サックスで和音を出す人たち (サックス複数本の同時吹き) | 愛しのジャンポール

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友だちはスズメとカエルさんだけ


元BASSIST、現在ALTO SAX吹いてます♪

ヘンな音楽とかフツーの音楽とか、楽器、サクラ大戦、スズメ、カエルさんとか… 
ドーデモイイ日記ですがよろしくよろよろですのだ (・o・)

 
4月14日(日)雨くもり


みなさま
ごまークマ



今日は午前中からアルトの練習。しかし昼前に雨が降ってきたので練習はやめ。
1ヵ月半振りにディスクユニオンへ行くことにしました。

さすが、ディスクユニオン!
久々に行くと、日本橋の中古屋とは違いやっぱり買うべき物が何枚も見付かります。
無駄遣いも出来ないのでとりあえず1枚、ずっと探してたCDがあったので、喜んで購入。


雨の中、扇町公園で桜と無理矢理一緒に撮影↓

雨降ってるのに、傍から見ればヘンジ●サンだっ!

ローランド・カーク初期の名盤『ウィ・フリー・キングス』(1961)です。
94年発売の国内盤、帯付き。PHCE品番の帯が懐かしいなぁ。(←知らんがなっ!ってカンジですね。)
3本の楽器をいっぺんに咥えているジャケットがインパクト大です。




ずっと小雨のままなので、また練習に戻りました。
この程度の雨なら木の下で何とか凌げるので。


けどやっぱり傍から見ればヘ●ジンサンだっ。
たまに通る人が私の方を訝しげな目で見て行くので恥ずかしいです。




実は最近、ちょっとだけローランド・カークがマイブームなんです。
ちょうど1週間前、湊町のジュンク堂書店でこんな本を買いましてん↓


また不気味な写真をっ!@日本橋公園

「週刊ラサーン ~ローランド・カークの謎です。
ラサーン・ローランド・カークの超マニアックなデータが満載の物凄い本です!
間違いなくカークに関しては日本一詳しい本です。




この本を買った翌日には日本橋のディスクJJで、これまた国内盤オビ付きで探してたCDを発見!
モッチロ~ン!喜んで購入↓


この日の日本橋公園は桜が満開でした。
うじょうじょ人だらけの大阪城公園や毛馬桜之宮公園と違い、静かに桜を愛でることが出来ます。

R・カークの幻のデビュー作『サード・ディメンション』(1956)です。
これまた3本の楽器をいっぺんに咥えているジャケットがインパクト大です。



サックスはよく「最も人の声に近い楽器」と言われるように、その音色が魅力です。
しかしギターやピアノ等と違い、最大の弱点とも言えるのが「和音を出せない」という点。
そう、サックス奏者にとって和音を奏でるというのは憧れであり、夢のような話なのです。
ならば同時に複数の楽器を咥えて和音を出してしまえ、とローランド・カークのような人が現れた訳です。

カークが複数の楽器の同時演奏をすることになったきっかけには諸説があります。
「夢で3本のサックスを吹く自分の姿を見た」、「夢で神様から同時に演奏せよとお告げがあった」…etc.
どれが本当かは分かりませんが、何れにせよ見た夢がきっかけだったようです。






というワケで、今日はサックス奏者の夢を実現させた愛すべきゲテモノ野郎たち…
サックスで和音を奏でた人達を紹介します。

YouTubeから同時吹きの見られる動画と、私が所有するCDから1枚をチョイスして紹介します。





 もちろん一番有名なのはこの人!
■ローランド・カーク (1935.8.7-1977.12.5)





サックス複数本の同時吹きだけでなく、鼻でフルートを吹いたり、自作楽器、雑貨まで楽器にしたり…
何十もの楽器を身に纏って演奏する様は、さながら大道芸人のようです。
しかし奇を衒った感じはなく、きっと純粋に自分が出したい音を出しているだけなのでしょうね。

基本となるのはテナー、マンゼロ、ストリッチの3本のサックスです。
マンゼロとはソプラノ・サックスの一種であるサクセロを片手で操作できるよう改造したもの。キーはB♭。
ストリッチはストレート管のアルトのことで、キーはE♭です。
マンゼロとストリッチという楽器名は、元々の楽器に改造を施すことにより、カーク自身が名付けたもの。
構える位置は『サード・ディメンション』のジャケットの通り、左からテナー、ストリッチ、マンゼロとなります。






