何とか復活しまスた。
話の筋はかなり変わりましたが…(-"-;A
私は基本一発書き人間で、会話を転がすことによって話も転がすので、
一度書いたストーリーは二度と戻ってこんのドすよ。
というわけで、書き直したら当社比1.5倍になったので二つに分けます。
なんやかんやでおまけも含めて今月中にupできそう。ふぅ、やれやれ。(^▽^;)
 (「2月も終わるってば」のお言葉にガクブルのCia) 

5日目(前編)

「まったく、君たちは現金だな~」
 アルノーとウェインの恨めしそうな視線を受けながら、ブレンダとシェーンはケロリとした表情を向けた。
「チョコレートのためなら何でもするわよ」
「そうそう。悪魔に魂を売っても惜しくないで」
「だったら、初めから……」
 来てくれよと言おうとしたとき、ぷ~んとえもいわれぬ濃厚な香りが厨房から漂ってきた。
「できた!」
 ぴょこんと勢いよく顔を上げたブレンダとシェーンは秒速の早さで厨房へと駆け入った。
 厨房の台の上にはほかほかと湯気を上げているカップが一つ。
 そして難しそうな顔をしている3人。
 親方とアニスとシンシアだった。
「え~と、失敗?」
 不安げに聞いたが、3人は首を振った。
「チョコレートとしては成功だ。だが……」
 親方はあごでしゃくってチョコレートを指した。飲んでみろ、ということだ。
 ブレンダとシェーンは恐る恐るチョコレートの入ったカップを手に取った。
「うわ! 美味しい!!」
「あま~い、おいし~い、幸せ~」
 チョコレートのカップを握ってほぅっと幸せそうなため息を付く二人。
「え、本当に? ちょっと私にも飲ませて下さい」
「あ、僕もちょっと味見を」
 二人の表情にウェインとアルノーもチョコレートに手を伸ばす。
 やがて、二人も幸せそうなため息を付いた。
「親方って天才だね」
「う~ん、これは王侯貴族がはまる味だ」
「苦味と甘味がものすごくちょうどいいな」
「これならお姉さまも喜びそうだわ」
「あ、ちょっと、あたしにも飲ませてよ」
 どこから現れたのか、エルシトリン、ティアナ、キキが奪うようにチョコレートを取り合う。他にもマイネやアルサリーズなど、三教の女性陣が厨房に勢ぞろいしていた。
「で、これの何が問題やの?」
 あっという間に空になったカップを親方に返しながらブレンダが聞いた。
 親方は難しそうな顔でカップを洗い桶に入れながら、うなるように言った。
「固まらん」
「え?」
「固まらないのよ。どんなに捏ねても、混ぜても一也君が言う固形のチョコレートにならないの」
 親方の言葉を補足するアニスにはわずかに疲労の色が見えた。厨房の台の上には様々なハーブが散らばっている。ハーブによる調合も試してみたのだろう。
「シンシアちゃんの魔法で凍らせてみたのだけどねぇ、なかなか凍らないのよぉ。無理に凍らせても味がものすごく悪くなるしぃ」
 シンシアも肩をもみながら言う。
 ブレンダたちがちらりと洗い桶の方に視線をやると、そこにはありとあらゆる鍋が積みあがっていた。それだけでも3人の悪戦苦闘が目に浮かぶようだった。
「う~ん、公爵さんも固形のチョコレートなんて初耳みたいなこと言っていたし……」
「一也く~ん、固形のチョコレートってどうやって作るの~」
 シェーンが一也を振り返って聞いたが、本人は困ったように顔をしかめた。
「え? そ、それはさすがに知らない……ていうか、チョコレートって液体なの?」
「液体以外に何があるんや?」
「え? だって、僕たちの国ではチョコレートは固形だから」
「それって凍ってなくてぇ?」
「う、うん。普通の温度でも固まっているよ。あ、ものすごく熱かったりしたら溶けちゃうけど」
「ものすごく熱いってどれぐらい?」
「え? 100度ぐらい?」 (筆者注:4、50度でチョコレートは溶けます。100度だと脂質が分離するので味が悪くなります)
「う~ん、一也君のところのチョコレートとこっちのチョコレートってやっぱ違うのかなぁ」
 首をひねるシェーンを一也は申し訳なさそうに見た。
