秋田県の学力は本当に高いのか?part2 | 中村進学塾塾長ブログ

(part1から続く)

part1はこちら↓

 

 

 

では、冒頭で述べた(2)(3)はどうだろうか。

 

(2)(弊塾に来ている)中高生の勉強や受験への姿勢


この2つに関しては、「(1)最近の秋田県の大学進学実績」に比べて、客観的なデータは残念ながらない。
しかし、中高生の勉強姿勢という点から弊塾での受講状況を見ると、ある程度実態が見えてくると思う。


その前に弊塾の受講システムを説明しておきたい。弊塾では、強制的に五教科セットや英数を受講してもらうという制度はとっておらず、任意に受講する講座を選択してもらうようにしている(ただし、講座のレベルと本人の学習状況や学力、志望校などを勘案して、当該クラスに入れるかどうかのアドバイスは行う)。したがって、英語だけや数学だけの一講座だけの受講も勿論可能である。そうすると、面白いことに、難関大学や医歯薬系に合格する人とそうではない人の受講状況の差が明らかとなる。弊塾では以下の傾向がある。

① 難関大学理系学部や医歯薬系に合格する生徒は数学に加え、物理や化学を受講している。
② 文理問わず難関大学や医歯薬系に合格する生徒は複数講座受講している。

このようなことを書くと、受講を間接的に強制しているという謗りは免れないのだが、上の傾向に関しては、ほぼ例外がない。勿論、弊塾などに通塾せずに難関大学や医歯薬系に合格する子もいるのは確かであるし、逆に複数講座を受講していても上記のような所に合格しない子もいる。しかし、難関大学でなくとも、入塾時の偏差値よりも大幅にアップしたり、当初の志望よりもワンランク上の大学に合格していることが多い。それが、弊塾の指導の良さなのか、本人のやる気なのか、はたまた、その両方なのかはさておき。

(3)(2)の保護者の方の進学や勉強への姿勢

(3)に関しては、昨今の世情から習い事への支出を減らす傾向にあるのは致し方ないとしても、現在の中高生の親世代の方とお話させてもらう機会が多いのだが、受験への関心や進学意欲が以前よりも低下していると切に感じる。例えば、遊びのために塾を休ませる、学校から送付される定期考査の成績は把握していても受験で重要となる模試の成績を把握していない、大学の状況も分からず子供へ志望校を押し付ける等親子間での勉強を巡る意思疎通での多くの問題が見られる。

本来ならば、学力を決める要因は何かという話抜きにこの類の議論をするのは説得力に欠けるのであるが、詳細は別の機会に譲るとして、極大雑把に言うと、最近の行動遺伝学によると、6割が遺伝要因、残りが環境要因のうち非共有環境であるということだ。環境には、共有環境と非共有環境があり、ある環境の置かれたとき全員が同じ影響を受けるものが共有環境、ある環境に置かれても個々が別々の影響を請けるのが非共有環境とのことだ。そして、多くの教育学者は環境のうち、学校や塾よりも家庭の重要さを指摘している。子供は親の姿勢を見て育つのは言うまでもなく、私個人の経験としても、その影響は実感している。新聞を読まない家庭の子供は新聞を読まないし、勉強を大切にしない家庭の子供は大概勉強を好きにはならない。

ここまで、やや冗長になったが、多分に個人的な視点が入っているものの、秋田県の入試に向けた学力の状況について述べてきた。賛否両論あると思うが、一ついえることは、現状のままで秋田県の進学実績は改善しないと言うことだ。無論、これを読んで頂いている受験生やその保護者の方は秋田県全体を向上させようなどと思う必要はない。ただ、自分の受験に関して、与えられる情報や環境で十分だと思考停止をしてはいけない。おそらく何が正解なのかを明確に示すことができる学校や塾、予備校の教師は少ないだろう(それゆえ、セカンドオピニオンを否定する一部の進学校の教師の在り方は非常に残念なのだ)。そして、生徒一人一人に合う合わないもあるかもしれない(ただし、自分の努力不足を「合わない」という理由で逃げる姿勢の受験生が多すぎることに辟易している)。

 

常に最善を模索する姿勢、勿論このブログを含めてなのだが、学校や大手予備校、あるいは塾や家庭教師が言うことだからと鵜呑みにせずに、批判的に自分の頭で考え、判断する姿勢が大切だと思う。