青い空と「バトレンジェル」



第46章



僕らが、残りの敵を片付け、司令室に戻ると、


P.S.O全ての人が集まっていて、


それは、盛大な歓迎を受けた。


「パン!パン!パン!」


弾けるクラッカーの音!


みんなの拍手!


「やったわね!」


「よくやった!」


「ご苦労様!」


「お疲れ!」


みんなからねぎらいと、賛辞の言葉。


僕は、今まで、スポーツや音楽に、


打ち込んだことがなかったので、こんな歓迎、


お出迎えは、人生初のことだ。


「あ・・・ありがとうございます・・・」


なんだか、照れくさかった。


すると、突然、僕の横にいたマリアの足が止まった。


「パ・・・パパ・・・?」


えっ、パパ?


パパって・・・マリアの、お父さんは・・・


「パパ!!」


マリアが走り出した。


マリアが、一人の男の人に向かっていく。


「パパ!」


マリアは、その男の人に飛びついた。


「ああ・・・マリア・・・よくやった・・・


よくやったよ!」


パパ・・・翼 博士?


研究中の事故で、亡くなったんじゃぁ・・・


「パパ・・・よかった・・・


でも・・・でも、どうして・・・」


みんなの拍手が止み、その視線は、


再会した親子に、注がれた。


「マリア・・・すまなかった。


みんな・・・みんなも聞いてほしい・・・


どうして私が、死んだことにしなければならなかったのか・・・」


そうだよ・・・どうして?


マリアは、ずっと悲しんでいたんだ・・・


「私が、バトラーの研究に長いこと携わってきたのは、


みなが承知のことだ・・・


だが、ある程度の成果が出・・・


道筋がついたときのことだった・・・


政府から、次の指令がきた・・・」


次の・・・指令?


「次の指令とは・・・


能力者・・・能力者の製造・・・


そして・・・バトラーの増殖だった・・・」


能力者の製造?


バトラーの増殖?


「政府は、私からの報告を聞き・・・


危機感を持っていた。


それは、私からの報告による結果が、


思わしくないものだったからだ・・・


そう・・・バトレンジェルによる成果が・・・


人類の生き残る可能性が、あまりにも低かったからだ・・・


政府は現在所持する、最大の科学力をもって、


敵に望もうとした・・・


そのため、もっと大量の能力者と、バトラーを望んだのだ。


科学により、能力者を作り出そうとしたのだ。」


科学によって、能力者を作り出す?


「それは、あまりにも危険すぎる選択だった・・・


能力者を、作り出すことなど・・・


私は、その指令に従うことはできなかった。


しかし、従わなければ・・・


ここにいる、マリア・・・


私の家族に、危険が及ぶことを・・・


私は、恐れた。」


「それで・・・事故にあったことにして・・・」


「そうだ・・・月島君・・・」


「でも・・・その、能力者を作り出す・・・


その研究は・・・」


「ああ・・・残念ながら・・・


私のレポートを基に・・・進められているようだ・・・」


「ということは・・・」


「この、日本のどこかで、能力者が作られている・・・


ということだ。」


「でも・・・もう、最強能力者は消滅した・・・


その研究は、ムダだったということですね。」


「いや・・・もし・・・もし、成功していれば・・・


日本は、強力な戦闘兵器を手に入れたことになる・・・」


「強力な・・・戦闘・・・兵器・・・」


「私達の望みと・・・


違う形で、バトラーが使われる・・・」


「・・・」


「ああ・・・みんな・・・申し訳ない。


話が、暗い方向へ行ってしまったな。


今日は、ここにいる最強の兵士達の、勝利を祝う日だ!


みんな!祝福してやってくれ!


盛大にな!」


「パパ・・・」


「ああ・・・マリア・・・


辛い思いをさせたが・・・


お前は本当に、よくやった。


パパの、自慢の娘だ・・・


涙を拭いて・・・仲間達のところへ・・・


早瀬君が、待ってるよ。」


「ええ・・・パパ・・・」


マリアが、こちらに戻ってくる。


しかし、博士の話は気になるな・・・


他に能力者がいる・・・


作られた能力者が・・・


しかも、バトラーまで・・・増殖された・・・


どういうことになるのだろう・・・?