「ごめん」
 ポツリとそう言ってうなだれる一也の目の前に親方がずいとカップを差し出した。
「え?」
「飲んでみろ」
 言われるままにカップに入ったチョコレートを飲む一也。
「どうだ?」
「え、えっと、美味しいです」
 一也は正直に感想を言った。実際に鼻の奥の血管を刺激しそうなぐらいの刺激的な香りと苦味、そしてそれを緩和する砂糖の甘味は絶妙で、飲むだけで至福の瞬間を味わえた。
 だが、親方は難しそうな顔で一也を見つめた。
「そうではなくてだ。どうだ? お前のところのチョコレートと何か違うか?」
「え?」
 キョトンと一也は親方を見つめた。そしてその瞳に真剣な光を見、あわててもう一口カップのチョコレートを飲んだ。
「えっと、ほとんど同じです」
 味わいも、香りも、舌触りもすべて日本のチョコレートと同じだ。ただ……
「固形ではない」
「そうなんです。あえて言うならココアに似ています。それよりはものすごく濃い味ですけど」
 一也の言葉にブレンダたちは目を丸くした。
「ココア? それもチョコレートなん?」
「カカオ……ココア……確かにこっちの方がチョコレートっぽい名前だな」
「あ、いえ、違います。ココアとチョコレートは別物です!」 (筆者注:同じものです。チョコレートから脂肪分をとったものがココアです)
 一也はあわてて首を振った。
「ココアは粉になっていてお湯で溶かして飲むものなんです」
「え? これもそうだよ?」
 シェーンは首をかしげてチョコレートの入ったカップを指した。
「カカオを粉にしてお湯でとかして飲むんだよ」
「えっと、そうじゃなくて、ココアはもっと甘いというか、こんなに苦くなくて、どろっとしていなくて、香りももうちょっと甘いんです。だから、その……」
 しどろもどろと説明する一也だが、ブレンダたちはさらに首を傾げるばかりだった。
「じゃあ、やっぱ一也君ところのココアがうちらで言うチョコレートなんやないかなぁ?」
「う~ん、名前も似ているし、その可能性はあるよね」
「そ、そうなのかなぁ?」
 がっくりと肩を落とした一也だった。
 その時。
「テンパリングをしてみたらどうでしょう?」
 おずおずとか細い声がブレンダたちにかけられた。
「テンパリング?」
 慌てて振り返った先に真里亜がいた。
「なんやの、それ?」
「え、えっと……」
 いきなりその場にいた全員の注目を浴びて、真里亜は頬を真っ赤に染めてうつむいた。
 その真里亜の顔をキキが覗き込んだ。
「テンパリングって何かな? 真里亜ちゃん?」
「教えていただけませんか?」
 同じように覗き込んだアニスの顔とキキの顔を交互に見つめながら、真里亜はぽつぽつと語り始めた。
「以前テレビで言っていたのですが……チョコレートは脂肪をいれないと固まらないそうなんです。……それで、チョコレートを4,50度の温度で溶かしながら脂肪もそこに練りこむとチョコレートが固まるそうなんです」
「それがテンパリングというのですか?」
「は……はい」
 アルサリーズの言葉に真里亜は消え入りそうな声でうなずいた。
 そんな真里亜をアルサリーズはわずかに眉をひそめて見た。
「脂肪は何を使うのですか?」
「え、えっと……」
 彼女のどこか鋭さを秘めた口調に真里亜はおろおろと瞳を動かした。
「し、知りません」
 泣きそうな声でそれだけ言った後、真里亜はうつむいてしまった。
 そんな真里亜の背中をキキがポンポンと叩いた。
「気にしなくていいよ、真里亜ちゃん」
「そやそや。ここに歩く百科事典がいるんや、なんか知っているやろ。な、アルノーさん?」
「ええっ!? 僕?」
 ブレンダにバンと背中を叩かれて目を白黒させるアルノー。そんなアルノーに期待の入り混じった目が集中する。
「チョコレートに入れる脂肪分なんて、僕は知らないぞ」
 とか言いながら、頭の中に入っているデータを引っ張り出してしまうアルノーだった。
「ラード……ヘット……とかは、さすがに匂いがきついかな?」
