まだ若い頃 名前も浮かばない同級生の男がいた
おそらく「結核」だった彼女
結核の病棟へは マスク着用で手洗い義務の上 面会に行くのだが
彼は彼女との面会に マスクを外して行くのだ
同級生の我々は まだその理解には若すぎたのだが 彼の彼女への強い想いだった
自分の彼女からなら 結核が移ってもいいと言うのだ
一途な恋なのだが 我ら同級生は複雑な心境で やはりマスクを着用する
その後に 彼がどうなったのかは知らない
恋を語るには あまりにも若かりし頃の出来事
そして 今回の中国からの新型コロナウイルス
我が町にはまだ誰１人 感染者はいないのだが マスクを買い占めて行く光景
今なら 私の大切な人が 新型ウイルスに感染したなら 私も彼と同じことをするだろう
そう考えれば あの同級生の心は 既に凄い愛だったことに心打たれる
今回 マスクを３箱手に入れた
だからと言って 人ごみの中にいても まだマスクを着用していない
これまでに鍛えぬいた身体を信じているし
健康状態も十分だ
むしろ 新型ウイルスと戦ってやると言う気持ちもある
たかがマスクを ネットで高く売りつける守銭奴になる気もなく
３箱も買い込んだ自分に 反省
私が新型コロナウイルスに感染したとしたら 君には何がなんでもこのマスクを送るのだ