秋田県の学力は本当に高いのか?part1 | 中村進学塾塾長ブログ

秋田の子供の学力の高さが一般に認知されて久しいが、その実像を様々な点から検証してみたい。

はじめに結論を延べると、(弊塾で)授業をしている実際との間に乖離を感じると同時に、「自分たちは学力が高いから大丈夫」なので勉強しないという根拠のない自信からくる大学入試への姿勢に警鐘を鳴らすことが目的である。秋田の子供たちだけではなく、保護者も教育現場も、何なら我々塾業界も「秋田は教育県である」と過信しているのではないか。

そう思うようになった契機は、以下の点にある。

(1)最近の秋田県の大学進学実績
(2)(弊塾に来ている)中高生の勉強や受験への姿勢
(3)(2)の保護者の方の進学や勉強への姿勢


これらを、何回かに分けて、弊塾なりの所感を交えて分析し、そのことによって、地域の進学へ良い影響をもたらすことができれば幸いである。

 

 

(1)最近の秋田県の大学進学実績

勿論、学力の定義は何かという問題はあるものの、おそらく多くの方は、「学力が高い」ことと「難関大学へ合格できる」こととを結びつけるのではなかろうか。

実名を出すのは憚るが、以前、地方紙で元県教育長が「学力の高さ」は首都圏などの難関大学に合格できる力には限られないという趣旨の記事を読んだと記憶する。そのこと自体には異論はない。勿論、難関大学出身でなくとも、大卒でなくとも、賢い人、教養や学識のある人は沢山いる。しかし、多くの学生及び保護者が「学力が高い」ことと「難関大学へ合格できる」ことを結びつけて考えがちであるならば、秋田県の公立学校が目的とする学力の定義を明確にしなければ、学校内外に対して十分な説明責任を果たしているとは言い難いし、もっと言うならばペテンである。他方、県内の進学校には、一部の教師(と信じたいかが)には「塾に行くな」と生徒に指導する者もいるようだ。勿論、これは生徒の伝聞による一部の切り取りであるから割り引くとしても、公立学校の目指す学力が塾の、勿論、良し悪しを含め様々な塾があるのだが、目指すところの受験対策と異なることをしているのであれば、そんなことを言う必要はない訳なのである。

話を本筋に戻そう。


秋田県の大学進学実績は顕著に低下している。それは、過去の中・長期的な進学校の大学合格実績を比較すると如実に分かる。
ここに、県内の主な進学校4校の進学実績(難関大、東北大合格者数を中心に)を弊塾なりに独自に調査し、まとめたものを示したい。

 


平成21、22年くらい大館鳳鳴高校と横手高校が低下傾向にあるが、秋田高校は増加している。これは、平成17年の高校入試の学区制を廃止し、全県一区になったことで、秋田市内に通学可能な県北や県南の生徒が秋田高校に流れたことが原因ではないかと推測できる。しかし、そうであれば、秋田高校は進学実績の水準を維持できていなければいけない話なのだが、近年は程度の差はあれ、4校ともに右肩下がりである。秋田県内の高校生の学力は低下していると結論づけて差し支えないだろう。元々、大学入試という点での学力が高くなったこと(他の都道府県との比較)に加え、秋田県内で過去の実績と比べても低下しているのである。その理由は何であるのかは別の機会に譲るとして、秋田県内の高校生は自分たちの学力は高いとは過信せず、むしろ全国的に見れば低い位置から逆転するつもりで努力する必要があるということではなかろうか。

 

補足:令和6年度は秋田高校はほぼ横ばい(やや増加)、秋田南高校が躍進した。また、グラフにはないが、東北大学には本荘高校に6人、秋田北高校4人、能代高校3人の合格者数がみられ、これらの高校も躍進がみられる。大館鳳鳴高校はほぼ横ばい、横手高校は右肩下がりである。

 

(part2に続く)