今回は、入庫してきたJOGのフロント部のガタつきについてです。
車両を押してフロントブレーキをかけるとガタンと大きな衝撃が起こります。
詳しく調べてみると、フロントホイールやフロントフォークやハンドルではなくて、フロントステム部のガタが非常に大きいのが原因のようです。
現車のJOGです、フロントカバーを取り外していこうと思います。
黄色矢印のネジを順に取り外していきます。
フロントカバーを取り外していきます。
下の写真は上のオレンジ色囲み部分を拡大したもので、赤色矢印の上下レースの隙間が非常に大きいく開いてしまっています。
黄色丸のボルトを押さえ、黄色矢印のナットを緩めていきます。
ハンドルバー全体を上方向(黄色矢印)へ持ち上げて、フロントフォークから抜き取ります。
黄色丸のボルトを押さえて、黄色矢印のナットを緩めてシャフトを抜きホイールを取り外していきます。
黄色囲みのワイヤーガイドを取り外していきます。
黄色囲みのレースの上のカバーを抜き取っていきます。
赤色矢印のボールレース1とボールレース2の間に大きな隙間が有り、ガタの原因です。
黄色囲みのボールレース1とフイッテイングナットを緩めて取り外していきます。
下の写真は、ボールレース1の位置の取り外したボールベアリングリテーナとなります。
赤色囲みのボールベアリングリテーナですが、ボールが殆ど欠落してしまっています。
車両本体側ボールレース2にボールベアリングリテーナから欠落した赤色矢印のボールが1つ残っています。それ以外のボールは車両外へ脱落したものと思われます。
ステム下側の青色囲みのボールベアリングリテーナの破損は無いようです。
但し、ステム下側のボールレース2の赤色囲み部分にボールで押されて出来た凹みが有ります。
取り敢えず中古のボールベアリングリテーナを嵌めボールレース1とフイッテイングナットを規定の遊びを確認しながら締め込んでいきます。青色矢印の様に隙間が無くなりました。
逆手順で組み上げて、ガタを点検しますがガタつきは全く無くなり作業は完了です。
※この状態で車両を運転をされていたとの事でしたので、非常に乗りずらかったと思います。
こうなった原因は、ステムのガタが酷くなりベアリングリテーナが破損しボールレース2に凹みが出来たのか、事故等でステム分解し適切に組み立てがされて無かったのかは、今となっては判りません。
ただガタの初期状態で点検していれば、此処まで酷く悪化する事は無かったと思われます。
どの箇所であれ異常・違和感等が有れば専門店で早めに点検をされることをお勧めします。
尚、この車両につきましては他に大きな故障も有り、今回のフロント部のガタの検証をしたかっただけの為、廃棄処分とさせてもらっています。