5月の上旬に飛来し、広島市内の海端の空き地でコロニーを形成して繁殖に入り、約2か月滞在してくれた今夏のコアジサシですが、その間さまざまな態様を見せてくれて楽しませてくれました。
個体ごとには海での狩りに続く求愛給餌、ペアの形成、抱卵、雛への給餌から巣立ちまでの一連の繁殖行動を観察させてもらいましたが、集団で外敵を追い出しにかかるモビングは絵的にとても興味深く、行動が見られた際には必ずレンズを向けて記録に努めました。
きょうは彼らの滞在期間中途切れることなくほぼ毎日見られたモビング行動を、様々な外敵に対して行っているところをそれぞれ一枚ずつ載せてみたいと思います。

VS トビ
トビは彼らコアジサシにとって最も警戒すべき相手だったでしょうか。
何しろ雛を攫って食べるのを何度も見たのです(他種では皆無でした)。個体数も多くてほぼ毎日現れ、そのたびにコアジサシたちは総出でモビングしていましたが、子育ての段階に入ると親鳥が狩りに出る頻度が増えて防御力が下がるのか、悲惨なシーンを幾度も目撃する羽目となりました。

VS カラス
カラスは群れがコロニーの外周に植えてある背の高い棕櫚の木にいつも居て、雛が殺られるとすればカラスが下手人になるだろうと思っておりましたが、予想に反しカラスが雛を直接襲うところは一度も目撃することはありませんでした。

VS ミサゴ
コロニーが海端にあるため魚食性のミサゴはよく姿を現していました。雨水が溜まったた水溜まりで水浴びすることもありましたが、そのたびに糞かけ攻撃を受けて迷惑そうな顔をしていたのが印象に残っています。

VS アオサギ
魚だけでなく、蛇でも平気で狩るアオサギですから、目の前に雛がいれば当然食べられてしまうでしょうから、コアジサシたちはやはり総出でモビングしていました。ただ抱卵時にコロニー内の水溜まりでしばらく滞在するアオサギが1羽いましたが、その個体に対してはモビングしていなかったは少々不思議でありました。

VS ウミネコ
絶滅危惧種同士の争いということになります。
身体の大きいウミネコは雛を襲うことがあるのでしょうか。もしかするとコアジサシが獲った獲物を空中で横取りすることがあるのかもしれません。いずれにしてもウミネコを外敵と判断しているのは間違いなく、同じように上空を飛ぶカワウやキジバトには全く反応しないのとは対照的で判断基準が何なのか興味深いところです。

VS クロハラアジサシ
クロハラアジサシは期間中入り変わり立ち代わり数個体がコロニー内で行動しておりました。モビングされているのを目撃したのはこのとき一度だけでしたが、追われているのには何か理由があるのでしょう。時期は雛が孵ってから10日程ですから親鳥は給餌に追われている頃です。もしかすると追われている個体は、直前に親鳥が雛に与えた餌を横取りしたのかもしれません。

VS シロチドリ
広いコロニー内で繁殖しているのはコアジサシだけではありません。
コチドリやシロチドリも散らばってあちこちで営巣し雛を育てていました。それぞれが抱卵している間はバッティングすることは殆どありませんでしたが、雛が孵るとすぐにあちこち歩き回り始めるので、雛を護ろうとする親鳥たちは気が立ってきます。このときはシロチドリの雛がよちよち歩いているすぐそばに着地しようとしたコアジサシに対し、憤怒の表情で追い立てる親鳥の必死さが伝わって来て、子に対する愛情(本能?)はヒトも鳥もそれほど変わらないものだと感心した次第です。