朝顔の季節
我が家の朝顔は、数年前の黒いタネから植えたのだが、成長振りが三者三様だ
ベランダの陽が当たる場所のは、すくすく育って私の身長を超えた
裏のベランダは、まだ赤ちゃんのひ弱さで
一番日が当たらないとこは、モヤシの状態
不思議なのは、一番痩せ細っているのが
早くも一輪の花が咲いた
朝顔が「秋の季語」とは信じ難い
この朝顔のツル
隣に支え合う棒が有れば、甘えたように巻き付き、仕草は「細腕繁盛記」のごとく
頼もしく働く
隣に何も支えがないと
自分から血管のように力強く太いツルになって伸びて行こうとする
一人で生きていけると言わんばかりに
雨風にもめげない
やがて見事な花を咲かせて避暑地を作る
散りゆくときは黒い小さなタネを守る殻を残して、来年に使命を託すのだ
私は左右に波打たせてツルを誘導するのだが
朝顔は常に上を目指して迷惑そう
宮沢賢治の詩ではないが、雨ニモマケズ風ニモマケズの一節は、
朝顔のしぶとさに類似して
人間の人生を物語っているように思えてならない