佐渡の山旅2 千手杉ハイキング | 森中あゆみの「山と薬膳で、ココロとカラダをまるごと養生♩」

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「世界の国の人と自然」を愛するヨメが
「岩と雪と氷」を愛したダンナと
日々のつれづれを発信します。

ツアー日程を見たら、千手杉コースと書かれている。

行ったことのないコースだが、会社からの配布物に地図がない。

新潟大学の演習林内にある杉の原生林を歩くそうだが、地権者の

希望により、地図は配布できないのだと・・・。

ネットでチェックしてもこれという確かなレポートががない。

 

私たちガイドがコースを把握するのには、やっぱり地図を読むことが

何より一番の作業だ。尾根か谷か、アップダウンはどんなもんか、

だいたい、スタート地点も分からぬままのルートなんて、神隠しに

あったような、ものすごい気持ち悪さがある。

 

管理の問題なのか何なのか、林道歩きが中心の大したコースでも

なかろうに、指定ガイドの同行が必要で、事前に全員の誓約書も

提出しなければならない。一日の入山人数の制限もある。蜂などの

懸念から黒い服禁止とか、匂いの強い香水などはつけるなとか・・・。

私たちが普段入っている山とグレードが違うのかと心配してしまう。

 

だいたい・・・、佐渡と言えば大佐渡縦走がやっぱり人気コース。

正直、それしか頭になかったし、そこ以外は花を堪能するコースと

違いをつけるための調整的な存在だと思い込んでいた。

恐らく、さしたる見どころもなく、観光協会が大佐渡以外のコースも

クローズアップさせようと祭り上げたコースなんだろうと・・・。

 

で、歩いてみて・・・。

結果としては、素晴らしいコースだったというのが正直な感想。

4~5時間の行程内で、林道歩きが約4時間。これで素晴らしい

というなんぞ、森中、血迷うたか???みたいな感じだけれど、

手つかずの自然林にツアー登山で入れることはそうそうない。

人がまださほど歩いてなくて、道が踏み跡程度で、色んな植物を

踏まずになるくことは困難、みたいなコースはほぼない。

 

そんな贅沢なルートを30分ほど体験する。

そこが本当に素晴らしかった! 当日は小雨だったせいもあり、

植物がしっとりと濡れそぼり、瑞々しく出迎えてくれる。

風雪により独特な形をした千手杉をはじめとする杉たちも、

私には、自然の中で好き勝手、存分に枝葉を伸ばしているような

おおらかな木に見える・・・。

 

杉の足元の水たまりには、モリアオガエルが啼き競っていて、

黒サンショウウオの赤ちゃんがちょかまか泳いでいる。

新潟県では絶滅危惧種Ⅰの指定を受けているサルメンエビネにも

会えた。これは予め、他の人のレポートを見て、時期的にも見れる

かも?と期待していたのだが、以前から見たかった花だけに

感動は大きい。

 

このコース、認定ガイドの同行が必要で、入山口には施錠された

門がある。単に新潟大学の土地だから、入り口の門、ってことでは

ないらしい。サルメンエビネを始め、希少植物の盗掘が多く、個体数

が減っているがゆえ、逆にガイド付きハイキングコースをオープンに

することで、人の目を多くして、盗掘から植物を守ろう、という作戦

なのだと・・・。

 

そんな下世話な事情でありながらでも、この原生林を歩けたことを

素直に喜びたい。

ワイルドでパワフルで、生命力に満ち溢れたハイキングだった。

 

大半がこんな林道歩き

 

お天気が優れず、景色の見通しが効かないが、それはそれで

山深さを感じて、なかなか良かった。

 

林道脇の木々が、だんだん自然木に変わってゆく

 

モリアオガエル

 

千手杉

風雪による特異な枝ぶりは、立山の美女平あたりを思わせる。

 

原生林の中に入ったら、立派な木がどんどん現れる。

足元まで日の光が入り込み、林床の下草が豊富に育っている。

あるべきはずの森の姿だ。

 

世代交代もしっかりできている。

 

お弁当タイムも合わせて、1時間ほどの原生林トリップ。

林道でも、私的にはそこそこ満足できる花が多くみられ、ガイドの

後藤さんが丁寧に説明して下さるので、とても楽しめた。

そのガイドぶりに、佐渡の人のお人柄を見るようで、なお良かった。