僕は、ヤツ・・・自分を信長と称していた・・・


ヤツから分離して飛んでいった、赤黒い光と・・・


ヤツの笑い声を思い出していた・・・






















青い空と「バトレンジェル」



第45章



しかし・・・どうすれば・・・


「早瀬くん!下がって!」


マリア?何か策が・・・


「いいから!下がって!早瀬くん!」


マリアが飛び立った。



「マリア・・・」


戦闘映像を見ながら、ユリカがつぶやく・・・


ユリカは、昨晩のことを思い出していた・・・


昨晩・・・


マリアが、ラウンジで早瀬に会う前の出来事・・・


ユリカは、自分の部屋にマリアを呼んでいた。


「マリア・・・敵の力が・・・


増大してきたわ・・・きっと・・・」


「最強能力者・・・ですか・・・」


「そう・・・いよいよ、最強能力者が・・・完全に目覚めた・・・」


「・・・」


「今のバトレンジェル・・・


あなた達の力で、勝つ可能性は・・・


ほぼ、0に等しいわ・・・」


「・・・」


「かすかだけど・・・望みは1つ・・・」


「早瀬くん・・・ですね・・・」


「そう・・・鍵は、早瀬くん・・・


早瀬くん次第・・・」


「早瀬くんが、複数能力に目覚めないと・・・


私達に希望はない・・・」


「そう・・・その早瀬くんの「究極能力」を目覚めさせるには・・・」


「パパ・・・いえ、父から・・・聞いてます・・・」


「わかっているのね・・・マリア・・・」


マリアは、唇をかみ締めた・・・



飛び立ったマリアが、青白く光った・・・


先ほどよりも、もっと強く!


それは、とても美しく・・・


そう・・・まるで、命の炎を燃やしているようだった・・・


強くなる、青い光・・・


「私の・・・私の、究極能力はこれ・・・


自らを犠牲として、人を助く力・・・「自己犠牲」・・・


早瀬くん・・・みんな・・・


ありがとう・・・


そして・・・ごめんなさい・・・


戦いに巻き込んだのは・・・私・・・


誰も・・・誰も・・・傷つけさせないわ・・・


私が・・・私が・・・みんなを守る!」


「マリア・・・


マリア!何だって?ばかな!止めろ!


止めろ!


マリアーッ!」


その、とても美しい光を放つ、青白い物体が・・・


一気に敵に向かう!


「マリアアアーッ!!」




「ドゴーーーーン!」


強烈な爆音とともに、爆風が巻き起こる!


「くうっ!」


爆風に飛ばされる僕!


獣鬼と化しつつある、亮太も吹っ飛ぶ!


「マ・・・マリア・・・」


羽が・・・J1の羽が・・・1枚・・・


ひらひらと・・・


僕の目の前に・・・


マ・・・マリア・・・


うそ・・・うそだろ・・・


僕は、その羽を握り締めた・・・


僕の頭の中には、マリアとの記憶が・・・


初めてマリアに会ったときのこと・・・


僕の・・・初めての・・・


心のときめき・・・


僕の部屋の扉を開け・・・入ってきた、マリア・・・


海で、みんなとはしゃぐ、マリア・・・


いっしょに、戦闘訓練をしているマリア・・・


数々の戦い・・・


そして・・・


昨日の夜の・・・ラウンジでの出来事・・・


マリア・・・マリア・・・


じ・・・人類が・・・人類が、生き残ったって・・・


き・・・君がいなければ・・・


じ・・・人類が・・・人類が、生き残ったって・・・


君がいなければ!


お・・・お父さん・・・


お父さんの言っていた意味が・・・


意味がよくわかったよ・・・


男は・・・男は、愛する人のために・・・


命を・・・命を・・・賭けなければならないときがあるって・・・


く・・・苦しいんだ・・・


こ・・・こんなにも苦しいんだ・・・


愛する人・・・好きな人を・・・


守れないと・・・


こんなにも苦しいんだ!


い・・・息が・・・


い・・・息が、詰まりそうだ・・・


お・・・お父さん・・・


ぼ・・・僕・・・できなかったよ・・・僕・・・


僕・・・できなかった・・・


僕・・・できな・・・かった・・・


ゆ・・・許せないよ・・・こ・・・こんな自分が・・・


こ・・・こんな、自分が!!




煙が・・・煙が、おさまっていく・・・


!!


何か・・・何かが・・・立っている・・・


あ・・・赤黒い光・・・


ま・・・まさか・・・


ヤツ・・・ヤツだ!


ヤツが立っている!!


マ・・・マリア・・・マリアが・・・


マリアが、命を賭けた・・・


命を賭けた攻撃が!


<グウウ・・・


ナカナカノ、ツワモノガ、イタヨウダナ・・・


ダガ・・・命ヲ途シテ、我腕一本ノミ・・・


ムダ・・・ムダ・・・ダッタヨウダナ・・・>


そこには、左腕をなくした、ヤツが立っていた。


な・・・なんだと・・・


ムダ?ムダ?


ムダだったと・・・?


き・・・貴様・・・


き・・・貴様!


ムダ!ムダと言ったのか!!


マリアの命を、ムダと!!


ゆ・・・許さん!


許さん!!許さん!!許さん!!!


「うおおおおお・・・・・・!」


体に・・・体に、今まで感じたことのない怒りが・・・


体の中に、猛烈な怒りが!!




