別ブログより ボイタと娘の成長 | みんな違ってみんないい♪

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双子の一人がPVLによる脳性麻痺と診断され、生後2ヶ月からハビリ(ボイタ法)をしています。母である私は娘へのボイタの効果に感動してPTにまでなっちゃいました。ハビリのこと、かわいい子どもたちとの日常、悩み、ちょっとしたお役立ち情報などを気まぐれに綴ります



前回さらっと書いた娘とボイタのことを写真や動画付きで詳しく書いていきたいと思います(大半が再掲で、修正をしたところ、小5現在部分が少しあります)

PVLの発覚
32週で生まれ、PVL(脳室周囲白質軟化症)であると診断された娘。生後1ヶ月のMRIでは脳室周囲を中心に両側に大小多数の嚢胞があり、PVLの程度としては中等度〜重度と言われるほど深刻でした。


生後半年までのこと
生後1ヶ月〜半年までは、小さな成長もありましたが、確実に異常な動きや硬さが増えてきていました。

反り返りが強くなり、周りからも斜頸ではと心配されるほど右への向きぐせが強くて、左には向かせようと思っても首〜肩が固まっている感じで向かせられず。
足首はピーンと突っ張って大人でもなかなか曲げられないほど硬くなってきて、麻痺特有のワンパターンの動きしかしなくて、うつ伏せは反って頭は上がるけど腕が後ろにひけて肘で支えられず。

緊張が強いのと身体が思うように動かせないせいか、大抵不機嫌でよく泣いていて、生後4ヶ月の健診で出産した病院のドクターからは「双子のお姉ちゃんとだいぶ差がついてきちゃったね。障害の出方としては重い方かも」と言われました。

当時の右への向き癖の強さ。一概には言えませんが、こういう自分で補正できない左右差が続くことは側弯になるリスクにつながりかねません。



親子入園へ
身体の動きが徐々に悪化してきた娘を見て、意を決して、生後半年の時に大阪の大手前整肢学園に親子入園しました。通常4週間入園をするところ、双子の姉連れだったこともありお試しで2週間にしてもらいました。

2週間、月〜土まで毎日4回先生に教えてもらいながら一緒にボイタをしただけで、娘の身体はみるみる変わりました。

足首の可動域が改善し、後ろに倒れてしまいがちだった首はかなりしっかりすわり、肩も安定したのでうつぶせの時には肘で支えることができるようになりました
反り返ってかろうじてできていた右への寝返りも足を振り出して上手にできるようになり、向きにくかった左にも自分で向けるようになり、退園後2週間ほどで左への寝返りも右以上にきれいにできるようになったのです。
足首(下腿三頭筋)の筋緊張はまだ強いものの、ガチガチだった足、手、肩が入園前よりずっとやわらかくなり、反対にぐにゃぐにゃだった体幹は少ししっかりしました。
そして、日中たくさん笑ってくれるようになり、寝る時もこれまでは抱っこで寝つき、布団では横向きにそりかえってしか眠れなかったのが、自分で仰向けで大の字になって寝られるようになったのです。

出産した病院のドクターもこの変化には驚き、「娘ちゃんすごく変わったね。手足もやわらかくなったし、首もしっかりして、情緒面でも成長した感じ。これなら普通の小児科医では異常なしで見過ごしてしまいそうな程。リハビリの効果がすごく出ましたね!」と言われました。

この2週間が娘の予後を確実に変えたと思っていますが、生後3ヶ月以内に始めた超早期ボイタの娘の身体への蓄積もあったのだと思います。


その後歩行に至るまで
その後、娘が2歳になる頃まで3ヶ月〜半年おきにボイタの親子入園を繰り返しました。私も家で毎日やっていたけれど、それでも先生に見てもらってやっている時ほど効果的にはできず、娘の場合、退園後しばらくするとわかりやすく頭が後ろに倒れてくるんです。反る力がもともと強い娘、よっぽど強力にボイタで活性化してあげないと身体の前側の筋肉をうまく使えなかったようです。
1歳頃までは手を使うと全身で反って脚もピンピンでした。


