No.3 だから言ったじゃん!
「どうする?」
「ん?」
「来る?」
「うーん、どうしよ、レポートがある。」
「うちで仕上げればいいよ。送るから」
「うん、わかった。ママにメールしとく」
「大丈夫、もうメールしたから」
「はやっ!あのさ、いつも思うんだけど、どうしてママと仲いいのよ。凄く不快なんですけど。」
「だって仕方ないじゃん、ゆりがたまにしかメールしてこないから。」
「その屁理屈、まったく意味わかんないよ。」
「屁理屈じゃなくて、これは理屈で誰もが当然だと思うよ。」
「あーむかつく~、ママに何度言っても聞いてくれないし。彼氏も聞いてくれない。わたしって隼人の何よ」
「俺の彼女」
「はぁー。もう、いい。
ははっ、私が悪うございました」
「わかればいい」
「ちょっと笑わないでよ、ムカつく~」
「ゆりのムカつくは、大好きって意味だからな。もっと言って」
「嫌だ」
「あははは、ほら着いたぞ」
隼人は大学から一人暮らしを始めた。
凄く綺麗な部屋でね、わたしの部屋より綺麗なのよ。それってどう思う?あり?なし?私的にはありね、汚い部屋より綺麗な方がいいわ。絶対に。
「あれ、着替えどこ?置いてた紙袋がなくなってる」
「あーぁ、洋服?クローゼットにかけてあるよ。他の物も、俺のと一緒に引き出しに入ってるから。」
「えー、それ恥ずかしい」
「じゃ、紙袋に戻すか?」
「それはそれで、めんどくさい」
「だろ、じゃいいじゃん」
結局、隼人の言うとおりになるんだよね・・・まぁいいんだけど。
「ねぇ、ベット使ってもいい?
家にいる時と同じようにしたいんだけど」
「いいよ、俺もそうする」
「いや、隼人はデスクでしなよ」
「なんで?俺も隣がいい」
「勉強できなくなるよ」
「そんなことないよ」
「ダメだってば、明日提出なのわたし」
「わかった、邪魔しないから」
もう、聞かないんだから。手をだしてきたら、噛みつくからね。とりあえず、急いでレポート仕上げなきゃ!
>>>>>
終わった。。。疲れた。眠くなってきたよ。
「わたし終わったから、少し寝るね。場所交換して、そっち側がいい」
「あーぁ、いいよ」
>>>>>
しまった!
今、何時?私は携帯を探す。
良かったー、まだそんなに経ってない。てか、隼人は?
何?なに?
隼人横で寝てるし。
しかも手を握ったまま・・はははっ、わたしって罪深い?
横で寝ちゃダメだったかな??
こういうのって女子的には平気でも、男的には地獄よね?
うわっ!!
わっ、私Tシャツ脱いでる・・・
いつもの癖でタンクトップで寝ちゃった。
どうしよう、この格好やばいよ!
隼人が起きる前にどうにかしなきゃ!
危険!危険よ!!
とりあえず、、この手を離さな・・キャッ!
隼人起きてた・・・うそでしょ。
「何してる?」
「手を離そうかと」
「ふーん、ねぇ誘惑してる?」
「そんなことする訳ないじゃん!」
「だってさ、急にTシャツ脱ぎ始めるから驚いたよ」
「あっ、暑かったのよ!」
「そうなんだ。俺、ドキドキしてるんだけど」
「そう?どいてくれたら、Tシャツ着るから!」
「どーしようかな?」
「どーするのよ!」
「じゃ、キスしていい?」
「えっ、今?」
「そう今、ダメ?勉強邪魔しなかったでしょ。」
「しなかった」
「だから、ご褒美にさ。いーい?」
この状況で拒めるわけがない。
完全に自業自得だ。
この場合なんて答えれば正解?
同意するのも恥ずかしいよ。
なんて言うのよ。キスしていいよ。すれば。勝手にどうぞ。あーぁ、、嫌だ何も言いたくない。隼人はずっとこっちを見たままだし。しかも困惑している私を見て楽しんでいるのがわかる。あー、ムカつく私!!
わたしは視線を逸らす。
「うん」
彼は笑った。
そしてゆっくりと顔を近づけ、私の指に手を重ねる。隼人の香りがする。私の好きなミントの香りだ。コロンではなく、アロマのミント。彼は目をつぶる。私も追いかけるように目を閉じた。
温かい唇が触れた瞬間、全身の力が抜けていく。
優しく、何度も口づけをする隼人。
なんだか、このまま溶けてしまいそう。
わたしの気力がなくなったことに気が付いた彼は、唇を離す。
「どう、美味しかった?」
「なっ、何てこと聞くのよ!お願いどいて、寒いから」
「嫌だ」
「なんで?」
今度はわたしに聞くことなく、唇を重ねてきた。
私は、隼人の胸を叩く。
その抵抗もむなしく、段々と力が抜けていく。。。
彼は私の鼻と額にキスをしてやっと離れてくれた。
わたしのドキドキは止まらない。
恥ずかしさのあまり、ベットから滑り落ちてしまった。もう、嫌だ!!だから、言ったじゃん!寝ちゃだめだって。バカな私。
急いでTシャツを着る。
「送ってくよ」
彼はすでに携帯と鍵を持って立っていた。
わたしが恥ずかしそうにしているのを見てこっちへ来る。
そして優しく抱き寄せ、
おでこにキスをした。
次回、「わたしは隼人の彼女です。それが何か?」
添付・複写コピー・模倣行為のないようにご協力お願いします。毎週水曜日に連載。
誤字脱字ないように気をつけていますが、行き届かない点はご了承ください。
沖縄を舞台にした小説です。H大学は架空の大学です。
実在する場所は、紹介していきます。
第4話「わたしは隼人の彼女です。それが何か?」
こちらも連載中です。