前フリ1
5日(日)は夜勤のあがりの日だった。
通常、フイットネス・クラブへ行き
プールサイドでひと眠りでなく、即帰宅。
YbuTubeでグラス氏のピアノ・エチュードを
演奏者の滑川さんで検索。
https://www.youtube.com/watch?v=-H6Ui4ZiI1o
この動画一発で
「(ベーゼンドルファー)290インペリアル弾いてるっ!
行くっ!」と、超短絡的に、演奏会場まで行くことを決定。
(すみだトリフォニーはスタインウェイ)
この時点では、当目券があっても
十数列より後ろだったら、チケットは買わないつもり、だった。
このところ音楽三昧で
本日も競馬&競艇のW開催なのに
どちらの予想トレーニングもサボってしまっている。
演奏会会場=すみだトリフォニーがある
錦糸町にはウィンズもあるので、
当日券が十数列より後ろだったら、
予想トレーニングにシフトすればよい。
さて、フィリップ・グラス氏の名前はよく知っていても、
その作品はまったく知らなかった。
たまたま、ライヒ、ペルト、シコルスキと
ミニマムとされる作曲家の作品を拝聴した流れから
グラス氏の作品イメージを、ここでも短絡的に、
上記のうちからの2人とで、音数が少ない順から
ペルト < グラス < ライヒのイメージだった。
(こうして掲げてみると、ペルトはフェルドマンと同じく、
「静ひつ」の潮流だと思う)
話は前後するけど、そんなイメージで
グラス氏のピアノ・エチュードを
YbuTubeで検索して、最初にヒットしたのが
冒頭で引用させていただいたNO.9(と20)。
直近がリゲティのエチュード全曲、
今回はグラス氏ご本人も来日してのエチュード全曲と
どこかしら縁があるかのような感じも受けた。
とにかく、目的地までの移動時間等を差っ引いた時間内で
最大限の仮眠を確保しないといけない。
でないと、これだけ心地よさそうなエチュードなら、
演奏会場内で爆睡してしまう。
シャワーを浴びて、即寝た。
前フリ2
錦糸町着。
まず、ウィンズでレーシング・プログラムをもらってから
すみだトリフォニーに13時着。
まだ当日券で並んでる人はなし。
さすがに早過ぎたと、他の所用を済ませ、
当日券発売開始の10分くらい前に戻ると、先客は一人。
発売開始時刻が近くなり、
ふと、後ろを振り返ると2・30人は並んでいた。
現代もので大ホール開催に加えてなので、
「グラス氏ってこんなに人気あるんだ?
もしかして、村上春樹さん効果?」と、心の中で。


もっとも本日のピアノ・エチュードでは、村上氏は関わらない。
前日4日のプログラムが
詩人アレン・ギンズバーグ生誕90周年を記念しての
『THE POET SPEAKS ギンズバーグヘのオマージュ』で
パティ・スミス氏が朗読、グラス氏がピアノ伴奏、
そのステージで投影される訳詞を村上氏が担当するというもの。
我ながら、音楽ならほぼ、何でもござれ、なので
パンク・ロックもリアル・タイム経験者。
スミス氏はトーキング・ヘッズや
デボラ・ハニーを擁するブロンディ等と共に
1970年代後半のニューヨークのパンク・ロック・シーンからデビュー。
さらに、ニューヨークのアンダーグランドなロック・シーンを遡ると、
アンディ・ウォーホルも関わった
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドもいるわけで、
その後のサブ・カルチャーにも通じる潮流だと思う(私見)。
『THE POET SPEAKS ギンズバーグヘのオマージュ』は
きっと大盛況だったのでしょう。
話を当日券売り場に並んでいるとこに戻します。
自分の番が来て、当日券が何列目かをみると
前から5番目で、当方が好むピアノ大屋根側(右手)
しかもトイレヘのアクセスなどに、何かと便利な端っこ。
グラス氏に呼ばれた?(勝手なイリュージョン)と、チケット購入。
本編


開演
最初にグラス氏が登場し、ピアノを弾き始めた。
「おお、グラス氏ご本人だ」、当方心の中で。
永く第一線で活躍しておられるのは喜ばしい。
どこか懐かしく、映像が見えるかのよう、が、第一印象。
グラス氏は、多分エチュードNO.1を含む2曲の演奏。
通常、当方、演奏会に行くとなると、
事前に演目はかなり聴き込んでおくほう。
初演作品なら、その作曲家の作品を可能な限り
ピック・アップして聴いておくところ、
今日は、そのどちらもしていないので「多分」。
記憶が新しいうち、You Tubeで検索して、
NO.1は分かったが、2曲目は必ずしもNO.2とは限らないので。
https://www.youtube.com/watch?v=6PPyFypi8VI
(3連符が、どこかヴァン・ヘイレンの”Eruption”のライト・ハンドのとこ?)