「ユリカさん・・・感じます・・・


早瀬くんの中に・・・


早瀬くんの中に、目覚める能力を!」


ユウキが、ユリカに告げた。


「目覚める・・・早瀬くんの能力・・・」




「うおおおお・・・・っ!!」


早瀬のJ-2が、金色に光る・・・


そして・・・


背中から・・・


二枚の翼が・・・


生えてくる、二枚の翼!


「うわああああ・・・・っ!!」


ますます広がる・・・強くなる・・・光!


か・・・返すんだ!マリアを!


返してくれ、マリアを!!


返してくれ!亮太を!


も・・・もどれ・・・


もどれ・・・時間よ!戻るんだああっ!!!




「発動よ・・・究極能力・・・「リセット」・・・」


「ええ・・・ユリカさん・・・


早瀬くんは・・・完全に目覚めました・・・


究極能力の・・・複数能力者として・・・」




時間が・・・時間が、戻る・・・


爆風・・・


爆音・・・


突っ込む青白い光・・・


美しく・・・光る・・・マリア・・・


獣鬼化する亮太・・・


亮太の頭を掴む、ヤツ・・・


ヤツに対じする・・・


早瀬と・・・マリア・・・


「も・・・もどった・・・


これが・・・僕の能力・・・」


時間は戻ったが、J-2は金色に燃え、


翼が生えていた。


「早瀬くん!今よ!」


「マリア!!」


青白く光る、マリアが、僕の腕を取る!


手を重ね合わせる!


「敵は、最強能力者!


でも!私達は、究極能力者の複数能力者が二人!


心を合わせれば!」


J-1とJ-2の手が、1つになる!


「早瀬くん!」


「マリア!」


僕らの心は、一つになった!


「いっけーっ!」


一つになった手から、青白い光と、金色の光が、


渦巻きながら飛び出す!!


「ズオオオオオ・・・・!!」


光の渦が!


敵を貫く!


「お前は!信長なんかじゃない!!


信長にとり憑いていた、悪霊だ!


お前は、単なる!悪霊だーっ!!」


「グワアアアアッ・・・」


崩れ落ちる敵、最強能力者・・・


<グッグッグッグッ・・・>


笑い声・・・


ヤツの笑い声・・・


消滅する、敵、強能力者・・・


赤黒い光が、立ち上る・・・


上空へと消えていく・・・赤黒い光・・・


終わった・・・


終わったのか・・・?


立ちすくむ、僕とマリア・・・


「早瀬くん・・・」


「マリア!」


「早瀬くん・・・信じていたわ・・・」


「マリア・・・」


マリア・・・君は・・・


君は・・・知っていたのか・・・?


こうなることを?


それで・・・あんなムチャを?


だけど・・・知ってたって・・・


知ってたって・・・


「亮太・・・亮太くんは?」


あ・・・亮太!亮太は、大丈夫か?


「亮太!」


「あ・・・あ・・・秀か・・・


な・・・何だか・・・何だか、悪い夢を見ていたみたいだ・・・


て・・・敵は?


敵はどうした?」


「大丈夫だ。敵は、消滅した。」


「そ・・・そうか・・・


秀とマリアのおかげか・・・?」


「そうさ・・・マリア・・・マリアのおかげだよ。」


「そうか・・・


また、マリアにいいとこもってかれたか・・・」


「そうだね・・・」


亮太・・・見てなくてよかったよ・・・


何があったか・・・


何があったか、後から知ったら・・・


お前・・・腰抜かすぞ・・・


雨が・・・雨が上がってきた・・・




「終わったようだな・・・」


司令官の席の、後ろの扉・・・


司令官の執務室の扉が開き、中から男が出てきた・・・


ユリカとサヤカの目が・・・


その目はまるで、幽霊を見るような目つきだった。


「は・・・博士・・・翼 博士!」


翼 博士は、司令官の肩に、手を掛けた。


「司令官、ご苦労様でした。


そして、みんな・・・


お疲れ様・・・


そして・・・ありがとう・・・」


「ど・・・どうして!


生きて・・・生きてらっしゃったんですね!」


ユリカとサヤカの目が、潤んでいた・・・


ほかのみんなも・・・


「よかった・・・よかった・・・」


「みんなには、申し訳なかったが・・・


こうするしか・・・


私が、死んだことにするしか・・・


方法がなかったのだよ・・・


すまなかった・・・」


「い・・・いいえ・・・そんなこと・・・」


「さあ・・・バトレンジェルのみんなが帰ってくる。


みんなで、祝福してやろうじゃないか・・・


がんばった子供達に・・・


大人ができなかったことを、成し遂げた子供達を!」


「はい!博士!」
























青い空と「バトレンジェル」



第44章



「マリア!大丈夫か!」


「ええ・・・早瀬くん・・・


気をつけて・・・あれは・・・」


「ああ・・・そうだね・・・」


僕らは、目の前の物体を凝視した。


<我ハ、コノ世ノ支配者・・・


我ラガ、コノ星ヲ、支配スル・・・


我ラノ邪魔立テヲスルモノハ、ソチタチカ・・・>


こいつ・・・しゃべる・・・


人間の言葉が、わかるのか!