【同時吹きを聴くための1枚】


CDローランド・カーク 『ナチュラル・ブラック・インヴェンションズ:ルート・ストラタ』


カークのアルバムはどれも同時吹きを聴くことが出来ますが、究極のこの1枚を…
1971年作品。一部ピアノや打楽器が加わる他は、なんとカーク1人によるオーバーダブなしの演奏!
もちろん同時に聴こえてくるサックスの音は複数本の同時吹きです。

同時吹きを聴くには最適な1枚ですが、アルバムを通して聞いたら結構疲れますね。
そもそもオーバーダブ無しの独奏というもの自体、限界がありますから。
どうやらカークのアルバムの中では最も売れなかったようです。
私も本作よりも『ウィ・フリー・キングス』や『ドミノ』といった聴きやすいアルバムの方が好きです。

2曲目では「ハバ・ナギラ」のメロディが出てきて、クレズマー・ファンならドキッとします。
しかし2本同時吹きで片手分の音域しか操れないためか、不完全な「ハバ・ナギラ」ですけどね。











 次に紹介するのは、英プログレ/ジャズロック界の名サックス奏者…
■ディック・ヘクトール=スミス(1934.9.26-2004.12.17)



コラシアムのデビューライブの映像。


60年代初頭より、アレクシス・コーナー、ジョン・メイオール、グラハム・ボンドのバンドに参加。
それらブリティッシュ・ブルース学校を渡り歩いた後、1968年にジョン・ハイズマンらとコラシアム結成。
エヴァン・パーカー、エルトン・ディーンと並び英国を代表するサックス奏者です。2004年他界。

因みに“Dick Heckstall-Smith”と綴るので“ヘクトール”ではなく“ヘクストール”かも知れませんが…
実際の発音を聞いたことがなく、また昔から“ヘクトール”のカナ表記で馴染んでるのでそうします。



【同時吹きは確認できないけど、一応…】


CDディック・ヘクトール・スミス 『ア・ストーリー・エンディッド』


私、彼の作品はコラシアム『ヴァレンタイン組曲』と本作しか持ってなくて…
聴き込みが足りないせいか、そのどちらにも同時吹きしてる箇所が確認できずにいます。
恐らく同時吹きを売りにしてる人でなく、あくまでライブでの視覚的効果を狙った部分が大きいのでは?

一応本作の紹介も少し…
コラシアムの解散後、1972年に発表した初のソロ・アルバム。
ソロ・アルバムといっても本人のサックスを前面に打ち出したものではなく、前編ヴォーカル入りです。
コラシアムの元メンバーほか豪華メンバーが参加した、コラシアムの延長線上のジャズロック・サウンド。



【同時吹きを見るのに最適な映像作品】


CDV.A.『スーパーショウ』(DVD)


1969年3月ロンドンのライブハウス、ライノリウムで密かに開かれ、撮影されていた伝説のセッション。
コラシアムをはじめ、エリック・クラプトン、ジャック・ブルース、スティーヴン・スティルス、バディ・マイルス、
そしてレコード・デビュー間もない頃のレッド・ツェッペリンetc.といったロック界の大物が集結!
それだけでなく、シカゴブルースのバディ・ガイ、ジャズ界からはローランド・カークとMJQが参加。

そんな当時の旬のミュージシャン達がジャンルを越えて一堂に会したイベントの映像作品です。
時はロックが急速に発展した60年代終わり、他ジャンル同士が交わろうとする瞬間のドキュメント。
先に載せたカークとコラシアムの動画も本作品からのもの。同時吹きを視覚的にも堪能できる逸品。












 同時吹き“命”で、挙げ句の果てにはサックス2本を合体させてしまった男…
■ジョージ・ブレイス (1939.6.27-)



2本のうちのアルト(左)のマウスピースはブリルハートのレベルエアーじゃないですか!


