メサイア悠久乃刻 閉幕 | 井澤勇貴オフィシャルブログ「yuu-style」Powered by Ameba

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「こんな日がくるとは思わなかった」

悠久乃刻のチラシにそう書かれていた。

ご覧になられた方はこの言葉の意味、誰が、いつ、誰に向けて言ったのか既にご理解されてると思いますが

僕にとってこの言葉は本編の中の言葉だけではない、とても大きく重い言葉なのです。

昨日、大阪大千秋楽を終えました。

東京14公演、大阪5公演の計19公演

19回の卒業を経て、昨日ようやく本当に『メサイア』という作品を巣立ちました。

まずは皆様、ご来場、ご声援、誠に有難う御座いました。

卒業した今、走馬灯のように一瞬でこれまでの道のりを思い出しました。


初めて携わらせて頂いたドラマ「影青ノ章」

メサイアの現場の空気感が分からず、有賀涼の事を理解しきれず、それでもその時の自分に出来る全てをぶつけて挑んだ初めてのメサイア

憧れていたメサイアコートに初めて袖を通した時の嬉しさは未だに鮮明に覚えている。


初めて携わらせて頂いた舞台「翡翠ノ章」

ドラマとは違う緊張感に溢れていた

殺陣の量、質、どれを取っても初めての経験で不安と戦いながらもそれを支えてくれる先輩二人、そして白崎、悠里、間宮と共に支え合い先輩二人の卒業を目に焼き付けた。

メサイアの看板を背負ってきた先輩に顔向けできないような作品には絶対にしないと誓い…


衝撃だった「鋼ノ章」

あの時の冒頭のアクションは、僕の舞台人生の中でも一番緊張したのは間違いない。

始まる前から緊張で足がすくみ、吐き気さえしたがそんな僕の背中を力強く叩いて鼓舞してくれる先輩が沢山いた。

そして自分のメサイアを自らの手で殺さなければいけない運命を憎んだ。

あの作品を、何度も何度もやる事に抵抗すら覚えた。

ただ間宮の死に直面した事により有賀涼という男の今まで理解しきれなかった部分に僕が少しだけ寄り添う事が出来た大切な作品。


新しい希望に出会えた映画「深紅ノ章」

この作品で初めて杉江大志(加々美いつき)という存在に出会った。

今だから言える話をする。

最初は杉江大志とは別に仲良いわけでもなく印象で言うと「チャラチャラしてるけど大丈夫か」ぐらいだったし、それこそ有賀さんの台詞にあった「俺に必要なのはシステムとしてのメサイアだ」という言葉の通りな関係性だったかもしれない。

けれど撮影期間中、役としても役者としても必死な姿を見て純粋に好きになった。

共に進む覚悟と、有賀涼という堅物な男を受け入れてくれるかもしれないという一筋の光を見つけた。


同期が全員巣立った「暁乃刻」

赤澤燈の卒業公演。

彼に取って辛いことは役だけではなかった。

メサイアがいない状況でよくこの作品の看板を背負ったと心から尊敬し誇りに思う。

僕は彼のメサイアではないけど全力で支えて背中を押し卒業して行く白崎護の姿を目に焼き付けた。

後輩サクラ候補生達が加わり、今まで後輩だった僕達が先輩と言われまた違った責任感を覚えた。

この作品に入ったばかりの当時の自分と彼らの姿を照らし合わせながら稽古場から共に過ごした。

そして加々美いつきと一緒に卒業したいと心から思えた。

先程、”受け入れてくれるかもしれない”と書いたが暁で”受け入れてくれる”と確信に変わったんだ。


メサイア外伝

スポットライトがメサイア側ではなく、三栖と周に当たりとても新鮮だった作品。

長年この作品を支えてくれた中村龍介と玉城裕規くんの壮大な物語。

僕は少ししか出演していないけどそれでも大事なシーンを与えて頂き、そして完全に前に進めるきっかけとなった作品。


そしてメサイアと共に卒業した「悠久乃刻」

とてつもなく険しい道のりだった。

それは本編だけではない、稽古場からだ。

アクション量がメサイア史上一番多いとまで言われ、加えて冒頭のバベルの塔の説明をするロシア語、本編のまさかの展開。

これは試練だ、乗り越えるんだと思っていても頭を抱えた。

そんな時にいつも支えてくれたのはキャスト、スタッフ、そして僕のメサイア。

以前僕のブログに書いた通り僕は「俺の背中に付いて来い」なんて大きな座長ではないけれど、それでも必死にやる皆よりもっと必死にやろうとした結果、皆が僕達の背中を支えてくれたのは終わった今、本当に実感している。