<邪魔立テヲスルモノハ、容赦セヌ・・・


我ハ・・・全能ノ支配者、信長デアル・・・>


信長!まさか!あの・・・



「信長!信長ですって?」


ユリカさんが叫んだ。


「司令官!」


「ああ・・・「悪」の力は・・・「悪」の力は、


魂まで呼び覚ますというのか・・・」


「早瀬くん!マリア!離れて!


間隔を保ちながら、戦うのよ!」



「マリア!下がるぞ!」


僕は、マリアの腕を掴み、後ろへ跳んだ。


<我カラハ・・・逃レラレヌ・・・>


何を!


「バト・ガトリング!」


「ダダダダ・・・!」


「バチ!バチ!バチ!」


攻撃は、当たる・・・


しかし、弾が・・・弾が・・・ヤツの、赤黒い炎に阻まれる・・・


「ちいっ!」


「バト・ライフル!」


今度は、ビーム砲だ!くらえ!


「バシュッ!」


「ババババチィーッ!」


ダメだ!ヤツの体に・・・


ヤツの体に届かない!


<ムダダ・・・>


ヤツがくる!


「ズシャッ!ズシャッ!」


ヤツの・・・ヤツの、長く鋭い爪が!


僕とマリアのバトラーを切り裂く!


「ぐあっ!」


「きゃあっ!」


「マ・・・マリア!」


「大丈夫!シールド部分をやられただけ!


問題ないわ!」


早い!早すぎる!


なんてヤツだ・・・僕の能力でも・・・


やつの動きが・・・


「秀!マリア!」


亮太だ!


「さがれ!さがれ、亮太!


こいつはマズイ!さがるんだ!」


「何言ってやがる!俺がやってやるぜ!


スイフト・アーマー!いっけーっ!」


「バッ!バッ!バッ!」


「な!何!俺の、スイフト・アーマーが!」


ヤツの動きは早かった!


なんと、動作に入った亮太のスイフト・アーマーを、


ことごとく、その凶器の爪で破壊してしまった!


「なんてヤツだ・・・


うわあっ!」


亮太・・・亮太が捕まった!


ヤツに顔を掴まれてしまった!


「ぐああああっ!」


「亮太!」


<キサマ・・・キサマ、悪イ心ガアルナ・・・


イイ心ダ・・・我ガ・・・我ガ、引キ出ダシテヤルゾ・・・>


「や・・・やめろ・・・


お・・・俺は・・・俺は・・・


そうだ・・・俺は、小さいころから体が・・・


体が・・・みんなより大きくて・・・いじめた・・・


弱いものを・・・みんな・・・みんな、いじめた・・・


あいつも・・・こいつも・・・みんな、いじめた・・・


面白かった・・・いじめるの・・・みんな、弱っちいんだ・・・


弱っちいんだ・・・


弱っちいんだ・・・


・・・


弱い・・・弱いヤツが、悪いんだ・・・


何言ってやがる・・・


弱いヤツを・・・弱いヤツを、強いヤツが支配して何が悪い!


弱いヤツが悪いんだよ!


俺は正しい!


俺が、正しいんだよ!」


「グワアアア・・・!」


亮太・・・亮太の、バトラーが・・・


亮太のバトラーの鉄仮面に・・・ひびが・・・


割れた!


バトラーの仮面が割れた!


中から・・・中から・・・


獣・・・獣の顔・・・獣の顔だ!


「グワアアア・・・!」


頭を抱える、亮太のバトラー・・・


頭を抱え、うずくまるバトラー・・・


亮太!亮太!どうしたんだ?


返事をしろ!亮太!!


<グッグッ・・・ドウダ・・・コレデオ主モ、我々ノ仲間・・・>


ばかな!


この野郎!


「バト・ソード!」


「ガッシーン!」


ソードが、ヤツの爪に阻まれた!


<遅イ・・・>


反対の爪が!


「ズシャッ!」


「ぐわっ!」


脇・・・脇の部分だ!


シ・・・シールドの下まで・・・シールドの下まで


いかれたか・・・


体液が・・・垂れている・・・


大丈夫か?バトラー・・・


お前は・・・お前は・・・どのくらい耐えられる・・・


足や手・・・1本、2本なら・・・どうってことないよな・・・


大丈夫だな、バトラー・・・


いけるよなバトラー!