インドの花旅 その2 ~カース高地~ | 森中あゆみの「山と薬膳で、ココロとカラダをまるごと養生♩」

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「世界の国の人と自然」を愛するヨメが
「岩と雪と氷」を愛したダンナと
日々のつれづれを発信します。

食事に続き、カース高地のお花畑の様子から記してゆきたいと思います。


今回の旅の目的地は西インド。ゲートウェーはムンバイが一般的ですが、我々は

デリーから国内線でプネーに向かいました。そこから車で移動し、カース高地の基地と

なるサタラで3連泊、カース高地は町から西に25km走ったところにあります。


といってもピンとこないと思います・・・。
そもそもからスタートします・・・。

ざっくりいうと、インドには北側のヒマラヤ山脈、西側の海岸線に沿って西ガーツ山脈、

東側の海岸線に沿って東ガーツ山脈という3つの大動脈があります。もちろん他にも

山脈はあります。ざっくりです。


東西ガーツ山脈に挟まれた場所がデカン高原。つまりインドの大部分を、標高約300
~600mのデカン高原が占めているのです。で、デカン高原側にあるサタラの町から、

西ガーツ山脈に向けて車を走らせると、標高約1200mの高地があります。そこが

カース高地、今回の旅の目的地です。


カース高地は一帯河川の浸食により削られたテーブルマウンテン上にあります。

モンスーンの大量の雨に土壌は洗われ、栄養分が極端に少なく、水を通さない岩盤状

の地層なので、雨期には小さな湿原に、乾期は乾いた過酷な大地となります。


植物が好きな人には、つまらなさそうに思えますが、木の生えない岩盤帯は草地となり、

雨期明けには一斉にお花が咲き誇るというのです。

暑そうなインドにお花畑?ってのはそういうことです。

このツアーは、ほんの短い開花期を狙っての、ドキドキワクワクのツアーなんです。

今年は、雨季が延びて開花が遅れたそうです。直近の雨で流されたという人も・・・。

いずれにせよ、ベストではなかったようです。それでも、見れると予想していた種類は

ほぼ目に留まり、要所要所でお花畑のパッチも見つけて、楽しいハイキングでした。


黄色いお花は、通称ミッキーマウス。

マメ科シバネムの仲間で、カース高地には数種類、同じようなお花が咲いています。

花のガイド君は、大きさの違う2種類を、オスメスと呼んでいました。

陽が落ちると、花びらが閉じます。悪天時も閉じているかも? 夕方、閉じたお花を見て、

さぁさ!私たちも町へ帰ろう!ってバスに乗り込みました。

そんな、1日の時を告げるようなお花です。 ウハハ!サスペンス小説に使えそう??


  あなた、嘘のアリバイ証言をしていますね! ほらこの写真、ミッキーマウスが

  閉じてるじゃないですか!あなた、ここにいたのは日中じゃない!夕方だ!!


って十津川警部がいうんです(笑)!!!

赤い岩盤とわずかな土の上に、様々な草花が生えています。

雨季が明けきっていないとのことでしたが、幸い、雨にもあわず、ラッキーでした!


と言いたいところですが・・・、

実は高地に上がる道がサタラ到着日にがけ崩れで通行止めに・・・。写真で見る限り

一晩での復旧は無理っぽい💦 新聞にもデカデカと掲載されてます💦💦 現地スタッフ

は明日は大丈夫!といいますが、いやいやいや・・・。

で、慌ててハイキングの日程を入れ替え、他のアプローチの確認と細い道路を想定し、

小型車3台の手配をするという一幕がありました。別の道の下見をしてきてと頼んだのに、

崩落地の写真を撮ってくるし、分乗するとなるとツアーリーダーが乗らない車も・・・。

連呼で走ってと頼んだところで、そんなことどこ吹く風ってなディープアジアです・・・。


ツアーリーダーとしては、色々と気を揉んで、打てる手を尽くそうとするわけです・・・。
最初は「ハイ!」と好意的だった現地ガイド陣も、しまいには「大丈夫ですから!」と
ちょっとメンドクサそうに・・・苦笑! お互い仕事なので流されてはいけませんが、

そこはほら、主張しつつも譲り合って、折り合いをつけるのも大事・・・。
この仕事を始めた頃は、負けてはならぬ!とグイグイ押したものですが・・・(笑)

結果的には、当初の予定をすべてクリアできたのです。インドだから…と不安はいっぱい

あるのですが、過程はともかく、インド人は最終的に帳尻をきちんと合わせてくれる!

なので、確認はした方が良いけれど、心配しすぎなくてもよい、というのが今回強く受けた

私のインドに対する印象です。


この件だってそうでした。

3台の車のドライバーは地元のおっちゃんで、ジイサン?と思う人もいたのですが、まぁ

この人の運転の上手なこと・・・。みんな一緒に走ってくれたし、時間より早くスタンバイして

くれてたのも感動的でした。う回路は行ったことないと言われ、まぢかよ…、でしたが、

通りすがりのバイクの兄ちゃんに道を誘導するよう頼んでくれたりして、予定の2時間

ピッタリンコでカース高地の駐車場に着いたというミラクル!


他にもこちらの心配をよそに、現地の人たちは、上手に立ち回って、帳尻を合わせて

くれたことがいっぱいありました。こんなこと書きつつ、やっぱり油断してはいけないと、

今なお思う自分もいるのですが、時と場合によっては、現地の大船に乗ってもOK!と

選択肢が増えたことは今回の大収穫でした。まだまだ観光客が少ない地方だからこそ

かもしれないので、これから渡航される方は、気を抜かないでください(笑)!



