やー来ましたね、今年もこの季節がブエックショーーーーーイコリャチクショーイ
(花粉症)


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

尺八の話 完結編

あらすじ
一見万能に思える新しい楽器(Bちゃん)、しかし都山流本曲コンクールではいままでの楽器(Aちゃん)を使ったそのわけは?

(今回の記事は大いに石垣の主観が含まれております。断定的に書いてある部分、そして可能な限り簡潔にするために雑になっているかなり省略されている部分も散見されますが、『異論は認める』方針でございます。むしろ異論バッチこい!!論議を重ねてより良い尺八界のために寄与出来たらうれしいなーと思ってます!)


ここで改めてAちゃんBちゃんの楽器としての違いを列挙してみましょう。

指孔の大きさ
A…小
B…大

これは何が変わるかというと単純に『音量』ですね。大きくなる方が音も大きくなる。それと尺八はひとつの穴の塞ぎかたを変えることによって音程を調節するのですが、穴が大きい方が調節の幅が広くて、また一般的にはこの調節をしているときは音量が下がるのですが、Bちゃんはそこまで音が小さくならずに演奏できます。
ただ穴が大きくなると言うことは穴が塞ぎにくくなる事に直結し、実際変えて直ぐは穴を塞ぎきれないなど少し戸惑いました。



指孔の位置
A…均等
B…不均等

これまでの尺八は見映え重視の考え(もしくは慣例)から各指孔の間隔が均等でした。ただそれだと音程間隔は少しずれてしまうので、穴を斜めに空けるなどしていました。
Bちゃんは孔の位置が不均等で、正直最初に持ったときは違和感がすごかったです。特に左手の間隔が広い!多分これまでと使う筋肉が微妙にずれてて、今までより体も痛くなった気がします。(おい、そこ、老化とかいうんじゃない!)
なぜ不均等かというと音程間隔を重視するという理由なのですが…まぁとにかく指孔の間隔を均一にすることを犠牲に音程の良さを手に入れてると思っていただければ良いかなー。


他にも内径だとか漆の塗り方だとか地の作り方だとか歌口の角度だとか顎に当てるところの形だとか挙げるとキリ無いんですけど!!

Aちゃんを再び使うことになった理由は先程の二点が深く関わってまして。


指孔の大きさ、位置が違うことによって決定的に出る差は

1.出来る技法と出来ない技法がある!
これまでの楽器は言うなれば『不自由の中に新たな技法を見つけ続ける』と言う研究が長いこと行われてきました。ある音の時に特定の指孔を叩くように打つと特徴的な音が出るなど、聴く人が細かく理解できてなくても『あ、尺八っぽいな』と思える吹奏法が数多産み出され編み出されてきました。

片やBちゃんはAちゃんが出来なかったことも出来るようになっていたりする(もちろん各種工夫が必要な)のですが、逆に今までできていたことを『完全再現するのが難しい』部分が出てきてます。出来ないとは言わない。まだ工夫が足りないのだと思う。けど非常に難しい!!

言うなれば『自由が故に技法は自分の技術で確立せねばならない』楽器なのだと思ってます。異論は認める。

 

2.響き(倍音成分)が違う!

実はこれが決定的。倍音については書き始めると死ぬほど長くなるきりがないので、どうしても気になる方はWikipedia先生にでも尋ねてみてください。

ざっくりいうと尺八に限らず我々が聴いている音色って、聴いて判断している音(例えばド)以外に複数の音(上音)が混ざってるんですね。その混ざり具合によって「あー、バイオリンの音だねー」とか「フルートだねー」とか「そだねー」とかなるわけです。

尺八には尺八の特徴的な混ざり具合があるわけですが、それがAちゃんとBちゃんでは違うってことですね。なので中には「Bちゃんのような音は、もはや尺八ではない」と言う方もいます。気持ちは分らんではない。はじめて聴いてみたとき吹いてみたとき、衝撃走りましたもん。「何だこりゃ!?」って。

 

 

さあ、ここまで来て改めて最初の問題に戻りましょう。

『なぜ都山流本曲コンクールでAちゃんに戻したか』

なんとなく察しがついてきた方もいるんじゃないですかね!?

 

答えとしては

1.『求められている技法を再現するのが非常に難しかったから。』

2.『審査員が響きに違和感を感じてしまうから。』

この二点です!

 

この尺八のお話の中で「一度目にコンクールをとったときはBちゃんを使っていて、それが自分にとってはとても大きいことだった」という趣旨のことを書いた(※Vol.4参照)と思うのですが、それもこのことに直結しています。

当時すでにBちゃんの系統の楽器は色々な意味で注目を集めていて、中には悪く言う人、「その楽器では都山流のコンクールは取れない」、などという意見も漏れ聞こえていました。

だからこそ!

いやー、なんですかねー、尖ってたんですかねー(笑)そこまで言われているからこそBちゃんで絶対にこのコンクールとってやる!!!って息巻いたんですねー。

自分としては尺八の新たな一面に気付かせてくれた楽器、そしてその楽器を作ってくださった製管師の方に何とか恩返ししたいという気持ちでいっぱいでした。

で、とったんですよ、コンクール。かっこよくない!?(笑)

 

しかし、それから数年たち、再チャレンジしたときはやはり上の二点に苦しみまして。。。

何回か一位を獲れない中で改めてAちゃんを吹いてみたんですよ。で、気付いたの。

『俺は何を意地張っていたんだ…』と。

コンクールで求められていることはAちゃんで十分発揮できるし(それも楽に)、そもそもBちゃんに変えたのはコンクールのためじゃなかったなって。

いや~、大人になったな、イシガキ!!!

 

ということで晴れてAちゃんを使用して2017年のコンクールで一位を受賞したのでした!

 

ここまでお付き合いいただいた皆様、

ありがとうございました!!!!!

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

・・・・・・・終わった・・・・・・・・・・・・・・・

誰だ…続き物にしておけばネタがないときに書けて便利☆

とか考えた大バカ者は!!!!!

俺だーーーーーーーーーーー!!!!!

そだねーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!

 

はい、と言うことでお知らせです。

 

3/2 直会『世界音楽紀行』

錦糸町シルクロードカフェにて 19:30開演

バンドネオン、尺八、バイオリン、チェロ、ピアノ、パーカッションの6人編成!

タイトルの通り皆様を世界音楽紀行へお連れいたします♪

ご予約・お問い合わせは Silkroad Cafe まで
tel:03-5809-7953
mail:reserve@silkroad-cafe.comIMG_20180301_123357863.jpg

直会でこんな写真を最近撮りましたよん、今後チラシなどで登場するかな!?

 

 

3/5 HIDE×HIDE『三尺秀水~寅~』

神楽坂THE GLEEにて 19:30開演

毎月お届けしているHIDE×HIDE Live『三尺秀水』、いつもは三味線尺八ピアノのトリオでお届けしておりますが、今月は少し趣向を変えて前半は三味線尺八のデュオをお届けしようかな、と思ってます!

ご予約はコチラ!

 

3/10 AUNJ『NHK ふるさとの食 にっぽんの食全国フェスティバル

NHK放送センター 代々木公園 10:00~16:00

NHKのイベントにAUNJが登場!AUNJのステージ登場時間は11:30~と14:15~の二回。

詳しくはこちらでご確認ください♪

※箏のあじゅさんの代わりに石本かおりさんが出演してくださいます!

 

 

はい、それではまだ来週です!

 

石垣征山