志村ふくみさんの展示が明日までなので、そぼふる雨のなか、大山崎に行ってきました。
中世の気品漂う洋空間に、素朴な配色ながらも何故か斬新さを感じる志村さんのお着物
がしっくり溶け込んで、独特の世界観を醸し出していました。
普通、着物を見ると、これは年配用のいろめ、これはお商売の人用、みたいに、着る人の
イメージが固定されます。でも志村さんのお着物は着る人の年齢が特定できない不思議
な色合わせ。派手でも地味でもなく、自然にある、どこかで見たような景色を切り取ったか
のような配色です。と私は思います。
何かに、誰かに、合うように化学的な材料で染められたものは、きっとその場で映えても、
他では異物となるのかもしれません。志村さんの反物は自然素材で自然をモチーフに
染め上げられているから、和でも洋でも、古でも現代でも、人や場所を選ばないのでしょう。
天王山の山麓にあたるこの地からは東側の景色が一望できます。テラスに出ると、
来月のワンコインで行く予定にしている男山が真正面に見えました。その下には関西
900を越す川が琵琶湖に流れ込み、それが流出するのは唯一、瀬田川のみ。瀬田川は、
京都で宇治川となり、ここ大山崎で、桂川、木津川と合流し淀川となって大阪湾に注ぎ
ます。ここが淀川と言われるスタートラインです。
そんなことで水上交通の要衝であるこの地は古くから、領地争いの戦いの場となり、
天下分け目の天王山と言えば知らない人はいないはず。この地の覇者は、人やモノ、
文化が往き来している様子を見ながら悦に入っていたのでしょうか…。
お庭を散策してから、近くにあるマダム御用達のレストランで食事をする頃にはすっかり
晴れて、春を思わせる陽気となりました。