 ちらりと親方を見ると親方はこくりとうなずく。
「あとは、バター?」
「あ!」
 アルノーの言葉に真里亜が小さく叫んだ。
「カカオバター。カカオバターを入れていました」
「え?」
 みなキョトンと真里亜を見た。
「カカオバターって?」
「カカオから取れる脂肪です。それをチョコレートに入れる……と……」
 真里亜の言葉は次第に小さくなっていった。
「それができたら、苦労はしないんだがな」
「そうですよね」
 エルシトリンの言葉にまたもや首をうなだれる真里亜だった。カカオから脂肪をとる技術があれば、チョコレートを固める技術もあるはずである。
「え~とさ」
 シンとお通夜状態になったみなにおずおずとウェインが手を上げた。
「シアバターとかはさ、だめなのかな?」
「シアバター?」
 思いっきり疑問符を顔に貼り付けているみなと違い、アルノーだけは「ああ」という顔をした。
「シアバターノキから取れるバターか? だが、あれはかなり高価な上に南方の国からの輸入が無いと手に入らないぞ」
「ところが、実はあったりするんだよね」
「え!?」
 みな、目を丸くしてウェインを見つめた。
「公爵さんが、カカンバーさんに渡していたのを見たんだ。レスリングをする時に最適だとかなんだとか言いながら」
「あの変態は、何を考えているのだ!」
 思いっきりしかめっ面をした親方とは対照的に、カカンバーはいたってのんびりと答えた。
「んだ。親方の分ももらったんだけど、ワシ、どう使うんか分からんかってのう。ウェインにきいたら傷を治したり、鎧や武器の手入れにいいってきいて、大事にとっておいたんじゃ」
「あ、あの、シアバターでも大丈夫だと……思います……」
「じゃぁ、それを使えば!」
 真里亜の言葉に色めき立つブレンダたち。
「ちょっと、待って!」
 そんなブレンダたちをアルサリーズが止めた。
「シアバターなら私も知っているわ。でもそれはとんでもなく高価な上に傷薬としてとても貴重なものよ。それを、たかがお菓子に使っていいかしら」
 エミリィとともに三教の兵站に携わっているアルサリーズは知っていた。今でこそ、付近の住民の協力の下一応落ち着いている三教の補給線だが、いつ何時それが途絶えるか分からない。その時の為にできるだけ命に関わるものはとっておきたい。シアバターは傷薬としてだけでなく、食用にも燃料にも使うことができる優秀な品物だった。
「アルサリーズさん、固いこと言わないでよ~」
 シェーンが甘えた声を出してみたが、アルサリーズの表情は変わらない。いつもの無表情に近い固い顔を向けただけだった。
「だめです。本当はカカオだって薬用として保存しておきたいのですから」
「え~」
 口を尖らせるブレンダたち。だが、アルサリーズは断固として態度を崩さなかった。
「あのさ、結構な量だよ」
「なおさらです」
「じゃ、じゃあさ、チョコレート、どうする?」
 う~ん、とみな腕を組んでカカオを見つめる。
「アルサリーズさん、チョコレート、食べたくないん?」
 ブレンダは上目遣いにアルサリーズを見た。
「う」
 その言葉にアルサリーズの表情はわずかに揺れる。隠してはいるが、彼女だって甘いものは大好物なのである。
「なぁ、ちょっとだけ、ちょっとだけやったらええやろ?」
「そうそう。みんなに配る分じゃ無くて試しに作る分だけ」
「もし、一也君が言う固形のチョコレートができれば、チョコレートの有効活用の道も開けるな」
「あ、ええこと言うな、アルノーさん。それそれ、糧食の研究目的のため、ということでここは一つ」
「そんなこと……」
 ぐらぐらと揺れる彼女の気持ちをマイネがそっと後押しした。
「ちょっとぐらいなら許したり。お堅いのも考えもんやで」
「じゃぁ、ちょっとだけですよ」
 アルサリーズの言葉に「やったー!」と万歳するブレンダたち。
 慌ててカカンバーは部屋へシアバターを取りに行き、親方はまたもやアニスと今度は真里亜をつれて厨房に引きこもった。
消えました…
フフ
消えちゃいました…(((( ;°Д°))))


