今日のお話
○ 特殊相対性理論
○ 父との約束
○ 一般相対性理論
○ マシン兵器ガンバスター
○ ブラックホール爆弾
○ おかえりなさい
特殊相対性理論
『トップをねらえ』は1988年に発表された庵野秀明監督のOVA作品です。
キャッチフレーズは「炎の熱血友情ハードSF宇宙科学勇気根性努力セクシー無敵ロボットスペクタクル大河ロマン!!!!!」
これではどんなアニメなのかさっぱりわからない。何か不思議なアニメです。
このお話を解説するのに切っても切れないのがアルベルト・アインシュタインの相対性理論です。
重要な要素になるのは速度と重力です。
簡単に説明すると、
まず相対とは、何かと比べてという意味です。
1つ目の理論は『速度が早くなると時間が遅くなる』ということで「見ている人』と「移動している人」の時間は物理的に違うことを意味します。
光速で移動する宇宙船で旅行をしてきたら地球では何年も経過していた なんて現象が起こります。
発表当時は理論でしたが、現在では「時間の遅れ」として実際の現象としてGPSの補正等に活用されています。
時間の遅れは異なる加速度の下にある2つの時計が異なる時間を指す理由を説明する。例えば、ISSにおける時間は地球上の時間よりも1年につき0.009秒遅れる。GPS衛星が機能するためには、地球上のシステムと協調するために時空の曲がりを考慮する必要がある
これを『ウラシマ効果』とも言い、光速度に近い速度で運動している系の時間の進み方は、静止している観測者に比べて遅くなる現象で、たとえば光速の99パーセントで進む宇宙船内の時計は静止系の約1/7の速さで進むため、宇宙旅行から帰ってくると地球上では約7倍の時間が流れています。
まさに昔話の「浦島太郎」から来る名前で、これが特殊相対性理論です。
マシン兵器解説ガンバスター
第四世代超光速大型宇宙船技術の塊であり、主人公タカヤ・ノリコを指導したオオタコーチの心の結晶である超光速万能大型変形合体マシン兵器。
縮退炉は単体でも非常に強力だが、合体して2基の縮退炉を連結して同調させることにより、通常のマシーン兵器には搭載不可能な巨大縮退炉と同等のパワーを無理矢理発揮させる構造であり、合体機構に拘ったのはそのためである。
基本のポーズは直立腕組みであり、パイロットが乗っていなくともこの基本姿勢を取る。
父との約束
21世紀初頭、宇宙に進出した人類は宇宙怪獣と呼ばれる未知の生命体の脅威に晒されていました。
『トップをねらえ』の主人公、タカヤ ノリコは、宇宙パイロットを目指して、沖縄女子宇宙高等学校(沖女)に通う女子高生です。
彼女の父親は宇宙艦隊提督でしたが、8年前に宇宙怪獣と遭遇し行方不明になっています。
一人娘からの「パパ、8歳の誕生日には帰って来てね」と言う電子レターが最後の便りでした。
戦闘用マシン兵器ガンバスターのパイロットに選抜されて月軌道上で訓練する中、地球に亜光速(99.8%)で接近する未知の物体が観測され、ノリコは憧れの先輩(お姉さま:アマノカズミ)と共に未知の物体の探索任務につきます。
そこで発見したのは。8年前に行方不明となっていた父の宇宙船「るくしおん」でした。
亜光速で移動する「るくしおん」内部は、ウラシマ効果によって戦闘から僅か2日しか経過していなかったのです。
作戦の遅れ12秒。その12秒間は、ノリコの誕生日を跨ぐ12秒間でした。
お父さんは、
約束の誕生日に帰って来てくれたのでした。
一般相対性理論
もう一つの理論は、重さによるもので「重さ」は光の速さと並んで、相対性理論を説明するときに欠かせないキーワードです。
アインシュタインが「重さ」から導き出した内容を簡単に解説すると
一般相対性理論では、重力が時間の流れに影響することを説明しています。
この説によると重力に近づくほど時間は遅く流れます。
2020年には東京大学の研究チームが東京スカイツリーで実験を行い、展望台の時間が地上よりも1日につき4/10億秒速く進んでいることを証明しています。
また、一般相対性理論では質量を持つ全ての物体は周りの空間を曲げると考えられていて、この空間の曲がりが引き起こす現象が重力なのです。
質量が大きいほど空間の曲がり具合は大きく、星のような非常に重いものの周囲では同様に強い重力が発生します。
この世で最も速い速度で移動できるはずの光ですら、吸い込まれてしまうほどの重力を持つ天体が
「ブラックホール」です。
時間の流れは光速に近づくほど、重力に近いほど遅くなります。
このためアインシュタインは強力な重力を持つブラックホールの周辺では時間が止まるとしています。
ブラックホール爆弾
ついに、宇宙怪獣は絶対防衛線である銀河系の中心にまで到達します。
その距離2万7千光年
人類が敵を殲滅する為に考え出した作戦は、3万分の1に圧縮された木星をコアにしたブラックホール爆弾を銀河系の中心で爆発させ、宇宙怪獣の巣ごと飲み込んでしまうというカルネアデス計画でした
ブラックホール爆弾
バスターマシン3号
人類最後の戦いの中、バスターマシン3号(ブラックホール爆弾)を死守するも宇宙怪獣の自爆攻撃により、
作動スレーブが故障して爆縮が起こらず作戦は失敗します。
ノリコとカズミは、バスターマシンの縮退炉を起爆装置としてブラックホール爆弾を爆縮させることを決断します。
ブラックホールの超重力から脱出する為には、光速を超えるスピードで「事象の地平面」を越えなければなりません。
それは、境界の外にいる仲間たち(人類)との永遠に等しい時の隔たりを意味します。
「サヨナラは言わないわ」
「行って来ます」
行ってらっしゃい
帰って来たら「お帰りなさい」と言ってあげる。
オカエリナサイ
2つある縮退炉の1つを臨界まで作動させ
コアである木星に打ち込みます。
ブラックホール爆弾起動
脱出
帰還した12000年後の地球で二人が見たものは、真っ暗な地球でした。
人類は滅んでしまったのか
落胆する二人が見たものは約束の言葉でした。
お帰りなさい。
生きていれば明日が来る
今日のお話は、相対性理論が予言した「時間の遅れ」を題材にしたお話でした。
速度と重力を異にする2人がいた時、2人の時間の進み方は変化します。
過去に行って過去を変えることは決してできないとしても
もし魂が光の速度を超えて、神様のところへ向かっているのだとしたら、時間の概念を超越できるのかもしれません。
それは、いつか
未来で大切なあなたと再会できる
ことを意味しています。
その時は、
「おかえりなさい」
と言い抱きしめてあげたい。
最後まで読んでいただき
ありがとうございます。
皆さんの幸せを願っています。
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