吉田野乃子…ジョン・ゾーンの後継?!“ノイズサックス奏者” | 愛しのジャンポール

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友だちはスズメとカエルさんだけ


元BASSIST、現在ALTO SAX吹いてます♪

ヘンな音楽とかフツーの音楽とか、楽器、サクラ大戦、スズメ、カエルさんとか… 
ドーデモイイ日記ですがよろしくよろよろですのだ (・o・)

 
2月1日(土)くもり


みなさま
ごまークマ



@京橋某所

撤去されたら 学生さん、お母さん、お子さん大変!
どんなピンポイントやねん!





昨日の買い物↓

200131_233411.jpg
オジーの『罪と罰』とストーン・アライアンスのライブ盤。

ライブの行きしな、ディスクピアに寄って購入。
んで、日本橋公園で記念撮影。(またか…)





そう、昨日と今日は吉田野乃子さんのライブへ行ってきました。
昨日は心斎橋アメリカ村、今日は京都市左京区まで行ってきました。
実は吉田野乃子さんのライブを観るのは初めて。ようやく念願が叶いました。



以前(もう4年ぐらい前)、サックス奏者の小埜涼子さんについて記事にしたことがありまして…
「最近とても気になる日本人女性サックス奏者が2人います。」
と書いて、小埜さんを紹介しました。

1.5倍速タルカス、サックス版ピアノフェイズetc…尖鋭的SAX奏者●小埜涼子『Undine』
2016-06-11
https://ameblo.jp/avant-sax/entry-12174811988.html



ならば、もう1人は誰?



あれから4年も過ぎてしまいましたが、やっと記事にできる時がやって来ました。
ライブも観たし、念願のソロ・アルバムも買ったので、ようやく書けます。
吉田野乃子さんです!



ジョン・ゾーンを彷彿させる、とても女子とは思えない過激な演奏!



まずは吉田野乃子さんについて…

1987年北海道生まれ。小学5年から岩見沢に住む。サックスは10歳から始め、高校時代に小樽在住のサックス奏者、奥野義典氏に師事。ジャズを学ぶため、2006年夏、18歳の時に単身でニューヨークへ渡米。しかしジョン・ゾーンとの出会いにより前衛音楽に惹かれ、マルチリード奏者のネッド・ローゼンバーグに師事する。自身のバンド“SSSS(Super Seaweed Sex Scandal)”や“ペットボトル人間”でアメリカ、カナダ、日本、ヨーロッパをツアーし、SSSSでは2010年にドイツのメールス音楽祭に出演。9年半のアメリカ生活の後、2015年12月に帰国、活動拠点を北海道に移し現在に至る。自称“ノイズサックス奏者”。

(以上、ライブで貰った自己紹介のプリント、フライヤー等を参考にまとめました。)




若くして凄い経歴! 高校卒業後の18歳の女の子が単身で渡米すること自体、大したものです。
ジャズの勉強の為に行ったのに、結局はジョン・ゾーンのせい(?)でヘンな音楽の道へ進むことに…
スンバラシイお話ですね◎

アメリカに渡ると、ニューヨーク市立大学の音楽科に入学した野乃子さん。
しかし現地で本場の音に触れた時に、大きな疑問が生まれたそうです。
「なぜこれ(※)を真似する必要があるのか」と。
自分のやってる“ジャズの真似事”が、まるで“日本語訛りの英語”のようだったと野乃子さん。
(※「これ」とは、ジャズ=アメリカ人の音楽のこと。)

「英語を母国語とする人たちの話し方に近づけるように努力」するよりも、
「自分の言葉で言いたいことを言う」方が良いのではないか?


彼女の現在へと続く自己のスタイル形成の原点が窺えるエピソードです。





2006年7月9日ということは、渡米前の初期野乃子さん貴重映像!
現在の彼女のスタイルの片鱗を感じられなくもないけど、まだまだ普通の演奏です。



彼女の御両親がフリージャズなどの変わった音楽が好きで、その影響が大きかったという野乃子さん。
どうやらジョン・ゾーンとの出会いによって、いきなり前衛音楽に傾倒したという訳ではないようです。
幼少の頃から自然とそのような音楽を聴いて育ったというバックボーンがあったのです。
実は筋金入りだったのですね。

