母の日のポットカーネーション、まだ咲いていますか? | 宇田 明の『もう少しだけ言います』

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毎年、母の日にはポットカーネーションとアジサイを買っています。
いまは贈る母がいないのでホームユース。
買ったのは地元のイオン。
田舎では花を買う選択肢が限られます。
母の日イベントとして特設売場まで設けて、盛りあげているのはイオンしかありません。

2018年5月13日「この花,来年も咲きますか?-母の日のポットカーネーション-」
https://ameblo.jp/awaji-u/entry-12375558759.html

さて、5月12日(土)に買ったポットカーネーション。
4号鉢で1,580円。
なかなかの高品質でした。
枯れた花を摘んだ形跡はないし、株の勢い、葉のワックスののり、カールは最高。
食卓に飾り、ながめていました。
日持ちが終了したのは5月26日(土)。
日持ちはちょうど2週間。


画像 今年の母の日ポットカーネーションの日持ちは2週間

    13日目に一挙に老化、衰弱

    この株では夏越しは難しそう

 

2週間は満足? それとも不満足?
消費者(多くはプレゼントされたお母さん?)は何日なら満足なのでしょうか?
もし、日持ち保証販売をするなら、

ポットカーネーション、
生産者は何日を保証できるのでしょうか?
花店は何日を保証して販売するのでしょうか?

家庭用に買ったわたしは?
やはり、不満足です。
これまで、「鉢ものは根がついた切り花」と言ってきました。


根がついていない本来の切り花カーネーション、
母の日の1週間前(GW)のカーネーション(スタンダード)は、3週間たっていますが、
半数以上はまだ元気です。
根がついたカーネーション(鉢もの)の日持ちが、

根がついていないカーネーション(切り花)より短い!
首をかしげます。

画像 「カーネーションをつくりこなす」農文協

    残念ながら、ポットカーネーションの作り方は書いていない


母の日に日持ちが極端に短いカーネーション切り花があるとしたら、

植物本来の能力ではなく、流通上の問題です。

切り花では、生産者が花を切ってから、消費者に届くまでの日数が長くなっていることが、

日持ちを低下させています。
有限の日持ちを業界内で食いつぶしている。
このことは日持ち性向上対策実証事業で流通実体を調査する過程で明らかになりました。
今回、イオンで買ったポットカーネーションは

生産者が出荷してから何日かかってわが家に来たのでしょうか?
イノベーション事業を活用して、鉢ものの流通実体調査が必要です。


花の日持ちに買ったポットカーネーションの日持ちをどう計ったのかをお知らせします。
日持ちの計り方は、前回お知らせした鉢もの日持ち試験マニュアル(案)。

2018年5月26日「永遠の命がある鉢ものの日持ちをどのように計るか?」
https://ameblo.jp/awaji-u/entry-12378900831.html

購入時には、開いた花が17輪、咲くであろうつぼみが13輪、合計30輪。
毎日、枯れた花をかぞえ、取りのぞき、枯死率を計算。
枯死率=枯れた花数/30輪(購入時の花数:開花期待のつぼみを含む)
枯死率が80%で日持ち終了。
8日目まではまったく、健全。
9日目に1輪が枯死、13日目から一気に老化が進行。
13日目は枯死率67%でしたが、14日目に97%、
お約束の80%(赤線)を超えたので日持ち終了。

なお、鉢もの日持ち検査マニュアルでは、切り花と同じ25℃で調査。

今回のわが家はだいたい18~25℃。

25℃では日持ちは2週間より短かったでしょう。

図 老化(枯死)した花の割合

   購入時には咲いた花が17輪、咲くと思われるつぼみが13輪

   老化率=老化(枯死)した花の数/30輪

 

13日目からは花が枯れる、萎れるだけでなく、植物体自信が生気を失いました。
下葉が枯れ、株の中心部には枯れ込む枝がありました。
小さなつぼみは枯死していました。
カーネーションは宿根草で、永遠の命をもつはずが、

花が枯れると同時に、一気に植物体が衰弱したようです。
 

冬を越したカーネーションは初夏の高温で一気に衰弱するのは、

切り花用も鉢ものも同じようです。
この状態では、マニアでも、夏を越させるのは難しいでしょう。
すくなくとも、母の日のポットカーネーションは「育てる」ものではない、
花が終われば廃棄するものと花業界はわりきるべきでしょう。
根がついた切り花と考えるべきでしょう。

とすれば、日持ちが終わったカーネーションをかんたんに処分できる商品にすべきでしょう。
 

いま叫ばれている需給マッチング。
鉢ものでは、業界は「鉢もの=育てる」、
消費者は「根がついた切り花、グリーンインテリア」
需給ミスマッチ
需給マッチングは「花を楽しんだら捨てる」。


画像 恒例の母の日商戦反省(日本農業新聞2018年5月29日)

    今年はハーバリウムに喰われた?

    毎年、強敵が出現

    

恒例の母の日の反省。
カーネーション販売苦戦。
ハーバリウムに切り花が喰われたらしい。

画像 母の日のハーバリウム


ハーバリウムは一時のブーム?
数年前は、プリザーブドに喰われ、苦戦。
つまり、すぐに枯れるもの、手間がかかるものを消費者は敬遠。
そうすると、育てなければならない鉢ものはもっと敬遠される。
贈った人に水やりや、花がらつみなどの手間を強いる鉢ものは、相手に失礼?
胡蝶蘭がお祝いの定番になったのは育てなくてよいからでしょう。


鉢もの業界は、大胆な発想の転換が必要。

多くの消費者が求めているのは、「育てない鉢もの」

 

「宇田明の『まだまだ言います』」(No.125 2018. 6.3)

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