ベイシー・一関(2日目) | Audio Cafe

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ジャズ喫茶、ジャズバー、オーディオ喫茶、名曲喫茶などを巡ります。
  簡単に言えば、レコードやCDで音楽のかかる店に行くブログです。

ネットカフェの時間を延長して、昼飯もそこで食べ、仕事を一段落させてから、ベイシーに行って見ることにした。昨晩チェックしたとき、一関駅を降りると西口のロータリーに地図があるが、ここにちゃんとベ

イシーの場所が書かれている。立派な観光名所なのだ。


昼間のベイシーも雰囲気がある。建物としても美しい。


Audio Cafe-basie4


一番後ろの席に座る。真正面には本の表紙で見た、あの光景が広がっている。ついにベイシーに来たのだ、という感慨にふける。あの光景はこの建物の全体の中のこの部分だったのかと合点がいく。


女性が注文を取りに来てくれたので、アイスコーヒーを注文した。


脇にグランドピアノがあり、カウンターのあるコーナーが広がる。丸テーブルもあり、ライブのある日はここも客席になるのであろうか。2階へと続く階段もある。2階にも座席があるようなので、これも開放されるの

だろう。一つ一つに注目していけば良かったものの、ただただキョロキョロと時々見回していた。


音はそれほど爆音ではなかった。日本一爆音のジャズ喫茶ではないだろう。最近はあまり音量をあげなくなっているらしいのだ。


スピーカーの近くの譜面台の上にあったもの、William Claxton "Jazz"これはどうやら写真集だったよう。


私がいた時にかかったLP(厳密にはA、B面の区別も必要だろうが、ご容赦)は次のとおりだ。若干ぬけがあるような気もる。もっと沢山聞いたような気もするのだが、メモしたものは次の3枚しかなかった。
1) The Great Kai and JJ "Great Swinging Together Again"
2) Duke Ellington "The Great Paris Concert"
3) Count Basie "Echoes of an Era: the Count Basie Years"


1)はピアノにBill Evansが入っている。
2)は特に惹かれた。素晴らしいアンサンブルが素晴らしい音響で聞けた。これは音の洪水という感じがした。ネットでベイシー訪問記を連続で書いている人がいて、私も読んだことがあったが、同じ盤で同じ言葉を使っていたことに後日気が付いた。


その方は「大洪水」と書かれていた。潜在意識に残っていたというよりは、まさにそういう言葉があてはまる音なのである。これは体験して頂かないと説明するのは難しいように思う。しかも、この洪水のすごいのは、その一つ一つの水しぶきまでがはっきり、くっきり明瞭に聞き取れるのだ。曲のエンディングでこんなに低い音がはっきりとハーモニーを奏でながら消えていく瞬間というのがあるのか、と思い知らされた。何と言う美しくも至福の瞬間なのであろうか。


この音を聞きながら、今回の旅で計画していたことは達成できたように感じた。事実、一関以降のことは全く考えていないのだった。今日の泊まる場所も決めていない。最悪、駅から相当離れた、あのネットカフェに行けば野宿は免れる。


傘のあるランプのような照明のジャズ喫茶らしい風情だが、頭上にあったので、読むとこれのメーカーは小泉だった。後日盛岡でダンテという店に入ったが、これと同じ照明を使っていた。ある意味、規範となっているアイテムなのだろうか。それとも単なる偶然なのか。


お客さんは私を含めて4人だった。途中入れ替わりもあった。


盤が終わりそうになると、マスターは柱にかけてあるジャケットをそっと抜きに来る。新しい盤に針を落としたら、そのジャケットを柱に掛けるという作業を繰り返している。接客、レジは女性に任せている感じであっ

た。黒いポロシャツの胸にはJBLのロゴがあった。ダンディな人だなと思う。


レジカウンターでは本やレコードを販売していた。私の隣に座っていた人は、沢山購入されて、最後は菅原さんとの握手を求められていた。


意外であった。このような要求に応じてくれる人なのであろうか。こちらは2次情報で勝手なこわもてイメージを作り上げているわけだが、このお客様と談笑され握手をされている姿を見れば、こちらの勝手なイメージもアイスコーヒーの氷のように溶けてなくなってしまうというものだ。


結構な音量で軽く3時間近くいたと思うが、全く聞き疲れをしないのにも感心した。


仕事の件でメールが入り始めたので、19時くらいに店を出た。


2013年9月4日記


ジャズ喫茶「ベイシー」
岩手県一関市地主町7-17
0191-23-7331