切り花市況、
2022年、2023年は品薄単価高
生産者、市場は空前の利益。
2024年も3月彼岸は品薄単価高で推移。
平年なら、桜が咲きはじめると花の市況は暴落。
今年はなんとか相場が維持できています。
一方で気になるデータ。
青木恭子さんの調査。
青木恭子「花の選考調査2023年報告書」
令和5年度持続的生産強化対策事業のうち
ジャパンフラワー強化プロジェクト推進事業
国産花き生産流通強化推進協議会
2023年10月16日
インテージのモニターを対象にネット調査、500名回答
2023年8月14日~15日調査実施
報告書のデータを宇田作図
2017年以前のデータはMPSジャパン(株)
2021年まではマクロミル、2022年以降は調査会社がインテージで調査会社が変更されている
2022年のデータが2021年と大きく変化しているのは、調査会社、調査対象の変更が影響?
Q 最近1年間に切り花を買いましたか?(図1)
2023年の調査、
購入した39%
購入していない61%
調査をはじめた2009年には購入した75%、
購入していない25%
購入したひとが減りつづけ、購入していないひとが増えつづけている。
購入していないには二通りあります。
「この1年間は購入していない」と、「いままで一度も購入したことがない」。
問題は、「いままで一度も購入したことがない」ひとが15%もいることです(図2)。
しかも着実に増えつづけている。
図2 花購入率(今まで1度も購入したことがない人の割合)の推移
図1におなじ
いったい花産業のわたしたちは何をしてきたのでしょうか?
花産業は、花の消費拡大のためにさまざまな活動をしてきました。
花き振興法が制定された2014年以降は、毎年10億円近い国民の血税がつぎ込まれています。
青木恭子さんの調査もその一部です。
花には下記のような効用があることを科学的に証明し、消費者にPRしています。
・ストレス軽減効果
・認知機能改善効果
・社会性向上効果
子どものときにから花に親しんでもらうために「花育」にも力を入れてきました。
フラワーバレンタインやいい夫婦の日などの販売促進キャンペイン・・・
それなのに、花を買ったことがないひとが増えつづけていることは、まことに残念。
国の事業は一度つけば既得権として毎年継続。
事業名の表紙だけが3年ごとに変わる目くらましで実質的にはおなじ事業がつづく。
いまは「ジャパンフラワー強化プロジェクト推進事業」、
その前は「次世代国産花き産業確立推進事業」、
さらにその前は「国産花きイノベーション推進事業(地区推進事業)」。
その時々で対策が緊急に必要な事業、たとえば「物流の2024年問題」などは別にして、ぼんやりした「消費拡大」や、47都道府県の花き推進協議会に配分している予算は、一度立ちどまって効果を検証したほうが良いでしょう。
まあ、これは原理原則論。
国の施策、予算すべてがあてはまります。
国も失われた30年に無為無策だったわけではありません。
さまざまな施策を展開してきました。
しかし成果がでていません。
その結果、日本は豊かな国ではなくなろうとしています。
少子高齢化、子どもの数は少なく、老人ばかりの国になっています。
だからといって、政治家、お役人は立ちどまって効果を検証、失敗の原因究明などしません。
次々と同じような新手の施策を積み重ねるだけです。
なにをやっても成功しないのは、「流水算」の原理が働いているからです。
2016年1月17日「活動は「流水算(りゅうすいざん)」
https://ameblo.jp/awaji-u/entry-12118385798.html
図3 消費拡大活動は流水算
小学校で習った流水算の公式
船が上流へ進む早さ(消費拡大・売上増)=船の速さ-川の流れの速さ
首相が船長の日本丸は上流へ進もうとしています。
エンジン全開ですが、川の流れのほうが強力。
見かけ上、船は前進せず、後退しています。
まして、貧弱なエンジンの花産業丸、激流を前進なんてできないのは当然。
前進できないからといってエンジンを止めてしまえば一気に押し流され、船は木っ端みじんに破壊される。
とにかくエンジンをふかしつづけていればアゲンストの風はおさまり、川の流れがゆるやかになる。
これはお役人の考え方。
いつまでもおなじ船で、おなじエンジンに固執するから前進できない。
宇宙戦艦ヤマトに乗ればあっという間、
川の上流どころかイスカンダル星にも到達できる。
これはスティーブ・ジョブズみたいなひとの考え方。
そんなこと弱小花産業にできるわけはない。
できることを精いっぱいするしかない。
風が強ければ首をすくめて風を避け、
流れがゆるやかな場所を見つけて少しでも前進するしかない。
青木さんの調査、花を購入したひとが39%もいる。
岸田内閣の支持率23%(NHKニュース2024年4月8日)より花の支持者の方が多いぞ。
それでも岸田首相は悲観なんかしていない。
自民党総裁選挙で再選され、首相を続投するつもり。
ましてトランプには4割の岩盤支持者がいる。
4割の支持者が確実に投票所に行ってもらえれば大統領に返り咲ける。
4割の岩盤支持者が喜ぶ政策を掲げ、投票してもらえれば大統領になれる
花産業に置き換えると、投票所=花店。
4割のひとが花専門店またはスーパーに足を運び、切り花を買ってくれている。
すばらしい。
これらの花の岩盤支持者にもうちょっと働きかけるだけで、花の売上は飛躍的に伸びる可能性がある。
その働きかけについて次回考えます。
今回も長文駄文でした。
宇田明の『もう少しだけ言います』(No.425. 2024.4.21)
2015年以前のブログは
(http://ameblo.jp/udaakira)でご覧頂けでます
農業協同組合新聞のweb版(JAcom 無料)に、
コラム「花づくりの現場から」を連載しています。
https://www.jacom.or.jp/column/