え~と、事情をどう話しましょう。
「バレンタイン狂想曲」、とりあえず昨日書き終わりました。
で、妹がパソコンを使わせろと言うので、譲ったのです。
彼女が使っている間に、お風呂に入ったり明日の準備をしたりしている間に
眠くなってきたので寝ちゃったのですね。
で、今日、データを開けてみると
書いた部分がまったく残っていないのです。 

…………。

保存するのを忘れていたみたいなのですね。 

NO~(°д°;) 

ううう。私の3時間を返して・・・o(TωT ) 

いや、保存するのを忘れていた私が悪いんやけど、
妹よ。パソコンの電源切る前に一度くらい確認してよ。
なんか、公爵が駄々をこねてうまく話が運びませんでした。
難しいな~、この人。
ということで、二月中に終わるのかいなと、そちらも不安になってきた「バレンタイン狂想曲」です。
いつもは捏造度5割程度ですが、今回は9割捏造です。
言動でおかしいところがあれば言って下さい。

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆

4日目

「何と言うか……いつ見てもいい趣味していますね」
 ウェインは自分の周りに立つ立派な彫像を眺めながら横にいるアルノーにポソリとつぶやいた。どの彫像も筋骨隆々とした男たちが様々なポーズを決めている。中には二体の大男たちが何やら裸で絡み合っている像まである。
「アヴィオン半島に古代にあったレスリングの像だな。年代からすると今から1000年ぐらい前。確かにいい趣味はしていると思うよ、ウェイン」
「アルノー、冷静に鑑定しないでくれる?」
「ほぉぉぉ。さすが公爵様じゃのう」
「カカンバーさん、だからそこは感心するところじゃ……」
「お褒めに預かり光栄ですな」
「うひゃぁ!」
 突然首筋に響いた重低音の渋い声に文字通りウェインは飛び上がった。
「この二の腕の隆々とした筋肉のつくり、ふくらはぎから太ももへと流れる筋肉の動きには飛び散る汗すら感じる。何より腹と背中のつくりには最高級の賛辞を贈りたい。すでに失われた様式であることが惜しいぐらいだ」
 うっとりと像を眺めながらご高説賜るのは、カイザル髭もりりしい女王派の重鎮、転移魔術の高位術者、そしてガチムチホモ好きの変態公爵、シュテファン・ハイネ公爵だった。
 そしてこの怪しげな像の立ち並ぶ屋敷は、公爵が「素晴らしい仲間達と会合を開く」海岸沿いの別荘である。
 三教の女性陣の期待と願いを背負って、チョコレートを手に入れるために、シュテファン公爵に手紙を書いたカカンバーだが、返事は、
「別荘まで訪ねたらお渡ししよう」
 というものだった。
 その手紙になんとなくカカンバーの貞操の危機を感じたウェインとアルノーは、
「こうなったらカカンバーさんに色仕掛けで頑張ってもらわなあかんな」
というブレンダの言葉にさらに不安をつのらせて、ついて来ることにしたのだった。
「この像よりもお勧めの像があってな、先日セリティアの商人から購入したものなのだが……」
「ちょ、ちょっと待ってください」
 彫像の説明へとなりそうなところを慌ててウェインが止めた。
「今日は彫像を拝見しに来たわけではないのです」
 そしてカカンバーを振り返る。
「ですよね、カカンバーさん」
「んだ。公爵さん、手紙にも書いたとおり……」
 ウェインの言葉に思い出したようにカカンバーが話し始めると、公爵はつまらなそうに手を振った。
「会話には流れというものがあるのだ。目的のために芸術を堪能するのではなく、芸術のために目的を作るぐらいでなくては、人の心は動かんぞ」
 公爵はウェインたちを応接間へと案内し、どっかりとソファに座った。
「それで、どういった用件なのだ?」
「どういったっ……て……」
 呼び出したのはそっちでしょと言おうと口を開きかけた瞬間ウェインはアルノーに肘を掴まれた。
「ウェイン、公爵の話術に乗るな」
 小声でそう言ってアルノーはちらりとカカンバーへ目配せをした。とりあえず、カカンバーに任せてみようということだ。
 ウェインも心得たように小さくうなずいた。
「えと、公爵さんは、カカオを持ってるかのう?」
 おずおずと聞き始めたカカンバーを公爵は不機嫌そうに眺めた。
「それを我輩が持っているとして、どうしたいのだ?」
「少し分けて欲しいんじゃがのう?」
「ふむ」
 公爵は冷たい視線をカカンバーと、そしてウェインとアルノーに向けた。
 明らかにその顔は、先ほどの邪魔されたことを根に持っている顔だった。その顔にしまったと舌打ちをしたウェインとアルノーだったが、かといってこのままズルズルと公爵の話に流されるわけにはいかなかった。
 特別休暇ではない休日はとても短く、日暮れまで帰ろうと思えばさっさと用件だけを済まさなければならない。公爵もそれを知っていて焦らしていたのであろう。
 いや、今も焦らしているのだろうか。
 この公爵の扱いづらいところは、彼のツボとなるところがどこなのか読みにくいことだった。
 カカンバーに気があるような振りをしながら、このように邪険に扱うこともある。
 王党派で、ベアトリスのために尽力することもあれば、突き放すこともある。
