山ブキの佃煮を作りました。
スーパーで山ブキ発見、居ても立ってもおられず、思わず4束買ってしまいました。
手術した右手は水に濡らせないため、左手で時間をかけて洗って、
長さを揃えて切って、湯がいてあく抜きし、お醤油とお酒と必殺「味の素」で炊きこみました。
これは、たぶん誰が食べてもあんまし馴染めない味かも・・・。
かなり醤油辛くてあまりにシンプルな味なので・・・。
でも私は、冷やご飯と冷たくひえた麦茶でお茶づけして、この濃味のフキを食べるのが
この上なく大好きです。これを食べなきゃ春が来ないという感じ。
私の両親は山歩きやドライブが大好きで、小さい頃から、春には大峰方面に
家族でドライブに行って、みんなでフキやスカンポを摘むのが恒例行事の一つでした。
ジュリーの歌をカセットでかけて、妹と絶唱し、舗装道路がガタガタ道に変わると
河原や土手にフキの葉が目立つようになります。
アクで手が真っ黒になるフキは両親が摘んで、折ると「ポン」と大きな音の鳴るスカンポが
もっぱら私たち子供の仕事でした。といっても、スカンポはその時にカシカシと酸っぱいのをかじって
ポイッチョして終わりなんですが・・・。
梅干しのおにぎりとテルモスのお茶、河原で楽しいお昼ごはん。
種だけの「アタリ」は誰が食べるか?も毎年恒例の「お楽しみ」のひとつ。
食後、川で私たちが遊んでいる間、花好きの両親は、気になる山野草を拝借していたような・・・?
家に帰ると、父はゴルフをテレビで見て、私たちは遊び疲れてグーグー。
母は摘んできたフキをせっせと掃除してあく抜きし、炊き始めます。
すごい量を摘んでくるので、洗うだけでもひと仕事、大鍋でもこぼれそうなほどの
量を、ひとり黙々と炊いてくれていました。
うたたねしながら嗅いでいた、お醤油とフキの絶妙な匂いは、
今も私の鼻の奥にしっかりとインプットされています。
私も妹も嫁ぎ、母もなくなった今、春の恒例行事はもうありませんが、
母が炊くフキの味だけは、何とかこれからも受け継いでいきたいと思っています・・・。