ステージでは、久石譲氏にバトン・タッチ。
ここではエチュードNO.5が印象深かった。
同様に記憶が新しいうち、You Tubeで検索して分かった。
https://www.youtube.com/watch?v=_IZrg4RYKic
ここでも同じく、どこか嘆かしく、映像が見えるかのように感じる。
続いて、滑川真希さんにバトン・タッチ
滑川さんが弾き出した瞬間、ピアノの鳴りがまったく違う。
フルコンらしく、大ホールいっぱいに豊かに響く。
でも、グラス氏と久石氏のピアノ演奏を否定するものではなく
作曲家と演奏家というポジションの違いによるもの。
ちょっと話は飛んで、
全20曲のエチュード完奏後に
グラス氏、久石氏、滑川氏の3人のアフター・トークがあって
グラス氏は「全20曲中、自分で弾けるのは12曲」と仰っていた。
別段、何らおかしくない。
さきのリゲティのエチュードでも、リゲティご本人は弾けなかっただろうし。
また、久石氏は「自分の作品なら、
二目酔いの日の演奏なら、この程度とやったりするけど
(いい意味で省略するというニュアンスかと)、
他人の作品ではそうはいかない。
学生時代に戻って、必死にさらいました」と、仰っていた。
こちらは非常に興味深い。
演奏家でもカデンツァ等で、一音くらいは
すっ飛ばしてしまうことはあるかもしれないし。
これと対比して言われるのが「完璧主義者」なのだろう。
当方がぱっと浮かぶのは、ミケランジェリ氏。
また、アフター・トークでの滑川さんは、
「会場の湿度の違いにより、同じスタインウェイでも
まるで響きが違う」といった趣旨のご発言が、
ピアノ・マニアスティックな当方には、目からウロコ、でした。
滑川さんは、個人的にはいちばん好きなオーケストラである
ロイヤルコンセルトヘボウとの共演歴もあり、等(出所:P)
やっぱりグローバルで非凡な才能をお持ちな方。
そんな滑川さんの演奏では、エチュードNO.6が興味深かった。
https://www.youtube.com/watch?v=dhCluN4ZAKo
弦楽器はトレモロし易いところ
鍵盤楽器でのトレモロは厄介ものだと思われる。
このエチュードNO.6では、
ショパンの同音連打である『雨だれ』よりはるかに速く、
むしろギターのための作品である
『アルハンブラ宮殿の思い出』等での
トレモロ使いのアイディアをピアノに活かしたようにも
感じられた。(私見)
https://www.youtube.com/watch?v=EQGBbLBShzk
ちなみに、電気的に、ディレイを使って
ピアノのトレモロを効果的使ったのが佐藤聰明氏って、
こっちの話にいくと、軌道(本題)から外れて、
戻ってこれなくなるので、また機会があれば。
こうしてエチュード全曲を、
グラス氏、久石氏、滑川氏の順に演奏していきました。
多分、プログラム前半でエチュードNO.1から10までを、
約20分の休憩を挟んでのプログラム後半が
多分エチュードNO.11から20の演奏だったのだと思われます。
当方、3日には、ほとんど全曲に緊張感を持って
対峙させられるかのようなリゲティのエチュード
全巻全曲を拝聴だったので、
それとは正反対に、
グラス氏のエチュードのほとんどの楽曲は
まるで映画のサウンド・トラックのように
例えば夕日を想起させたりと、
郷愁を感じさせてくれるものでした。
なので、ほぼ完徹の夜勤あけで、
仮眠時間80分の当方は、いつしかまどろみ、
生演奏に包まれての幸せな眠りの世界に、
少なくとも2・3曲で吸い込まれました。
そんな当方が覚醒している間にも
時折、パア~ンっ、という音が耳に入ります。
同じ失敗をしたことのある当方には、何の音なのかよく分かります。
演奏会場に入場するときピアノなら、ピアノ・リサイタルの、
オーケストラならオーケストラの演奏会のフライヤーを
大量にもらいます。
そうしたぶ厚いフライヤーの束を膝の上に置いて、
居眠りしてしまうと、フライヤーの束が床に落ちたとき
まるでメンコを地面に叩き付けるかのような
パア~ンっ、という音がするのです。
いや、そのときのバツの悪さったら、ありません。
今回ほどパア~ンっ、を聞いた演奏会は他にありません。
それほど心地よい音楽だったのでしょう。
ここでグラス氏自伝の『音楽のない言葉』から引用させていただきます。
【…その夜は全然眠れなかった。
駅を出るとすぐに明かりが消えた。
南部から中西部に向かう客車は古く、設備は何もなかった。
明かりもなく、読むものものもない。
できることといえば、夜行列車の音と親しくなることだけだ。
線路を走る車輪が延々とくり返すパターンに、
私はすぐ夢中になってしまった。】 引用ここまで
電車のガタンゴトン、というシンプルなリズムが
本日の、グラス氏のエチュードの作品のいくつかからも感じられました。
この「ガタンゴトン」を抽象化したリズムも、
きっと電車の中で寝てしまうかのように、眠りを誘ったのでしょう。
また、当方があたかも「映画のサウンド・トラック」のように感じたのは
あながち的外れでなく、
むしろそうした曲調から
宮崎駿監置の『風の谷のナウシカ』から『風立ちぬ』までの
音楽を手掛けた久石譲氏が招聘されたようにも思われました。
また、同氏はミニマム・ミュージックの手法で
作曲活動をスタートさせたようでもある。
グラス氏は
「同じ作曲家が、どういう表現をするのかを聞きたかった」とも、
アフター・トークで仰っていた。
最後に、前フリで
『THE POET SPEAKS ギンズバーグヘのオマージュ』
のことまで書いたのは、
当方が本日拝聴の『The Complete Etude』とで、
145ページに及ぶ立派なブックレットで、
村上氏が関わった本としては激レア本でしょう。
(通常プログラムは入場時に無償でもらえるところ、
別途¥2,000の設定でしたが)
で、すでにネット・オークションに出てる、
鼻っから、1万超の設定の輩もいる。
当方も、プレミアム転売目的で2冊買おうかと
一瞬思いましたが、自分の1冊のみにしました。
ワインのストックと、レアなベルギー・ビールとで
常時70本を割ることはなく、
CD等の音源(アナログも別途ある)、
図録等アート系のグッズに、投資案件らの置き場のせめぎあいで、
置き場の確保が本当に深刻なので。
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