。

犯人さんは、「お薬横流ししたせいで失敗した手術がバレそうだから患者(被害者)を殺した医者」なわけですし。殺人事件で検挙できなくても、他のところで逮捕できそうなんですよね。なんで熊さんこれ依頼したんでしょう…。


なんと言いますか、このお話しだけ見るとよくここからシリーズ物に出来たなと不思議に思います。多少チンピラが関わっているとはいえ、本当にただの殺人事件としか言いようがないのです。正直神宮寺三郎がカッコいいだけの作品って印象です。


横浜港連続殺人事件

シリーズ2作目。所要時間は1時間くらいです。システムに慣れてきたせいか、ちょっと短く感じました。

神宮寺の部下である洋子さんは、1作目だと事務所にいるだけという置物程度の扱いでしかありませんでしたが、今回の洋子さんはちょっと捜査に加わっていました。しかも結構有能みたいです。流石は(助手ではなくて)部下って感じです。

このお話から『あいさつするコマンド』や『お礼を言うコマンド』などが増えたような気がしました。情報集めるだけでなくきちんとコミュニケーションをとるコマンドを用意しているところが、アドベンチャーゲームしている感あって良いですね〜。

前の事件では探偵の出る事件か疑問が残りましたが、今回は領事館がらみですぐに警察が手を出しにくいっていう理由がついていました。ちゃんと普通に人探しの依頼でしたし、捜索対象の女性も可愛らしくて良い感じです。


この事件は犯人が分かりやすいものの、展開がちょっとひねってあって前作より意外性がありました。サブタイトルには名前負けしていますけどね。連続殺人事件って言う割にはあんまり関係ない人が2人死んだだけですし、片方は名前さえ出てこないし。

ちなみに今回は『戦う』コマンドが2回も出てきました。ロバートは良いとして、ヤクザは流石にもうちょっと頑張りなよ。なんで3人いるのに逃げるんですかねー。


危険な二人

シリーズ3作目。事件がちょっと複雑化したためか、プレイ時間は1時間20分程度でした。

この事件は2作目で出会ったリョウ・ケイコクと再会したり、洋子視点で進められる箇所があったりと、結構楽しめました。

特に神宮寺さんのはっちゃけ具合が最高です。呼び鈴は押しまくるし、慎二さん追いかけるためにその辺のバイクを強奪するし。乗っている間は完全にハイになっていますし。そのバイクの持ち主がカンカンに怒っているのを見て、『重要なバイクなんだろうな』とか思ってますし…強奪したら普通怒りますよ。しかも他人のバイクを『借りたのに』とか言ってますよこの人、どう見ても奪ってますよ。

暗号文とか車のパズルとか、推理じゃないけど考えさせる要素なんかもありました。自分、こういうの好きですよ。

結局サブタイトルの『危険な二人』って、誰と誰なんでしょう。慎二と高杉のことなんですかね。謎です。


時の過ぎゆくままに…

シリーズ4作目。2つの事件が絡んでいるため、所要時間は1時間半とまた少し長くなりました。回想形式で1年前のおはなしをやるっていうのが良い味出してます。

作品ごとに徐々に出番が長くなってきた洋子さんが、遂に1つの事件を完全に担当してきました。ここまでほとんど神宮寺視点だったので、洋子さん視点っていうだけで新鮮味があります。途中神宮寺さんに切った髪を褒められて、『切ってよかった』って思っている洋子さんがツボ。元がショートカットだから画面上では区別つかなかったけど、きっと可愛くなっているのでしょう。それにしても、美容院のニッキーはド派手だったな…。

システム上では、今回『暴く』コマンドという証拠を突きつけていくものがあり、推理してい
る感がありました。簡単なものでもちょっと考えさせられる部分があると楽しいです。


3作目までは、キャラクター性は良いけど事件は今一つな印象でしたが、この事件は素直に面白かったです。全然別物に見える事件が融合していくのは、王道ですがやはり良いものです。それに誰も死んでないから、解決したあとがハッピーエンドでスッキリしました。

まあ英二とお父さんにはイラッとしましたけどね。英二は理由言わずに金借りられると思ってんのか!クソ親父は探偵事務所で孫にした仕打ち忘れてねーぞ!淳子なんて英二の証拠消すためにずっと外で頑張ってたよ、多分!周りの人の心労を考えなさいよ!っていうことでして。