10ヶ月頃、体幹もかなり弱かったです。



定期的に親子入園を繰り返しながら、毎日家でボイタを3〜4回(できない日もありましたが)続けていたら、娘の運動発達は徐々に進んでいきました。

1歳になる頃には自分から足を投げ出してのおすわりができるようになり、片膝を立ててのつかまり立ちができるようになり、ギクシャクして腰は落ちているものの左右交互に手足を出すハイハイができるようになりました。
  
言葉で書くと簡単ですが、脳性麻痺の子にとって、身体をひねって足を投げ出しておすわりすること、片膝を立ててつかまり立ちすること、左右の足が交互に出るハイハイができるようになることは、かなり難しいことです。
これらのことは、脳の損傷の度合い、実際10ヶ月近くまで自力では足が左右同時にしか動かなかったことなどを踏まえると、自然な成長に任せていたら確実にできなかったことだと、PTになったからこそ余計に思います。

その後、つかまり立ちもだんだん踵が降りてきて、尖足ながら伝い歩きもできるようになった娘ですが、それでも歩行に関して専門家からは
体幹の弱さがあって、独歩は難しい」
「上半身も弱いから杖も使えない」
など、いつまでもシビアな意見が多かったです。

少しでも発達を促せたらと日々のボイタに加え、ボイタではないPTもしたり、短下肢装具をつけたり、ボトックスをしたりもしましたが、やはりなかなか歩けるようにはなりませんでした。

意欲充分で壁でも伝い歩きできるようになりましたが、かなり長い間、体幹の弱さから壁にもたれるようにしか歩けませんでした。踵はつける時もありましたが、重力に負けて踵が落ちるだけで、足首は硬いのでその分膝が反張しています。


年月かけて伝い歩きもここまで上達しました。尖足は強いですが、娘の体幹をしっかりさせるためには尖足である時期も必要だったようです。

そして伝い歩きを始めてから2年経った3歳2ヶ月の時にとうとう歩けるようになりました! と言っても、体幹グラグラで足はツンツンですぐ転んでしまい、しばらくは安定した歩行には程遠かったですが。

3歳6ヶ月
下矢印



4歳8ヶ月


そんな娘も今や小学生になり、かなり安定して歩いたり、走ったり、立ち止まったり、手すりがあれば階段の昇り降りもできるようになり、見守りや場合によっては手繋ぎが必要なものの、歩いて登校し、学校生活も自分で大半のことができるようになりました。


8歳6ヶ月
半年前にキャスティング(ギプスを巻く療法)をしたのもあり、それほど尖足にならずに歩けます。そしてキャスティングとボイタによって使い方が良くなったおかげで、それから2年半経った今も踵がつけるだけの可動域はキープしていて、意識をすれば踵をついて歩けています。体幹や股関節周囲の弱さはまだありますが。


速足バージョンも追加。
実は歩く前に我が家に導入したEMS(電気刺激)機器を使ってみてます。これについてもまたアップします。


現在11歳。装具着用。

室内では裸足ですが、普段外を歩く時や学校にいる時は短下肢装具を履いています。この短下肢装具も体幹を鍛えながら緊張を使わずに歩くことを促してくれ、転びにくくもなる、今の娘にはなくてはならない装具です。


これまで粗大運動に着目して書いてきましたが、手の運動のことも少し。PVLは足に注目されがちですが、手もひけてしまったり、麻痺で動かしにくかったりすることが多いのですが、娘は左右別の動きが少し苦手だったり、不器用さはあるものの、PVLと思えないくらい器用だと言われます。娘の手の動きを見て驚いた整形のドクターに「小さい頃は手にも麻痺による動かしにくさ、左右差がたしかにあったんですが、訓練(ボイタ)が進むとともにわからなくなってきたんです」とPTさんが言われてたのを覚えています。


