改めて 「ナナシ」の感想 書いておく(字余り) | 『感情の温度』

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昨日は、色々興奮してて(笑)ちゃんと書けなかったので、改めて「ナナシ」の感想を書こうと思います。


ざっとあらすじを書いておくと、徳川家康に仕える伊賀忍者が主人公で、玄武と名乗る正体不明の者により人間の力を遥かに越えた力を手に入れた家康の命を狙う暗殺集団「四神無双」を殺すよう命じられて、旅に出るといったもの。

タイトルの「ナナシ」とは、主人公の死んだはずの兄が、死んだとされたことにより受け継いだ「服部半蔵」の名前も家も失った為(その名前は弟である主人公が継いだ)、名無しになったから、そう名乗ってたと。

そんな兄と共に主人公達は四神無双の一人一人と顔合わせていくんやけど…主人公目線にしたらその四神無双は「敵」なはずなんやけど、一観客として傍観してると、そんな四神無双を「敵」とは簡単に割り切られへんのよね。

四神無双の一人である青龍は、昔盗みに入った家康の家で親友を殺されたっていう完全な逆恨みから家康の命を狙うんやけど(笑)←それはそれで面白い(笑)

白虎は愛してる朱雀(女性です)と、朱雀のお腹に宿白虎のかつての友人(家康の命により暗殺された)の子供を守る為、朱雀はかつての恋人を殺された怨みから…と気持ちは分かるだけに、主人公の「敵」とはいえ観てると複雑な心境になります。

しかも、白虎と朱雀の関係も実はもっと複雑で、白虎はもともと家康の命令により、甲賀(朱雀はクノイチ)に潜り込んでた家康の手下で、でも潜り込んでるうちに朱雀を愛してしまい、その時朱雀の恋人であった忍者を暗殺するように家康に命じられて殺してしまうんよね。

でも、朱雀にはそのことを打ち明けられずに、恋仲になってしまい、家康を裏切って暗殺を企てるっていう…。

ただ最終的に白虎は、家康にしか「天下泰平」を成し遂げられへんと考え寝返るんやけど(家康を生かすことにした)、そういう色んな人物の背景がこの舞台の面白いところっていうか、醍醐味というか…。

普通のテレビでやってる時代劇とはまるで違って、「敵」は分かりやすく「悪」ではなく、そのキャラクター一人一人の事情であるとか心理とか抱えてるものがちゃんと描かれてるから、死んでしまうと悲しくてね。

偉そうな表現にはなるけど、ホンマによく出来たお話でした。

二年かけて綿密に打ち合わせを繰り返し30-DELUXとアクションクラブが温めてきたお話というだけのことはあり、ホンマに傑作やし、大作やと思います。

どのキャラクターも愛せるというか…家康(アクションクラブの社長が演じてます)も最初は馬鹿で厭な奴な気がしたんやけど、ラストでそれだけじゃないって気付かされて、みんなそれぞれやり方は違えど、戦乱の世を終わらせたくて「天下泰平」を願ってるのは同じで。

そこでまた現代人である自分は色々考えさせられました。

私達はそこまで先のことを見据えて「今」を生きてるんかな?って。

未来を踏まえた上で何かしてるかな?って。

今でいうと「エコ」はその感覚に近いっていうか、地球の未来の為、今後生まれてくる人や生き物の為に必要なことやけど、自分の生きてる間に何かがあるわけじゃないから…って考えてる人が多いんじゃないかなって思いました。

勿論自分もそんな偉そうなことが言える程のことは出来てないけど…。

あと、歴史って学校で勉強するけど、やっぱり「勉強」というだけでこっちも構えちゃって嫌気がさすから頭に入らへんし、興味すら持たらへん人も居ると思うから、こういうお芝居のDVDとか使って授業したら、学生も身近に感じられるし、楽しく頭に入って、尚且つ心に残るもんもあるんちゃうかなと思いました(笑)

私は、伊賀地方に引っ越してきて、もう25年ぐらい経つけど、此処の歴史なんてちゃんと教わったことないし、忍者の里(伊賀市には上野城周辺にそういうものがあります)には行ったことあるけど、詳しく勉強したことはないから、その地方の例えば戦国大名とか歴史上の人物の勉強という授業を取り入れたら、自分の住む所にもっと愛着が湧いたり、「ナナシ」を観て私が思ったように「こういう人達が居たから今の伊賀地方があり、私が存在出来てるんや」と思えたりするんちゃうかなって、そんなことを思ったりしました(笑)

「ナナシ」はそういう意味でも、私には勉強になったし、響くものが確かにあった作品でした。

渡辺の大ちゃんが出てることがきっかけで軽い気持ちで公式サイトを見にいったら、めっちゃ写真がカッコ良くて、その写真見た瞬間「これは絶対面白くなる!」って確信して、その他のキャストをチェックしたら、去年「台風14号もんしろ」(これは30-DELUXの作品ではないけどめっちゃ面白いです!)にも出演してた清水さんとタイソンさん(この人達が30-DELUX)が出てて、何か嬉しくなって(過去に舞台で観た人達の活躍が妙に嬉しく感じるんです)観に行くことを決めたんやけど、あの時感じた確信以上の作品でした!

公演はもう終わっちゃったから、是非観に行って下さい!とは言われへんけど、DVDは是非見て頂きたい!(笑)

テレビではスポーツ万能で頭も良い水野裕子さんも四神無双の一人として出てるんですが、芸能生活10年なのに、お芝居の仕事はずっと避けてきたらしく、本作が初めてみたいなんやけど、この作品を経て、お芝居に対して前向きになれたそうなので、それぐらいの力がある作品やと思います(笑)

紅一点で、他のキャストより遥かに小さい身体やのに、殺陣のシーンは他のキャストに引けを取らへんカッコ良さと迫力やし、ホンマに一人一人のキャラクターが「生きてる」素晴らしい作品でした。

ベタ褒めやけど、私が今まで観てきたどのお芝居より一番面白いと思った作品やったので、褒めるところしかないっていうか、思い返す度に「よく出来た作品やなぁ」って、実感するぐらいの最高傑作でした!

主人公が兄と「服部半蔵」の名前を懸けて戦った後(家康の方針(?)により、どちらが名前を継ぐかは殺し合いで決める)、「兄弟同士で殺し合うことがないような世の中を作ってくれ」というような台詞があるやけど、そんな恐ろしい時代があった上で今の自分達が存在するならば、そういう命懸けで生き抜いた人達に恥じない生き方をしないと申し訳ないと思いました。

私は確実に出来てない気がします…。

何かの為に本気で頑張ったことなんて果たしてあったかな?って。

趣味の為なら多少の無理はするけど、そういうことじゃなくてね。

フラフラユラユラダラダラと生きてる気がします。

今死んだら絶対後悔すると思うもん。

きっと誰もが思ってるんやろうけど、何かやり遂げて爪痕を残してから死にたいもんです。

ブログというツールは、自分の言葉であるとか気持ちを書き残すことにより発信していくもんやと思うから、微々たるもんであっとしても、そういう役割を担ってるんやろうなぁ…。

私のこの拙い文章も誰かに届けば幸いです。