 親方に言い寄っているようなことをしながら、その実は内密な話をしたがっているようなこともある。
 とにかく、どこまでが本気で、どこまでが冗談なのか分からないのだった。
 今回も、カカオを自分たちに渡すために焦らしているのか、それともカカンバーを呼び寄せるための口実だったのか、まったく想像がつかなかった。
「持っていらっしゃらないのですか?」
 悩んでも仕方がない。アルノーは思い切って直球で公爵に聞いてみた。
 アルノーの質問に、公爵はフンと鼻を鳴らした。
「先ほど、セリティアの商人から彫像を買ったと言ったであろう」
「え!? じゃぁ、セリティアではカカオの交易は行われているのですか?」
「かの国はわが国よりチョコレートの普及率は高いからな。戦争中も交易は途絶えてはいないそうだ。ただし……」
 公爵はじろりとウェインたちを見回した。
「カカオは陛下に献上しようと考えていたものだ。それを分けてくれと言うのならば、それ相応の理由があるのだろうな」
「えっと……」
 ウェインたちはお互い顔を見合わせた。三教のイベントのためにというのはさすがに「それ相応の理由」にはならないような気がする。
「我輩は戦女神殿を気に入っている。彼女の力になるのならただで分けるのもやぶさかではないが……」
「え、え~と、一応、役に立つというか、たたないというか」
 しどろもどろと説明をしようとしたところ、カカンバーがほとほと困ったという顔で公爵に尋ねた。
「分けてはくれんのかのう?」
 「分けてもらえんとみんなががっかりするんだがのう」とカカンバーは困り果てたように公爵を見る。その瞳に、公爵も少しは態度を軟化させたようだった。
「分けないとは言っておらんぞ」
「だったら何が嫌なんじゃ?」
「う~む」
 アルノー以上の直球勝負に公爵は少し気がそがれたような顔をした。
「カカオはただで分けるには多少高価すぎるとは思わんか」
「確かにそうじゃのう」
 公爵の言葉にカカンバーは素直にうなずく。
「どうしても分けて欲しいという理由がなければ、それ相応の対価が必要ではないか?」
「お金のことかのう?」
「お金だけとは限らんがな」
 そう言って公爵は意味ありげにウェインとアルノーを見た。
 ――こうなったらカカンバーさんに色仕掛けで頑張ってもらわなあかんな――
 ブレンダの言葉が脳裏に響き、二人は慌てて頭を振った。
 ――だめだ! それだけはだめだ!!――
 だがそれ以上の対価を二人はまったく思いつかなかった。
 ――ここは……――
 ――やっぱり……――
 二人目を合わせてごくりとつばを飲み込んだときだった。
「対価は情報料ってのはどうやろ?」
「そうよ。親方をゲットできるチャンスなんだから!」
 バンと威勢の良い音を立てながら真っ赤な髪のつむじ風が応接間へ転がり込んだ。
「ブレンダ。シェーン。君たち?」
 呆然と二人を見詰めるアルノーたちを無視してシェーンとブレンダはつかつかと真っ直ぐ公爵の目の前へと立った。
「ルペルカリアは愛のお祭りでしょ。その日に愛の告白をすると幸せになるの。それにはチョコレートが必要なの」
「お嬢さん、何を言っているか分からんぞ。それに、ルペルカリアにそんな話は聞いていないぞ」
「え~とやね、ある国にもルペルカリアと同じ祭りがあって、そこではチョコレートで愛を告白すると『両思いになる』という伝説があるんや。で、ルペルカリアより風紀的にOKやろ。だから三教でまねしようと思ったんや。隊長の許可ももらっているんやで」
「それが君たちのいう情報か? しかし、我輩はそんなことに……」
 いきなり現れたこの侵入者達に公爵は難色を示した。彼女たちの提供する情報はあまりにも稚拙で高価なカカオの対価にはなりえそうになかった。だが、そんな公爵の目の前にあるテーブルをバンとシェーンは叩いた。
「だからさっき言ったでしょ! 親方をゲットできるチャンスだって!!」
「お嬢さん……」
「うち、言ったはずやで。これは三教全員の総意やって。やったら、親方もチョコレートが欲しいなぁって考えているとは思わんの?」
「それなのに公爵さんがチョコレートくれなかったら、どうなると思う? きっと嫌われちゃうわよ」
「逆に、ただでくれたら見なおされるかもしれへんで?」
「私言っちゃおうかな~。公爵さんが意地悪してチョコレート分けてくれなかったって」
「カカンバーさんをよこせって言ったとか言ったらどうなるやろな?」
「親方、怒るよ~。二度と、口きいてもらえないかもね」
 二人の迫力にポカンと口を開けて見ていた公爵だが、クッと噴出した後、ハハハハハと大笑いし始めた。
「我輩を脅迫するのか、お嬢さんたち」
「脅迫じゃないわよ。情報提供よ」
 済まして答えたシェーンの言葉に、公爵はさらに笑い出した。
「そや。親方がチョコレートを欲しがっているなんて、かなり大きい情報やと思うで」
「ハハハハハ!!」
 公爵はとうとうお腹を抱えて笑い出した。
「面白いお嬢さんたちだな。その情報を我輩が本当に欲しがると思うのか?」
「欲しがるかどうかは知らんけど、公爵さんも参加したらどうやって言っているんやけどな」
「そうそう。バレンタインって言うんだけど、すっごく面白いと思うよ。『愛』も告白できるんだよ」
「ほお?」
 公爵はやっと興味を示したようだった。