彼こそゲテモノ中のゲテモノ! イロモノ中のイロモノ!
ケッタイな楽器でしょ?! このオイチャン、カークと違い明らかに奇を衒っていますよねー?
ストリッチ(ストレート・アルト)とソプラノのサックス2本のベル部分を溶接でくっ付けてしまったという…
それでオイチャンの名前を取って“ブレイスホーン”と命名。


※以下の画像2点はネットより無断転用
 
ブランコに乗って吹くオイチャン。いちびってますねー。


ブレイスは60年代にブルーノート、プレスティッジにリーダー作を残し、その後プッツリと消息を絶ちます。
それで80年代にマンハッタンでストリート・ミュージシャンをやっている所を発見されてシーンに復帰。
とある文献では、60年代後半に自分の店を持ち、そこで定期的にセッションも行っていたとのことです。
表舞台からは退いていたとはいえ、演奏活動はずっと続けていたということですね。
因みにブレイスホーンを完成させたのは1976年。以後も同じ楽器を改良しつつ使い続けています。



1992年リリースの復帰作『ダブル・ユア・プレジャー』のジャズ批評誌に掲載された広告。




【同時吹きを聴くための1枚】というか、これしか持ってないので…


CDジョージ・ブレイス 『ラフィング・ソウル』


このジャケット写真、いちびってますねー。
カウボーイハットに二丁拳銃よろしくズボンに2本のサックスを突っ込んで…
どうやらテナーとCメロ・サックス(がシルバーの方)のようです。

プレスティッジ移籍第1弾となる1966年作品。当時台頭していたソウル・ジャズ作品です。
ブルーノート時代からの共演仲間であるグラント・グリーン(g)とジョン・パットン(org)が参加。
ラテンからバラードまでをソウルフルにムーディーに聴かせてくれています。











 最後は日本が誇るこの人を紹介!
■泉邦宏 (1967.7.13-)



「平和に生きる権利」はチリのフォルクローレ歌手、ビクトル・ハラの代表曲。


渋さ知らズ、藤井郷子オーケストラでは主にアルトを吹くサックス奏者、泉邦宏。
去年11月に少し記事にしましたが、初めて泉さんのライブを観に行って物凄い衝撃を受けました。
サックス2本吹きにとどまらず、パーカッション、ギター、歌、シンセ、ハーモニカ、尺八ほか…
あらゆる楽器を一人で操り、しかもそれが仕込み無しのリアルタイム同時演奏!
ローランド・カークを遥かに超越し、他の追随を許さない彼独自の世界に到達しています。



【同時吹きの聴ける1枚 (オーバーダブもしてるけど…) 


CD泉邦宏 『パラランカ』


自己のレーベル「キタカラレコード」から多くのソロ・アルバムを出しており、本作は2008年発表。
サックスをメインに打楽器、尺八、ギター等、同時演奏とオーバーダブによる作品。
なので、どこまでが同時吹きで、どこからがオーバーダブなのかは聴いてても分かりませんが…

全16曲、トラッド2曲と尺八によるオーネット「ロンリー・ウーマン」以外は全て泉作曲。
因みにトラッドの2曲はボリビア民謡とアンデス民謡。
ジャズ色は無く、どこかで聴いたようなノスタルジックなメロディと民族音楽っぽい響きが印象的。








以上です。

同時吹きする人で紹介したいのが、他にもまだまだあるのですが…
ESPディスクに1枚だけ作品を残したフリー・ミュージック・クインテットのPeter van der Lochtとか。
けど、フリージャズの人まで挙げてたらキリが無いので、有名どころだけにとどめておきました。

まー。






■先月(3月)の収穫

CDザ・ジェフ・ヒーリー・バンド 『ヘル・トゥ・ペイ』
CDMILES DAVIS 『JAZZ FEST.BERLIN 1 NOV.1985』(BOOT DVD-R)
CDザ・ジェフ・ヒーリー・バンド 『シー・ザ・ライト』
CD『The Art Ensemble of Chicago and associated ensembles』(21CD)
CDグレイテスト・ショウ・オン・アース 『ゴーイングス・イージー』
CDデヴィッド・ボウイ 『ラヴ・ユー・ティル・チューズデイ』(LP)
CDチャラン・ポ・ランタン 『ドロン・ド・ロンド』(CD+DVD)
CDオドネル・リーヴィ 『エヴリシング・アイ・ドゥ・ゴナ・ビー・ファンキー』
CDミッキー・カーティスと侍 『侍』
CDDAVID BOWIE 『1978 LIVE』(BOOT 2CD+DVD)
CDケリー・サイモン 『サイレント・スクリーム』
CDイングヴェイ・マルムスティーン 『ブルー・ライトニング』
CDチャラン・ポ・ランタン 『過去レクション』
CDクリーム 『アンソロジーVol.2』





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