ツリフネソウの群生地です。踏みつけによる損失を防ぐために、気を遣いました。

カース高地は、70%が固有種で、多くが絶滅の危機に瀕しているといいます。

インドでは自然保護の観念がまだ発達していないので、問題になっていると聞きました。

めったに来ない日本人観光客に色々な花を見せてあげようと、花のガイド君は張り切って

くれるのですが、こちらはヒヤヒヤです・・・💦






旅を通してずっと私たちの案内をしてくれるガイドさんに加え、ここでは花のガイドさんが

案内してくれます。公園のレンジャーさんがさらに同行してくれた場所もありました。


というか、花スポットを案内するよう、花のガイド君が頼んでくれたんだと思います。
レンジャーさんはガイド君のいとこだったとか・・・。いずれにせよ、ロスタイムなく、花が

きれいな場所に案内してもらえました。

気の利くガイド君でした。町に帰る前、民家訪問ってのはどう?と紅茶を入れてもらうよう

頼めるよ、ってサジェストもしてくれました。行く前にはお茶とお砂糖を買ってました。

相手のお家のことも考えてくれてます。当然、ご参加者の皆さんも大喜びです。私も

とっても嬉しかった・・・。高地に来る道中の道案内を、通りすがりのバイク兄ちゃんに

頼んでくれたのも彼でした。

実は、旅じゅう一緒のスルーガイド、クマールさんが、彼を指名したということも後で

聞きました。以前一緒に行って、仕事ができる人だと連絡先を控えておいたのだと・・・。


良いツアーにしようと現地の皆が協力してくれていることが嬉しいです。私の中では、

インド人はずるい人、スキあらば手の抜く、ボーっとしてると吹っ掛け騙される、みたいな

印象が何故かあったのですが、彼らもスルードライバーさんもホテルのスタッフもみんな、

親切に対応してくれました。

ここまで読んで、インドってそうなの?と思いを新たにされたあなた!!

ご安心ください、そうは問屋が卸しません大爆笑!!!


私たちの出発直前にインドから帰国した知人の息子さん、現地でお菓子を買ったら、

袋が開いてたんだそうです。不良品だ!と文句を言いに戻ると、セロテープを貼って

「問題ない!」とそのお菓子を渡されたんだと・・・(大笑)!

それもやっぱり、まぎれなくインドの顔です。

え~~!そんなん!と思わずに、コントか!ってツッコめる心のゆとりを持つことが

楽しい旅作りの基本ですね。良いも悪いもキレイも汚いも、全てを受け入れることが

旅なんだと思います。自分の価値観を押し付けても、心がしんどいだけです。


もちろん、私は仕事で行くわけですから、皆さんが快適に旅をしてもらえるよう、細心の

努力は惜しまないし、言いなりにはなりません。石橋は叩いて渡ります、叩き割らない

程度に・・・(笑)!



世界遺産に登録されて、インド人観光客が車やバスでわんさと訪れるのだそう。

それを見越して、スナックを売るおばちゃんたちをちょこちょこと見かけました。

左側の女性陣は、木陰で花見弁当中。


木の上のオヤジ、いい具合に収まっていますね(笑)! 見渡す限り大草原のこの地は

標高があるからさほど暑くはないですが、やはり日中の陽射しはきつく木陰は貴重です。

少ない木の幹は、プレミアムシート!! どや顔でカメラ目線のオヤジです(笑)!


花のガイド君。

英語が流暢なので、会話は問題ありません。ただし、ナマステいんぐりっちゅなので

慣れるまでは聞き返すこと数度・・・。とはいえ、こっちの英語も怪しいもんなのです(笑)

カース高地のハイキングは支払い手続きをすると3時間まで滞在を許されます。ゲート

付近は金網が貼られ、係員と恰幅の良いおっちゃんたちがたくさん、プラ椅子に座って

おしゃべりをしています。たぶん、観光客です。


その人たち目当てに、きゅうり屋さんが道端に座り込んでます・・・(笑)! そんなんでは

売れへんぞ~~と言わんばかりに、ガイド君が大声(たぶん人寄せの声)を出しながら、

器用にナイフを扱って、最後にパッと、お花型に切ったきゅうりを見せてくれました♡ 
周囲の視線は釘付けです。やるとは聞いていたが、オヌシやるのう!!


向こうのきゅうりは、ズッキーニみたいに大きめで、もちろんジューシーなので、暑い時

にはそそります♡ 黙って座り込んでる兄ちゃんが売る薄汚れたきゅうりにはノー興味
でしたが、ガイド君の工作きゅうりには思わず手が出ちゃいました。瑞々しくて美味し

かったです。ナイフを洗う水がヤバいですから、とお客さまに生野菜禁止令を出して

おきながら、思わずパクッと口に入れちゃいました・・・(笑)!


漢方できゅうりは、清熱解毒、利水消腫、潤膚美容、つまり、熱をとり解毒作用がある、

暑くて飲み過ぎた過剰な水分を排出し、むくみを取る、肌を潤わせ美しく整える、という

働きがあるとされてます。こういう場所でのきゅうりはとても理にかなっています。

インドは、世界三大伝統医学のひとつ、アーユルベーダ発祥の地です。西洋医学にみる

対処療法でなく、ありとあらゆるすべての物のバランスを重視する全体観の医学。

ここできゅうりを売ってる理由は、奥が深いですよ~~。