言ってくれなければわからない
態度で示してくれなければ応えられない
一言でいいのです 本当にワタシのことが好きですか?
サコのアパートの前の駐車場に車が停まる。
「バイト先から近いんだね」
「だからアソコにしただけだったり」
「それって安易って言わない?」
まだ車から降りずに話しているガラス越しに暗い自分の部屋の窓が見える。
もう終わりなんだ。
線香花火が最後に落ちる時みたいに、急に光がしぼんでふっと闇に飲み込まれるみたいな気持ちがする。
午前0時をだいぶ過ぎての帰宅も、しかも男の子に送ってもらっても全部初めてだった。だから、つまらなくないって、皆から言われるんだろうなと少し可笑しくなった。
「どうしたの?」
「ううん、何でも無い」
「笑ってたよ」
「なんかもったいないなって思って……」
竹下君は早口に発せられた言葉を聞き逃したみたいだった。
サコはこれから『ありがとう、今日は楽しかった』って言葉を言わなければならない。でも、それは終わらせる為の言葉だ。終わらせるのは、もったいないって思った。
それを説明しようとした時、竹下君が軽く顔を両手でおおって、首を振った。
「あー、駄目だ、結構後から酔いが回ってきた。車の中で少し寝ていくかな」
一瞬、ためらう。チラリと部屋の窓を見上げてから、思い切って口を開いた。
「あの、良かったら、部屋で休んでいかない?」
「え、いいの?」
竹下君がとても驚いた顔をした。
「だって事故ったりしたら困るもの。お酒飲んでるのを知ってたから、私も同罪になっちゃうんだよ」
「なんだ・・・それじゃあ、もう同罪じゃん」
ふたりは笑い合った。
カチリ。
電気を点けると、狭い台所とその先にある部屋が全部見える。朝出たままなので、テーブルの周りが少し散らかっていた。
女友達しか入れたことが無い部屋が、彼の目にどんな風に映っているのか気になった。
「本多いね、さすが元大学生……本出してもいい?」
竹下君は感心したように本棚を眺めている。大学の時の専門書から好きな小説まで雑多に並んでいる。
「うん。あの飲み物切らしちゃってたみたいだから、すぐそこのコンビニにまで行って来るね」
「一緒に行こうか?」
「ううん、大丈夫」
慌てて言い、サンダルを履いた。
いつも行くコンビニに、夜中に男の子と行くのは、店員がサコの顔を覚えている訳では無くても、気恥ずかしかった。
外に出て夜の空気を吸い込むと、鍵をかけずに外出するのも初めてだなと気づいた。顔が火照る。
缶ジュースとインスタントコーヒー、スナックを買って戻ると、竹下君は起きて待っていた。
「横になってても良かったのに」
「だいぶ醒めてきたから」
その後、少し離れて壁に寄りかかったまま、ずっといろいろな話をした。
サコには聞いてみたい事があった。でも、自分からはどうしても言えなかった。
はっきり言ってくれたら答えを出せるのに、もどかしく時間だけが過ぎていく。
空がうっすらと白み始めた頃に、竹下君は帰っていった。
サコは窓から手を振った。
竹下君が笑って手を振り返してくれて、車が見えなくなるまで手を振っていた。
「……何も無かったな」
カーテンを閉めながら、ポツリと呟いた。
ホッとしながら、気落ちしている自分が窓ガラスの向こうにいた。
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えっと、久しぶりに友達のウチで猫と遊んで来ました

若いから遊ぶ遊ぶw 他所のお猫さまは可愛いです(´∀`)
このお話どちらに勧めようか、迷いどころです。
ちょっと別のアイデアも浮かんでいたりf^_^;
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