 そして、数十分後。
「なるほど。それは参加してみてもいいかもしれんな」
 公爵の言葉にブレンダとシェーンは「やった!」と手を打ち鳴らした。
 そんな二人を公爵は面白そうに見つめると、軽く二度手を打ち鳴らした。心得たように公爵の執事が現れる。
「セリティアの商人の土産品を持って来てくれ」
「くださるんですか!?」
 驚いているウェインたち男性陣に公爵は片目をつぶって見せた。
「情報量は払わないといけないからな」
「参加費でもいいのよ」
 小首を傾げてそう言ったシェーンに、公爵はまたもや楽しそうに笑った。
 その楽しそうな笑顔に、シェーンとブレンダは勝ち誇ったように笑みを浮かべた。
 釈然としないのはアルノーとウェインである。
 こんなに簡単にことが運ぶなら初めからブレンダとシェーンに交渉させておけばよかったのである。
 なのに……
 ――え~、公爵と交渉やったら男の人の方がええんとちゃうの?――
 ――そうそう、私たち女の子が行ったらむしろ逆効果だと思うよ――
 とか何とか言って、まったく来る気が無かったのだ。
 それが今頃になって……。
「いやぁ、良かった、良かった」
 一人、朗らかな笑みをのんびりと浮かべていたのはカカンバーだけだった。
 だがそんな面々も公爵が執事に持ってこさせた緑色のごろりとした塊には笑みが凍りついたのだった。
「これがカカオですか?」
「そうだ。他に何があると言うのだね?」
「これを、どうやって加工したらチョコレートになるの?」
「チョコレートドリンクにするのは親方に頼めばできると思うよ。ただ、一也君たちの国のように固形のお菓子にするのは、ちょっと無理じゃないかな?」
「ええ~」
 そんなブレンダたちに、追い討ちをかけるように公爵が言った。
「それでは、バレンタインを楽しみに待っているよ」
バレンタイン・プラリア書かなければと思いながら、この5日間、こんなことをやっていました。

"Pride of Dragoon"@ウィキの整理

新しい用語や説明を書き加えたりしながら見やすいように色々ページをいじりました。

プラリア書いていると、用語とかを整理したくなるんですよね。
この用語集も自分がプラリア書くときに必要だから作ったものですし。
とはいえ、まだ第1回リアクションの用語をすべて網羅できていません。
marinさんに第4回リアクションのデータをもらったので、早くそこまで用語集として収めなければ申し訳ないと思うのですが。
コレ結構気力と体力が要ります(-。-;)