赤ちゃんの頃からは誰もが想定していなかった成長っぷりでしたが、決してたまたまの奇跡ではないこと、アプローチがとてもよかったということをボイタPTさんだけでなく、いろんなPTさんが言ってくれます。

小さい頃から、このままいくと股関節脱臼になる、足首(下腿三頭筋)が硬い(他にもハムストや内転筋、腸腰筋など足全体硬いと言われることも)から就学前には手術が必要、このままいくと股関節脱臼になる、側弯がある(指摘はあちこちで何度かされたことがあるもののレントゲン上では異常のない機能的な側弯です)などと、整形ドクターなどからあれこれ言われてきたのですが、それらの心配事もいつのまにか解消して、ほとんど言われなくなりました。

娘の生まれ持った力や意欲はもちろん、ボイタ以外に都度都度してきたあれこれも、娘の成長を後押ししてくれたと思っていますが、娘の発達の根底を支えてきてくれたのがボイタであることは疑いようがありません。

間近で娘を見てきて、他にもボイタで驚くような効果が出ている子たちのことを何人も知っているからこそ実感しているのですが、

ボイタって、すごいなぁ、効果あるなぁとしみじみ思うのです合格

ボイタの効果は、損傷の時期から早い時期であるほど、つまり脳性麻痺の場合は小さければ小さいほど、劇的だと言われますが、大きくなったからといって効果がないわけでは決してありません。

3歳まで寝返りもおすわりもできなかった子が、ボイタを始めて、小学校高学年の今はハイハイやおすわり、つかまり立ちができるようになっていたり

痰の吸引が必要だった幼児さんが、集中入院で自力で痰が出せるようになって吸引が必要なくなったり

何度も手術を繰り返しても足がクロスしてしまう小学生のお子さんが手術しなくても足がまっすぐになったり

高校生を過ぎてニ次障害で車椅子に自分で乗れなくなってしまった方が集中的にボイタをしたらまた車椅子に自ら乗れるようになったり

そんな話は枚挙にいとまがありません。

効果の出方は、障害の程度や開始時期、どれだけの頻度で、どれだけ効果的にできるかなど、さまざまな要素が絡み合うのですが、その子なりの成長や生活しやすさを手助けできることは間違いないんじゃないかと思っています。

そう思って私は、

毎日娘に約20分の施術をし、

仕事でも必要なお子さんにはコンスタントに効果的な施術ができることを目標にして、働きかけたり計画を練ったりしながらちょっとずつ前に進んでいっているところです。




パンダ追記
私たち親子は毎朝1回20分のボイタをしているわけですが、これは娘の身体の状況をふまえて娘と一緒に決めた時間であり回数です。
普段はこれくらいで身体の状態をキープし、少しずつ歩き方も安定して転びにくくもなってきているのでよしとしていますが、娘が体に不調を感じる時や私が触って硬いなと感じる時は増やしたり、時間を長めにとってより丁寧に行うこともあります。
また、今も年に2回、3回×2日間のボイタ外来をしたり、数年に一度2週間の親子入院をしたりもしますが、やはり回数をたくさんやると今でも肩や骨盤、体幹はしっかりするし、足首はやわらかくなって、違うなぁと思うので、身体の優先順位が高い時は集中的にたくさん行うようにしています。

一般にはどれくらい必要なのかと気になる方もいらっしゃると思うので記載しておきますね。

小さいうちは1日4回、保育園や幼稚園行きだしてからは3回、学童期は2回が良いと言われます。

あるボイタの専門施設では、1日1回だと悪化を少し食い止められる程度、2回だと現状維持、3回以上で改善が見込めると説明されると聞きました。

が、別の単独入院をする施設では1日1〜2回で充分改善効果が得られているそうですし、1回の質も影響するので、一概には言えないと思っています。

あくまで目安として、「小さいうちはできるだけ多く最大4回、お子さんや各家庭の状況に応じてだんだん減らしていってもいい」というくらいに把握しておけばいいんじゃないかと個人的には思っています。



いただいたコメントも載せておきます。