職場に懐かしい人が訪ねてきた。
以前、3年間同じ仕事をした
男性である。
私が現在の部署にいるってことを知らずに、
たまたま仕事のついでに寄ったところ
駐車場に見覚えのあるAWが止まっているのが目に入り、
フロアを訪ねてきてくれたのだ。
同世代で、ケッタイな人だったけど
わりと話が合うタイプだった。
懐かしさで、お茶と机の引き出しにコッソリ隠し持っている菓子まで
つい出してしまった。
ただ
懐かしかったのは確かなのだが、
何と言うか懐かしさとは異なる、
ある感情が湧いてきていた。
それは悲しみであり、
哀しみでもある。
原因は、彼の風貌。
要するに変わっちゃったのだ、すご~く。
まず頭。
さらに腹。
かつての涼やかな顔立ち、
細っそりした立ち姿がどこにもなかった。
性格の悪さをカバーしていた容姿は
さみしくなった毛髪と腹に巻きつけてる脂肪塊によって
完全に失われている。
歳月はこれほどまでに
人を変えるのか。
「その頭って焼畑農業のジオラマじゃないよね」
「うるせえなあ。ところで何だよ、あんたのあのマフラーはよ~。車検通らねえだろ~。」
ひとの車のエンジン音を消す装置の心配はしなくていいから
動脈瘤とかで自分の命の灯をmuffleしないようにしないとね。