2023年、今年の漢字は「税」でした(日本漢字能力検定協会)。
主催者は、次のような3つの理由をあげています。
・1年を通して増「税」議論が活発に行われた ~増「税」への不安
・所得「税」・住民「税」の『4 万円の定額減「税」』が話題に
・インボイス制度やふるさと納「税」など、多岐に渡る「税」
画像 2023年 今年の漢字は「税」
実際に増税されたわけではないし、減税があるのはまだ先の話、
個人的にはピンときません。
今年は、2位の「暑」、あるいは4位の「虎」がぴったりな気分。
では、花産業、2023年の漢字は?
その前に、
わたしが勝手に選んだ過去の漢字と理由は下の表のとおりです。
表 過去の「今年の漢字」と、わたしが勝手に選んだ「花産業今年の漢字」
昨年2022年は「上(あがる)」でした。
市場価格が上がった。
しかし、生産コストも上がった。
花屋さんの仕入価格も上がった。
前回の愚ブログで紹介した東京都中央卸売市場花き部6社、
切り花の単価(国産+輸入)は、2022年には前年より9円上がりました(税込)。
コロナ前の2019年より13円もアップ。
いままで経験したことがない単価アップ。
2023年12月17日「生産者は高ければ高いほどよいでしょうが・・」
https://ameblo.jp/awaji-u/entry-12832772683.html
というわけで、花産業今年の漢字は?
ご想像どおりの「薄(すくない)」です。
「品薄単価高」の「品が薄(すく)ない」。
画像 わたしが勝手に選んだ「花産業今年の漢字」は「薄(すくない)」
「品薄(しなうす)」とは、需要に対して供給が不足していること。
花屋さんが欲しい切り花量に対して、市場に入荷している量が少ないこと。
すなわち、需要>供給。
「品薄」の反対語は、「過剰供給」。
需要<供給。
入荷量がいくら以下なら「品薄」で、
いくら以上なら「過剰供給」か、
絶対値が決まっているわけではありません。
花屋さんが欲しい量(需要)によって変わります。
需要より多いか少ないかは市場価格でわかります。
花産業がピークだった1990年代以降は入荷量が減りつづけています。
その理由は、花屋さんが欲しい量(需要)が減りつづけていたからです。
花のマーケットの縮小。
需要が減っているのに供給(入荷量)がおなじなら、供給過剰で、市場価格は下がります。
市場価格を維持、あるいは上昇させるには、需要を拡大するか、供給を減らすしかありません。
それが「市場経済」の原則。
もちろん、花産業は需要拡大に取りくみましたが、成果が得られませんでした。
安倍元首相も日銀もデフレを克服できなかったのですから、仕方がないのでしょう。
かくして、生産(供給)を減らして、なんとか市場価格を維持。
局面が変わったのがコロナ禍。
いきなり業務需要が消失。
それまでの、じわりじわりと減るのと違い、2020年には崖から飛び降りるように減少。
需要の急減に対応して、供給(入荷)も減らさざるを得なかった。
コロナの脅威が去ったわけではありませんが、経済が動きだすと、花の需要も、業務需要中心にコロナ前の2019年の水準に回復。
しかし、一旦減った供給(生産)はかんたんに回復できない。
空前の単価高は、品薄の結果。
需要が増えての単価高ではありません。
品薄はいつまでも続かない。
それでは花市場の役割が果たせない。
国産の復活には時間がかかるとしても、輸入は一気に回復する可能性がある。
しかも物価上昇で消費者の財布のひもが堅くなり、家庭需要が減っている。
「品薄単価高」は、砂上の楼閣。
「過剰供給単価安」と背中あわせ。
花産業のみんながハッピーになるには需要拡大が必須。
2024年は地に足が着いた需要拡大活動が必要。
いつものように、当りまえのことを理屈っぽく書きました。
わたしはこれで一足お先にあがらせていただきます。
ことし1年、長文駄文におつき合いいただき、ありがとうございました。
花産業のみなさま方におかれましては、年末繁忙期が続きます。
寒波襲来、くれぐれもご自愛ください。
良いお年をお迎えください。
宇田明の『もう少しだけ言います』(No.409. 2023.12.24)
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