< シーナス > 第1話
西暦2100年・・・
地球上は、大きく様変わりをしていた。
あれほどまでに、地球上を我が物としていた人間の姿・・・
ビル、橋、鉄道、道路など、人間の作った、巨大な建造物・・・
それらのほとんどが、姿を消していたのだった。
大地は、荒廃し・・・
かつて賑わっていた街並みは、廃墟と化していた。
人間は・・・文明は、滅んでしまったのだろうか?
人の姿が・・・町の廃墟から離れた山奥に、人々の姿があった。
彼らは、洞窟の中で暮らしているようだ。
清らかな川が流れる・・・
その滝の裏に、入り口は隠されていた。
パチ・・パチ・・・火を燃やす音が聞こえる。
その火の回りには、子供達が集まっていた。
その身なりは、文明があったころの服装とは大きく違っていた。
布切れを、頭から被っているだけの、簡素なものだった。
腰を紐で縛っているものもいる。
その中の一人が、近くにいた老人に話しかけた。
「ねぇ!サムじいちゃん。
お話してよ!昔の話。
みんなが、洞窟じゃなく・・・空の下で暮らしてた頃の話!
天にまで届きそうなところで、暮らしていたときの話!」
「おお・・・ジャック・・・
話が聞きたいのかい?
みんな・・・他のみんなもかい?」
「うん!じいちゃん!お話してよ!」
火の周りにいる、他の5人の子供達も頷いた。
「そうか・・・
どこまで話したかな・・・
そうか・・・町がどんどん発展して、天にまで届くビルができるようになった・・・
そこまでだったな・・・」
「うん!で・・・空中を走る道路ができて、車っていう乗り物が、ビュンビュン
走ってたって!」
子供達の目が輝き、視線は、サム爺さんに注がれた。
「そうじゃな・・・
その頃の人間は、必死だった・・・
何かに、急き立てられるように・・・必死に・・・造り・・・壊し・・・
必要なのは、スピードだった・・・
どんどん便利な世の中になっていった・・・
動く道だって・・・動く階段だってあったんじゃぞ!」
「へえ~!段々が動いていくのか?すげ~!」
「飛行機は、音の速度を超え・・・電車は、人を大量に運ぶ列車は、500キロを
超えた・・・」
「音のスピードって?
音のスピードって・・・まったくわかんねぇや!」
「そうじゃな、ジャック・・・
そんなものが、必要だったのか・・・
そうして・・・
そうういったものが、どんどん発達していくと・・・
人間の力では、コントロールできなくなってくるんじゃ・・・
いつしか、全てのものが、コンピューター制御されていく・・・
何もかもがじゃ・・・
より、便利な生活を目指し・・・個別制御されていたものが、
集約されていく・・・すべてのシステムが、集約され、連動して動く・・・
この地球上、いつ、何がおこるか、わからないからじゃ・・・
自然災害・・・犯罪・・・
全てに連動する・・・まさに、理想郷じゃ・・・
人間は、理想郷を造ろうと、急いでおった・・・
人間は、全てが・・・全てが、自分達でコントロールできるものと、
思い込んでおった・・・」
「じゃあ・・・それが、今はなんで?」
ジャックの1歳上の、コナーが口を開いた。
「何があったかは、わからん・・・
何があったかは、わからんが、突然に、コンピューターが、狂い始めたんじゃ・・・
コンピューターが、狂い始めたのか・・・
コンピューターが、正しいのか・・・」
「どういう意味?」
「ジャック・・・
今までの話を聞いて、どう思ったね・・・?
人間の・・・文明を追い求める、行動について・・・」
「・・・?」
「はっはっ・・・難しい質問だったな・・・
人間が、より快適な・・・文明的な生活を、送り続けるためには・・・
何かを、犠牲にしていかなければならん・・・」
「う~ん・・・」
「自然じゃ・・・
自然を破壊し続けて、人間は、文明を手に入れ続けたのじゃ。」
「自然を・・・?」
「そうじゃ。人間は、自然と共存できなかったのじゃ・・・
だが・・・ようやく人間は、人間の中には・・・自然と共存していかなければならないと、
気づき始める人間も現れ始めた。
しかし・・・大きくは止められなかった・・・文明生活を、手放せなかったのじゃ・・・
コンピューターは、正しい・・・
地球を救うために、人間を滅ぼそうとした・・・」
「コンピューターが、そう考えたの?!」
「いや・・・わからん・・・そうではないかと、唱える人が多かったのじゃ・・・
真相は、誰にもわからん・・・」
サム爺さんは、頭を振りながら答えた。
「じゃあ・・・あの・・・僕らを・・・」
コナーがそこまでしゃべると、1人の男が慌てて現れた。
「爺さん!見つかった!ここも・・・ここも、ヤツらに発見されてしまった!」