“ノイズサックス奏者”といっても、音楽ジャンルでいうノイズのサックス奏者という意味ではありません。
垂れ流しノイズを奏でるボルビトマグースのジム・ソウターとドン・ディートリッヒは、確かにノイズの演奏。
けど野乃子さんはメロディー楽器としてだけでなく、様々なノイジーな音をコントロールして演奏します。
福島恵一氏が言うところの「サウンド/ノイズ・メーカーとして」のサックス(楽器)ということですね。
何を言うとんねん!ってカンジなので、もうやめておきましょう。また機会があれば書きたいです。


【参考動画】 ボルビトマグース

必殺技「ベル・トゥゲザー」や、ホースをつなげて吹くやつもやってます。






さて、昨日と今日のライブについて書き留めておきます。



1月31日(金)




場所は西心斎橋のライブハウス“火影”。
ブッキングのライブで3バンド出演中、野乃子さんの出番は2番目。
大阪在住のギタリスト、ルイリロイさんとのデュオでの出演でした。
(余談ながら対バンのデグルチーニは実に久々に、10数年ぶりに観ました。)

野乃子さんのオリジナル、ペットボトル人間の曲、「ラジオのように」のカヴァーもやってくれました。
ジョン・ゾーンばりのフリーキーなプレイで、循環呼吸、スラップタンギング等の特殊奏法が炸裂!
使用マウスピースはデュコフですが、凄く音が太くて圧倒されました。
「ラジオのように」での火を噴くようなエモーショナルな演奏は、坂田明さんを彷彿させる熱演でした。

対するギターのルイリロイさん…
寡聞にして今回初めてその名前を知ったのですが、めっちゃかっこよかったです!
フレッド・フリスとマーク・リボーを掛け合わせたようなテクニカル&変態なギタリスト。
「ラジオのように」ではアート・アンサンブル的というか土着的/祝祭的な色を感じさせる演奏でした。

このデュオの名前、当初はInfinite OHG(仮)と仮名でしたが、急遽“固犬”に決定!


【参考動画】




物販で野乃子さんの商品を一通り全て購入。
Tシャツまで購入。

 
1stソロ『Lotus』、トリオ深海の窓、CUBIC ZERO、W師弟対決のDVD-R、CUBIC ZEROのデモCD-R。


CD購入の時に、野乃子さんと少しお話しできました。
私の服装は普段通り、迷彩パンツとライダースジャケットという格好をしていて…
「ご覧の通り私、ジョン・ゾーンさんのミーハーなんです。」と言ったら、野乃子さんは「やっぱり!」って。
さらに「それはジョンのコスプレなんですね。」って言われました。コスプレって(笑)


【参考画像】
JOHN ZORN


あと、気になるマウスピースについても訊いてしまいました。
ネットでの情報で師匠のジョン・ゾーンから譲ってもらったデュコフを使っていることは知ってましたが…
「これ、ジョンのスペアなんですよ。」とのこと。厳密にいえば借り物ってこと?!
ということは、もしゾーン氏のマウスピースに何かあった時には返さなければいけないの?
「でも、今はもう自分で何本かのスペアを持ってると思うので…」とのことでした。





2月1日(土)

 

昨日に引き続き吉田野乃子さんのライブ、今日は京都市左京区まで行ってきました。
京阪電鉄の神宮丸太町駅下車、徒歩数分の老舗ジャズ・カフェ“ZAC BARAN”。

今日は野乃子さんのアルト・ソロ。
主にルーパーを使った仕込みなしのリアルタイム演奏によるソロ・パフォーマンスでした。
もちろんエフェクターなしの完全無伴奏ソロも披露。
ワンマン2ステージたっぷりと堪能しました。


【参考動画】



さらに急遽決まったとのことで、ルイリロイさんとの“固犬”でも3曲ほどやってくれました。
ルイリロイさんのプリぺアド・ギターの演奏が素晴らしい!凄くセンスが良いです。
特殊な奏法なため、視覚的にもどうしても奇を衒った演奏に終始しがちなプリぺアド・ギター。
けどルイリロイさんの演奏は、目を閉じて聴くと情景が浮かんできます。良い演奏とはそういうものです。