なんにせよ、健一くんが元気で良かったです。


アカイメノトラ

アプリ版オリジナルで、40分くらいでサクッと終わらせられました。事件自体も凄く単純。『考える』コマンドを見ると、スラスラと次の手を示してくれるので楽にプレイできます。ユーザビリティ最高すぎて考える部分がありませんでした。

この回はサラッとしていて事件についてはさほど印象に残っていません。なんせ推理していない内に、犯人が向こうからやって来て武力で解決しちゃいましたからね。正直、和香にパパと呼ばれてうろたえる神宮寺が1番面白かったくらいです。

それにしても、随分と暗号好きがいましたね。カジノの合言葉やら工場の場所やら。


いにしえの記憶

このソフトの新規ストーリーで、所要時間は1時間5分。仔犬探しをする神宮寺は妙に似合わない。

パッとしないニートである小杉さんの視点が多かったのがなんともなあ。どう考えても騙されないところで騙されるし、オドオドしてるし、読んでいて困惑しました。

こいつを通して神宮寺さんのかっこよさを再認識しろってことでしょうかね。おかげで神宮寺視点に切り替わったときの頼もしさが凄かったです。


ただの勘違いで仕掛けてきた木ノ下といい、全体的にかなり大味な事件でした。神宮寺さんの逮捕されるシーンや、警察のヘリがやって来るシーンなど、派手な演出で誤魔化してる感あります。…まあカッコいいのですけど。

サブタイトルが『いにしえの記憶』なのですが、その記憶が(おそらく)ソフトに同梱しているお話だったせいで、自分から見ると『さっきまでの記憶』になってしまいます。ファミコン時代から考えると古い話って意味なんでしょうけどね。


謎の事件簿

オマケ要素です。6本の短いシナリオが存在します。本編がハードボイルドっぽい雰囲気でしたが、謎の事件簿は結構ギャグ風味です。それでいてめちゃくちゃ推理されられます。推理中に1つでも選択肢を間違えると、即bad endになるという仕組み。こっちの方が推理ゲーム感強いので、人によっては謎の事件簿の方が楽しく感じるかもしれません。全部で2時間程度、ボリュームもおまけとして十分でした。


1.民俗学者殺人事件
いきなり洋子さんがキャラ崩壊していてビビりました。「殺人事件」って、ギャグ描写なのに人死ぬのかよ!…しかも本当に死んでますし。被害者に睡眠薬飲ませてる状態でダイイングメッセージを作るアホが犯人ですが、これがあったおかげで分かりやすかったです。2回間違えただけでクリア出来ましたし。


2.天使切断事件
可愛い事件でしたね。犯人わかったねー、じゃあみんなで焼き肉でも行こっかーてなりそうなほんわかしたお話でした。


3.調査写真バラバラ事件
写真の並び替えが結構難しかったです。2回目の並び替えでこんがらがってミスしました。…しますよね?普通。


4.しぐれ荘密室殺人事件
ワイヤートリックだということに気がついても、
ワイヤーの通し方なんて分かるかあーー‼︎
ミス連発しながら何度もやり直してクリアしました。犯人、凄い。


5.クリスマス殺人事件
コナンでこういうトリックあったよな!てなりました。ノーミスでいけると思ったのに、最後の最後でつまずきました。日曜って朝刊あるんですね…。


6.三郎と不思議なホテル
タイムテーブルめんどいです。あとは楽勝。


パスワード

全ストーリークリアしてもパスワードなんて見かけた覚えがありませんでしたが、前の持ち主が全部解放していたようなので、中身が見られるようになっていました。

もうこれで終わりだなーってときに、「謎じけおまけ」が出てきてびっくりです。結構難しい暗号を解かされたせいで、全部で1時間くらいかかりました。まあ自力で解けたのは2と4だけで、あとは分からなすぎて総当たりでクリアしましたけどね…。


まとめ

がっつり足で捜査する探偵でしたよ。自分はコテコテの推理系を想像していたので、ちょっと意外でした。その分おまけで推理しまくっていてバランスが取れていました。

ストーリーで良かったのは『時の過ぎゆくままに…』です。他は小粒な印象を抱きました。

キャラクターは、メインキャラからストーリー毎のゲストキャラまで全体的に濃かったです。全部で10時間くらいのゲームの中で、印象に残るキャラクターが沢山いたのは凄い。

新規で神宮寺をプレイした自分からすれば、全体的にちょっと短いけど定価で買う価値くらいはあるかな、くらいの面白さでした。


○シリーズ次作感想