『アンディフィーテッド 栄光の勝利』映画鑑賞 | うさぎくんのお薦め映画ブログ

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『アンディフィーテッド 栄光の勝利』映画鑑賞。ドキュメンタリー映画。テネシー州メンフィスにあるマナサス高校のアメリカンフットボール部は、数年前までは出ては負けの繰り返しで、10年間で1勝もしたことがない程の弱小チームだった。しかし6年前に有志でやってきた監督の指導のおかげで少しずつだが実力をつけてきた。そして、今シリーズは地区優勝も夢ではないほどの勝ち星を重ねている。コーチは有志なので給料を学校からもらっているわけではない。学校からの部への予算は決して潤沢とはいえず、備品等は別に仕事を持っているコーチの持ち出しになることもしばしばである。マナサス高校は黒人の多い貧しい地区にあり、また部員のほとんどは片親であったり、両親がいなかったり、家族や親族に服役した者がいたりする。この作品は快進撃を続けるチームを追うとともに、監督と数人の生徒の内面に迫っていく。監督が尋常でないほどの情熱を注ぎチームを指導しているのは何故なのか。これは中盤で明らかにされるが、これがこの作品の素晴らしさの根幹を支えていると言ってよい。フィクション、ノンフィクションを問わずスポーツ物で弱いチームがあることがきっかけで強くなっていく、という作品はそれこそいくらでも挙げることができるが、この作品がそのような凡百の作品と一線を画しているのは悩んだり、怒ったり、苦しんだり、哀しんだり、泣いたり、といった監督と生徒の揺れる心の中をカメラが実に丁寧に映し出していく点にある。とてもよくできた作品であり、今年に入って私が観たドキュメンタリーの中ではベスト級の出来である。お薦め。