【参考動画】




また物販で買い物しました。
昨日は並んでなかったCD-Rを2枚とDVD-Rを1枚購入。


本山吉田のデモ、IWAMIZAWA QUARTET(野乃子初期の発掘音源)、トリオ深海の窓のDVD-R。



終演後にまたオタクな質問をしてしまいました。
昨日訊き忘れた、使っているリードとデュコフの開きのサイズについて…
リードはヴァンドレンJAVA緑箱の2半、デュコフはD6とのことでした。

ということはリフェイスでオープニングを弄っていない限り、かなりライトなセッティングだと考えられます。
ジョン・ゾーンも、たまに出すリードミスの音を聞いたりすると、軟らかいリードを使ってそうですし。
私はスラップタンギングが出来ないのですが、軽いセッティングの方が有利だとかあるのでしょうか?
何となく軟らかいリードの方が奏法的にもフレキシブルなような気もしますけど、どうなのでしょうね。
私は今のセッティング(ARBメタル8番+ラ・ヴォーズM)で安定してるので変えることはないですけど…






では、何枚かを選んでディスク紹介をします。



 
CD吉田野乃子 『Lotus』

2015年リリースの記念すべき初ソロ・アルバム。一般流通していないのでずっと買えなくて(野乃子さんに直接メールすれば買えるようだが…)、この度やっとライブの物販で念願の購入。恐らく初回プレス分は完売したのだろう、私が買ったものは残念ながらCD-Rだった。共演者を迎えずたった一人で演奏しており、基本はルーパー(昔でいうデジタルディレイのホールド機能のようなエフェクター)で音を重ねてサックス1本のみながらも豊かなアンサンブルを聴かせるという作風。それだけではなくルーパーなしの完全な無伴奏ソロもあり、曲調も激しいものから美しいバラードまでバラエティに富むので飽きることがない。演奏家としてだけでなく、作曲家としての才能も大いに感じる。



入手までの長い間、YouTubeのトレイラー動画でしか本作の内容は分からなかった。そして既に私が所有していた野乃子さん関連CDといえば、ペットボトル人間の2枚と、ロン・アンダーソン(b)、吉田達也(ds)とのトリオのPAKの計3枚のみ。それらから本作に勝手な想像を膨らましていたのだが、実際にアルバムを聴いたらフリーキー一辺倒ではなく美しいメロディーも満載で物凄く感動した。1曲目「Take the F Train」の尖鋭的な印象が強かったので、2曲目「Desert Island」で不意打ちというか美しくも悲哀漂うメロディーにグッときた。極め付きは当時闘病中だったお母様のために作曲した6曲目「Excerpt from 15 Lunatics」だ。シンプルなメロディーで厳かに始まり、ルーパーで音が重ねられ次第に重厚なアンサンブルへと膨らんでいき、まるで教会のパイプオルガンのフーガのような荘厳な響きに。京都のライブでも演奏してくれたのだが、野乃子さん…泣いていたのが印象的だった。






 
CDトリオ深海の窓 『目ヲ閉ジテ 見ル映画』

2017年リリース。北海道在住の3人、吉田野乃子(sax)、富樫範子(p)、トタニハジメ(fletless bass)で結成されたトリオの1st.にしてラスト・アルバム。というのもトタニさんが活動拠点を関西に移すため、2017年12月で本トリオは活動休止したとのこと。全10曲中、3曲目「空ヲ知ル」が野乃子さん作、8曲目「Water Drops」がトタニさん作、あとは全て富樫さんの作曲。野乃子さんの曲が1曲だけなのは残念だが全ていい曲ばかり。野乃子さんのアルトはメロディー重視のプレイに徹しながらもフリーキートーンを上手く織り交ぜて歌い上げる。フレットレス好きの私としては、やはりトタニさん作の8曲目が一番好き。ウィンダムヒルのマイケル・マンリングのような瑞々しくて美しい曲&演奏だ。








 
CDCUBIC ZERO / 立方体・零 『Flying Umishida』

2018年リリース。吉田野乃子(sax)、本山禎朗(key)、佐々木伸彦(g)、大久保太郎(b)、渋谷徹(ds)という北海道で活躍する5人によるバンドの1st。当初バンド名に「エレクトリック・ヨシダ」と仮名が付けられてた通り、プログレッシヴ電化ジャズ・サウンド。全15曲中、野乃子さんの作曲は10曲。変拍子、高速フレーズのユニゾン、緻密な構成、複雑な展開といった難曲揃いで、ジョン・ゾーンのネイキッド・シティに比肩するほどの物凄い情報量の音楽だ。恐らく野乃子さん本人にとっても一番の自信作に違いない。これほどのクオリティの高い作品が自主制作で一般流通してなくて、メディアでも殆ど取り上げられないという、そんな日本の音楽業界のあり方にはいつもながら辟易する。