プラリアは、とりあえず残りの半分は書けているので、気力が続けば4日目を明日にはUPできるかと。
バレンタインはとっくに過ぎ去っていますが
2月中はバレンタインじゃー!!\(゜□゜)/
という心意気で頑張るですですよ
PoDのプラリアを書く面白さは、とりあえずPC・NPCに会話をさせておけば自然と話が転がっていくことです。
それだけPCとNPCのキャラが立っているんだなと、そのキャラを立たせてくれているマスターにあらためて感謝と尊敬の念が沸きます。
ということで全5話のつもりの「バレンタイン狂想曲」ですが、これ、5話で収拾つくのかな?
一抹の不安を抱えつつ・・・
(バレンタインで「END」はすでに無理)

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆

3日目

「ウェインさ~ん、お手紙ですよ~」
 エミリィの良く通る声が食堂を響き渡った。その声に合わせて立ち上がるウェインとそばだてられる耳という耳、集められる目という目。
 みなの注目の中ウェインはエミリィから手紙を受け取り、その中身に目を走らせた。
 そしてくるりと振り返ると大きく頭上でバツを作った。
「はあぁぁぁぁ」
 明らかにがっかりしたため息が食堂中にこぼれた。
「だめかぁ」
「そやろなぁ。チョコレートって貴族の嗜好品中の嗜好品。女王様ですらめったに口にできない食べ物やもんなぁ」
「お金積んで何とかなる問題だったら何とかするんだけど、港にまったく品物が下りて来ていないんだ」 
 がっかりしているブレンダたちを慰めるようにウェインは言う。
 チョコレートの原材料であるカカオは、ブレンダたちの国ではまったく作ることができない作物である。このカカオが貿易品としてアヴィオン半島にやってきたのは半世紀ほど前。この苦い食べ物は初め薬用、強壮目的として用いられていたが、大陸から砂糖を混ぜて飲む方法が伝わり、貴族を中心として爆発的に広まった。
 だが所詮は貿易品。勃発した戦争により嗜好品などの貿易品はストップ。戦後も戦争によるあまりに大きな損耗に貴族達は高価な嗜好品を買う余裕が無く、カカオなどの高価な貿易品はストップしたままだった。
「戦争も終わったし、船を出せばそれなりに取引が開始されるとは思うだろうけど……」
「届くのは2,3ヵ月後ということか」
 アルノーの言葉にウェインはこくりとうなずいた。
「うわぁぁぁぁ。それを忘れてたんやぁ」
 代わりにブレンダががっくりと頭を抱え込んだ。
「えっと、チョコレートってそんなに手に入らないものなの?」
 一気にお通夜モードになった食堂に不思議そうに首を傾げながら一也が言った。
「手に入らないって言いますか、イスファルドではできないものですから」
 アニスも自分に届いた手紙を読みながらふぅっとため息を付いた。
「両親に私も手紙を出したのですが、薬用の分しかなく嗜好品に回すほどの予備は無いということだそうです」
「え? 薬用? え?」
 意味が分からずきょとんとする一也をシェーンが恨めしそうに見た。
「一也君のところは、チョコレートっていっぱいあるの?」
「いっぱいというか、お店へ行けば必ず何らかのチョコレート菓子があるかな」
「え!?」
 一也の言葉にブレンダたちはぎょっと一也を見た。
「お店へ行けば……」
「必ず……」
「ある?」
 お互い顔を見合わせた後、再度一也に向き直り声をそろえて言った。
「なんてうらやましい世界なの(なんや)!!」
「え? うらやましい?」
 訳が分からず目を白黒させる一也にうっとりとした表情でブレンダたちは語る。
「あの、苦味と甘味が入り混じった飲み物」
「えも言われぬ濃厚なカカオの香りだけで、堪らなくなるんよな」
「リキュールやブランデーを入れても、最高に美味しいよねぇ」
「あ~ん、思い出したら食べたくなってきた~」
「国王陛下だけでなく私たちも店へ行けば必ず食べることができればどんなに幸せでしょう」
「つまり、僕達の国では王侯貴族しか食べることができないものなんだ。チョコレートは」
 ウェインの最後の説明に、一也は納得がいくと同時に罪悪感を覚えた。
「その、余計なことを言ったかな?」