自分が辛い時はきっと皆も辛い。

自分が痛い時はきっと皆も痛い。

自分が嬉しい時はきっと皆も嬉しい。

そう思って19公演、乗り切れた。

そして乗り切った先には今まで感じたことのない達成感、最高の景色が待っていた。

皆様からの温かい拍手、加えてスタンディングオベーション、花束贈呈。

改めて言う。

「こんな日がくるとは思わなかった」

この作品をやっていれば通る道ではあるし、いつか僕も卒業する日が来ると頭では分かっていたがそれでも昨日はまさか自分が…と思った。

究極を言うと、いつも通り千秋楽を終えた実感はあるがまだ卒業したという実感はない。

やはり長年共に過ごしてきた大切な作品を終えるのは寂しい気持ちもあるが、あとは後輩達に託す。

彼等なら大丈夫だと僕は胸を張って言える。

だから僕から皆様にお願いをするなら

後輩サクラ候補生という肩書きはもう忘れて欲しい。

彼等は立派な存在である。

僕達が卒業した今、今後先頭を立ってメサイアの看板を背負うのは彼等4人だから。

一癖も二癖もある彼等が次からどんな生き様を見せてくれるのか僕は皆様と一緒に見守りたいと思う。


少し長くなるがスタッフ陣に対して言いたいことがあるのだ。

僕は[どの役が一番好きか?]という質問が大嫌いなんだけれど、それでもこの有賀涼という役はやはり非常に思い入れがある。

それは役を通して僕自身を育ててくれた役だから。

そこには演出家の西森さんという存在が欠かせない。

どんなオーダーもしてくるのは時に勘弁してくれ(有難いことですがw)と思う事もあるがそれ以上に信頼してくれている証拠だと感じているから、僕は嬉しいのです。

今回も凄まじい量のオーダーがあり、それは演出家からの挑戦状でもあるが僕はそれを全て超えてやろうと思い稽古場で提示をした。

そうするとまた更に一段階上のオーダーがあり苦悩したけど、負けてたまるかとまた違う提示をした。

そんなやり取りを稽古場から昨日の千秋楽に至るまでした結果、袖で待っていた西森さんと抱き合った時には涙が止まらなかった。

あなたが、僕を育ててくれた。

本当にありがとうございます。

衣装さんは、常に皆の衣装の事を考えてくれていた。

実はサクラコートは僕が全てオーダーしたのだ。

シャツを着てベストを着たい、ネクタイを締めたい、超ロングコートを着たい、こうゆうシルエットにしたい、細かい所だが今までブーツインしていたスタイルを辞めたい、等。

それを全て汲み取ってくれたのがあの衣装。

出来上がり着れた時は幸せだった。

音響チームは芝居心がありまくりの職人達の集まりだ。

音楽の力は芝居を助けてくれると言うけれど、あの音響チームは格別で常に役者目線で考えてくれてどんな状況になっても助けてくれるという絶対的な信頼感がある。

以前、音響チームに聞いたことがある。

皆緊張するの?と。

そうしたら、こう答えてくれた。

緊張で手足が震えるし、正直怖い。と。

それを聞いて僕は1人で戦ってるのではない、皆で戦ってるんだと思えた。

メイクチームは皆のメイクが出来たら、はい終わりではない。

袖で汗を拭き取り、髪が乱れていれば直し、常に僕達がベストに見える状態をキープしてくれている。

僕達を煌びやかにしてくれる照明チームにも感謝しかない。

どんだけ良い衣装を着ていてもしっかりメイクをしていてもステージが暗ければ何の意味もないが、頭からつま先まで見えるように綺麗に照らしてくれる。

映像チームは、今回も素晴らしかった。

舞台とは思えない程綺麗な映像は、まるで映画を見てるかのような感覚になった。

オープニングを観ていても途中の映像を観ていても何度も鳥肌が立った。

裏で動いてくれた舞台監督チームも、今回素敵なセットを組んで頂き100%安心して芝居が出来た。

実は大阪の千秋楽、僕が一嶋係長からの卒業ミッションを読むシーンがあったのだが開いたら「卒業おめでとうございます」と書かれていたのだ。

危うく目がそっちにいきそうになりかけたが…

粋なサプライズに心底嬉しかった。

この作品に携わってくれたスタッフの皆には感謝してもしきれないぐらいの想いがある。

だからもうこの作品でご一緒出来ないから寂しいではなく、またもう一段階上の現場でお会い出来るように僕は頑張る。

最後に皆様へ。

長い間、この作品を有賀涼を支えてくれて本当に有難う御座います。

皆様からの応援で何度も救われました。

東京、大阪と沢山のお花も有難う。

影アナ終わりの拍手、カーテンコール時の拍手、お手紙、SNS等の感想、全てにおいて僕を支えてくれました。

今後メサイアが続くのであれば、否、続くと思いますが是非ともこの作品を応援して頂きたい。

長くなりましたが兎に角、卒業できた事を誇りに思っています。

本当に有難う御座いました。

メサイアという作品を愛しています。
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有賀涼

井澤勇貴