CD吉田野乃子 『IWAMIZAWA QUARTET ― 野乃子初期の発掘音源』(CD-R)

2007年7月2日、ということは渡米して約1年後のライブ。1曲目は無伴奏アルト・ソロの即興だが、技巧的にはまだ現在の彼女のレベルには達していないとはいえ、相当フリーキーでぶっ魂消る。しかし続く他の曲ではまだまだ普通のジャズの範疇の演奏だ。とはいえ19~20歳のこの時点で、しっかりしたジャズの基礎が既に備わっているのだから凄い。最後の5曲目はボーナストラックで、2008年8月4日のライブ音源「M's Flat」(京都のライブでも披露してくれた)を収録。とてもいい曲で、こんな若い時から作曲能力を発揮していることに驚かされる。


「M's Flat」の動画。本CD-Rと同じ演奏かどうかは分かりませんが、同時期の演奏だと思います。







 
CD奥野義典,吉田野乃子,田仲ハル,髪立ツカサ 『アルトと身体 W師弟対決』(DVD-R)

2017年8月20日、札幌の歓楽街、すすきのにある“元芸者の置屋”といわれる古民家で行われた、アルトサックスと舞踏のそれぞれの師弟がタッグを組んでの共演ライブ。アルトサックスには渡米前の師匠である奥野義典とその弟子の吉田野乃子、対する舞踏は田仲ハルとその弟子、髪立ツカサ。即興音楽と舞踏の共演は古くから行われており、デレク・ベイリーと田中泯の共演はつとに有名で、さらに遡れば1962年、小杉武久や刀根康尚らの“グループ音楽”と土方巽の暗黒舞踏とのコラボが端緒を開いたといえる。本作で初めて野乃子さんの師匠、奥野さんの演奏を聴いたのだが、こんなに先鋭的な演奏をする人だとは知らず驚いた。






以上です。
また長くなってしまいましたのだ。


まー。






■先月(1月)の収穫

CDバッド・カンパニー 『ラン・ウィズ・ザ・パック』
CDピンク・フロイド 『永遠(TOWA)【Deluxe BD Version】』(CD+Blu-ray)
CDABRAHAM ADZINYAN / ANTHONY BRAXTON 『DUO(WESLEYAN)1994』
CD『KIMUS#1』
CD『KIMUS#3』
CDDISCLOSE 『RAW BRUTAL ASSAULT vol.1』
CDデュアン・オールマン 『アンソロジー』
CD菊池桃子 『スペシャル・セレクションII』
CDANTHONY BRAXTON 『DONNA LEE』
CD中島みゆき 『CONTRALTO(コントラアルト)』
CDオジー・オズボーン 『ブリザード・オブ・オズ~血塗られた英雄伝説』
CDオジー・オズボーン 『トリビュート~ランディ・ローズに捧ぐ』
CDフリー 『フリー・アット・ラスト』
CD『スムース・フラ』
CDフリー 『フリー』
CDフリー 『ハートブレイカー』
CDバッド・カンパニー 『ストレート・シューター』
CD菊池桃子 『スペシャル・セレクションI』
CD七井コム斎 『七井コム斎のガンダム講談CD6』(CD-R)
CDジョン・ロード 『バッハ未完成フーガ』
CDザ・ファーム 『ライヴ・イン・ロンドン1984』
CDオジー・オズボーン 『罪と罰』
CDストーン・アライアンス 『ライヴ・イン・ブエノス・アイレス』
CD吉田野乃子 『Lotus』
CDトリオ深海ノ窓 『目ヲ閉ジテ 見ル映画』
CDCUBIC ZERO 『FLYING UMISHIDA』
CDCubic Zero 『Demo 2019 summer』(CD-R)
CD奥野義典,吉田野乃子,田仲ハル,髪立ツカサ 『アルトと身体 W師弟対決』(DVD-R)






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