 自分がバレンタインの事を言い出さなければ、めったに手に入らない高級嗜好品でブレンダたちが悩む必要も無かった。そして、ひそかにチョコレートがあふれかえっている日本を自慢したことにもなる。ブレンダたちにうらやましがられているが、日本だってカカオの輸入がストップすればあっという間にチョコレートが消える国なのに。
 だが、そんな一也の肩をポンポンと優しくエルシトリンが叩いた。
「気にするな。彼女たちは悩むのも楽しんでいる」
 エルシトリンの言葉どおり、ブレンダたちは額を寄せ合ってあ~でもない、こ~でもないと言い始めていた。
「やっぱ、チョコレートは一つぐらいあった方がいいんだよね」
「でも、無いのだから仕方がないじゃない」
「何か、チョコレートの代わりになる物って無いでしょうか?」
「クッキーとか? ケーキとか?」
「あかん! そんな普通のもの。もっとこう、インパクトがあって『愛の告白』にふさわしいものやないと!」
「そういえば、チョコレートには『媚薬』効果もあるという噂だったよねぇ」
「それ! そういう『媚薬』みたいな雰囲気があるものやないと! ……え? 媚薬?」
「そもそも、甘いものって男性はお好きなのでしょうか?」
「あたしら女性は好きだけどね」
「お姉さまも好きですわ!」
「一也君も好きよ! バレンタインの話をするぐらいだから、チョコレートは大好きなはずよ!」
「圭さんはどうやろな? あ、でもエルマー君なら好きかも知れんな。ほら、なんか美少年とお菓子ってちょっと絵にならへん?」
「あのきれいなお顔で『ありがとうございます』って微笑まれるんですよね」
 だんだんと個人的な話題に移り始め、アルノーをはじめとした男性陣は次第にいづらくなってきた。
「えっと、そろそろ俺達は……」
 腰を浮かし、なんとなく退散の言葉を言いかけたその時。
「あ、公爵! 公爵はどうなんやろ!」
 ブレンダが思い出したように叫んだ。
「あ……」
 ブレンダの言葉にみな、顔を見合わせる。
「確か、公爵って大陸の方々とも交流がありましたね」
「屋敷にもかなり外国の方が出入りしていたと」
「カカオの一つや二つ、あってもおかしくないよねぇ」
「どうして今まで思い至らなかったのでしょう?」
「思い出したくなかったからやないの?」
 ブレンダの突っ込みにみな「ああ」と納得顔をする。
 規格外の人間が集まる三教だが、そんな三教のメンバーですら公爵は関わり合いたくない人間である。
 ガチムチホモが好きなシュテファン公爵は、空間転移の高位術者という才能を大いに無駄遣いしながらこの三教に顔を出す。本人は親方とカカンバーを狙って訪ねていると言うが、どうも他に目的があるようでエルシトリンなどは疑いの目でもって公爵を見ている。エルシトリンほど疑ってはいないがウェインもアルノーもこの人の真意をはかりかねていて、そういう意味で、ブレンダいわく「思い出したくない」相手である。
 ちなみにブレンダは生理的に受け付けないらしく、特に理由もなく毛嫌いしている。
 だが、女王派の重鎮の一人で政治的にも経済的にも諸外国とつながりのある公爵なら確かにカカオの一つや二つは持っていてもおかしくはなかった。
「公爵が持っているとして、誰が聞きに行きます? どうやって頼みます?」
 ウェインの言葉にみなシンとなって顔を見合わせる。
 そしてその視線は自然と一人の人物へと集められていった。
 みなの視線の先にいる巨漢の人物はのんびりと顔を上げて言った。
「ワシ、ということになるかのう」

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チョコレートの歴史はアヴィオン半島=イタリア半島という設定で書いています。
ちなみにチョコレートの歴史はメキシコ→スペイン→フランス→イタリアという順で広まったそうです。
苦い薬用だったカカオを甘いチョコレートドリンクに改良したのはメキシコ在住の宣教師。
基本的に飲み物だったチョコレートを固形のお菓子に改良したのはイギリスの菓子メーカー。
PoDでは、ちょうどチョコレートドリンクが国王一家に献上されたばっかりで、貴族を中心に一大ブームが巻き起こったところという設定です。(戦争の影響でちょっと下火になっていますが)