尻に火がついたハンターたち | Bamboo Labo

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There is no love sincerer than the love of food.


我が家の裏手には遊歩道があり、
道に沿ってケヤキやヒバ、ハナミズキなどが植えられている。


で、毎年、今の時期に
見られる光景がある。


それは、近所のガキどもが残された日々の少なさに愕然として
おもむろに昆虫ハンターと化す姿だ。


動きの悪くなったセミ、ボ~っとしているカマキリが
でかいケヤキにウジャウジャ止まっているところに
宿題を放置プレイして遊び呆けたツケに苦しむ鼻タレどもが
補虫網とカゴを持ってどこからともなく集まってくるのである。


はっきり言ってかなり騒々しい。
セミもガキも。


「おー、いっぱいいる!」
「捕まえようぜ~~!」


「でもさあ、同じ種類のセミばっかりだよ~」
「ほんとだ、アブラゼミしかいないよ~」
「とりあえず捕まえようよ~」


何でもいいから早く採集して
あとは家でやってくれ。


「でも同じ種類をいっぱい取っても標本にならないじゃん!」
「いいよいいよ、数で勝負しようよ。獲れるだけ獲って学校に出そうよ。」
「どうやって?」
「模造紙に捕ったセミ全部テープではって、上からサランラップ被せるとかさあ~」



そんなものを提出された暁には
学校の先生は思わずガキを殴りつけたくなりませんかね、って
しちゃいけないんでしたね。


さらに


「虫にオシッコひっかけられたーーー」だの、
「暑くてゲロ吐きそうだよーー」だの、
まあ、元気元気。


本当のところは「うるせえな、どっか行け!」と
水でも撒いてやりたいところなんだけれども、ガキどもの会話も
聞いてて何か面白そうなので猫を抱いてウッドデッキに出てみた。


そしたら彼らは一斉にこっちを見て、
小梅を指さし、


「あーーーー、ソフトバンクの猫だーーーー」
「ほんとだーーー、白くてふわふわしてるーーーっ」
「名前、なんていうのーー?」


と、大騒ぎ。


人から注目されることが満更でもない小梅は
ガキどもがフェンス越しに駆け寄ってきても逃げようともしない。


「小梅っていうんだよ。小さい梅って書くの」と教えたら
「でも、この猫小さくないじゃん」という、ごもっともな指摘。


そんなこんなで、小学校低学年という、
普段全く交流のない世代と話をするという貴重な経験ができたんだけれども、
とりあえず騒がしい彼らには直ちにどこか彼方に去って欲しかったので、
「昆虫採集するんだったらね、第三公園の木に珍しい虫がいっぱいいるらしいよ。行ってごらん。」
とアドバイスしたら、みんな一斉に走っていった。


嘘だけど。