若者は減少、ミドル・シニア層は“長く住み続ける時代に

長年、若手プロフェッショナルやアーティスト、クリエイターを惹きつけてきたニューヨーク市。しかし、この20年で賃貸住宅に住む人の構成が大きく変化していることが分かりました。

不動産調査会社 Chandan Economics の最新レポートによると、ニューヨーク市の賃貸市場では居住者の高齢化(グレイイング)が進行しており、それが住宅需給をよりタイトにしていると指摘されています。

📊データで見る「賃貸居住者の高齢化」

米国国勢調査(Census)などのデータを基にした分析によると、

🔹35歳未満の賃借人

  • 2005年:30.8%

  • 2024年:26.5%
    → 比率は約4ポイント低下

🔹35歳以上の賃借人

  • 20年間で約54万世帯増加

  • 増加率:+24%

一方で、35歳未満の賃借人世帯数は 20年間でほぼ横ばい(+1万世帯未満) と、若年層の伸びは事実上止まっています。

🧭なぜ若者は減り、年齢層は上がっているのか?

レポートでは、次のような流れが指摘されています。

  • 2008年の金融危機後、若年層の賃借人は大きく減少

  • 2010年代前半に一時回復

  • コロナ禍で再び大幅流出(広さ・家賃を求め郊外へ)

その一方で、

✔ 住宅価格の高騰
✔ 住宅購入のハードル上昇
✔ ライフスタイルの変化

により、35歳以上の世帯が「買えず」「動けず」「あえて借り続ける」ケースが増加しています。

Chandan Economics は次のようにまとめています。

「年齢の高い世帯は、必要性・選好・住宅購入の遅れなどの理由から、より長期間、賃貸にとどまっている。一方で若年層は、独立して賃貸を借りること自体が難しくなっている」

🏠賃貸は「一時的」ではなく「長期居住」へ

この結果、ニューヨーク市では、

  • 賃貸=若者の一時的な住まいという従来の構図が崩れ、

👉 賃貸=中長期の生活拠点へと構造的に変化しています。

人口増加が鈍化しているにもかかわらず、賃貸市場が依然として逼迫している理由は、「賃借人の数ではなく、“誰が・どれくらい長く住むか”の問題」だと、同社は指摘しています。

今後の見通し

✔ ニューヨーク市の賃貸需要は短期で崩れにくい構造
✔ 単身・若年層向けだけでなく、長期居住・安定志向の賃借人が主役に
✔ 高齢化=回転率低下 → 空室リスクは下がる一方、家賃上昇余地は政策依存
✔ レント規制・テナント保護政策の影響がさらに重要に

ニューヨーク市の賃貸市場は今、「人が減るリスク」よりも「動かないリスク」を抱えるフェーズに入っています。

今後の投資では、人口構成・居住年数・政策リスクをセットで見る視点が、これまで以上に重要になりそうです。