『聖なる嘘つき その名はジェイコブ』映画鑑賞 | うさぎくんのお薦め映画ブログ

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『聖なる嘘つき その名はジェイコブ』映画鑑賞。1944年、ポーランドのユダヤ人地区、ゲットー。主人公ジェイコブはゲットーのユダヤ人だが、ひょんなことからドイツの司令部でラジオのニュースを耳にする。それはソ連軍がゲットーから400㎞の場所まで進攻してきているというものだ。もしかしたら、ソ連軍が我々を解放するのはもうすぐなのかもしれない。そのニュースを聞いたことを友人に耳打ちしたところ、たちどころにゲットーの住民全員に知れ渡ってしまう。しかも尾ひれがついて話は広まってしまい、「ジェイコブがラジオを持っていて、それで戦況を知っているのだ」と。ラジオを持つことは重罪でゲシュタポに知られたら処刑される。ラジオを持っていると疑われただけでも命が危うい。しかし、ドイツに何もかも奪われ明日の命もあるかどうかわからないみんなにとっては、ジェイコブの「言葉」が唯一の生きる希望である。ラジオなんか持ってないと言おうか言うまいか逡巡するジェイコブだが、いくつかの出来事をきっかけに嘘をつき続けることを決意する。存在しないラジオをめぐり、虚実入り乱れながらストーリーは進行する。巧みな脚本。ややユーモラスな前半から、緊張感あふれる終盤まで一気に見せる力作。お薦め。