小説K,氷 -32ページ目

携帯小説ホストの恋愛10~11P

飲んで売り上げをあげる行為をしたくなかったからだ。

ぼくは映画の話しをした。

千尋も映画が好きだったらしく、見た映画を二人で語り合う。

そして、六本目のビールがからになったとき、彼女はチェックしてと言った。

エレベーターの中で交わした言葉は。

「寒いね」

「はい」

それだけだった。

下についたとき、ぼくは千尋に言った。

「今度、映画でも見に行きませんか?」

「うん」

「じぁ、連絡先を教えてもらっていいですか?」

二人で携帯番号を交換した。

千尋からの連絡は思った以上にはやかった。

ぼくがいつ、掛けようか迷う暇もなかったくらいに。

次の日の仕事中、1時を過ぎて、お客さんが適度にお店に来ていた頃だった。

(もしもし)

(千尋ですけど、開いてる?)

お店は正月以外は開いている。

(あいてますよ)

(そうじゃなくて、ユウはあいてる?)

はじめは理解できなかったが瞬時に理解した。

ぼくが千尋に接客できるのか聞いていると。

(あいてますよ)

(今から行くね)

(はい)

ぼくはすぐにオーナーに告げ、カウンターのはしっこにセットした。

ホストの恋愛8~9P

だから、ぼくは千尋に好感をもった。

挨拶だけで。

それに千尋はぼくの好みの顔でもあった。

少し褐色の肌に、目がおおきくて、清楚な印象をうけた。

白いスーツがそうした印象をうえつけたのかもしれない。

ぼくは何を話そうか迷っていた。

頭の中にいろんな会話が交錯する。

年齢、仕事、趣味、恐い話しなど………

口火を切ったのは千尋のほうだった。

缶ビールを持ち

「飲む?」

「いただきます」

ぼくはグラスを他のスタッフにお願いする。

すぐにビールグラスがスタッフからスタッフへと、行き着きぼくのもとへやってきた。

グラスを傾けるとすぐにビールは注がれた。

ぼくは三分の二ほど口にいれる。

一気に飲みほしたい気分だったが、それはしなかった。

ホストの恋愛5~7P

プライド………この世界で少しでも有名になりたいという、ほかからみればただの虚栄心にしかみえないプライドだ。

運がよければ一ヶ月で顧客がつく。

誰かの客が友達を連れてきた場合、その友達はフリーだからだ。

だからヘルプについたら顧客にしようとみんながもがくのだ。

後はキャッチにでて、店に連れてあがる。

それから、休みの日には、ナンパなどをすることもあった。

初めての顧客はキャッチで捕まえた。

つかまえてきたのは、勇作、後輩だった。

勇作との会話がいまいちもりあがらなく、彼女は退屈そうにしていた。

そんな彼女を見て、オーナーはぼくに言った。

「ユウ、勇作のヘルプについて」

「はい」

そうこたえ、彼女を見た。
彼女は白いスーツをきていた。

ブッラクライトが彼女の白いスーツを一際綺麗にみせていた。

ぼくは彼女の前に立ち、挨拶をかわした。

「はじめまして、ユウです」

「はじめまして、千尋です」

丁寧に挨拶をかえしてくれた。

だいたいのお客さんは挨拶を聞き流す。

そして名前も尋ねて、はじめてこたえる。

それが普通だと思っていた。