ソメモノカズラ
縁あって、「よなかま図鑑」というのを作らせてもらった。
与那国の仲間、よなかま。
ヨナグニミナミボタル、ドナンコバンノキ、ヨナグニカモメヅル・・・
調べたくても、市販の一般向け図鑑では載っていない種を多く取り入れた。
そもそも与那国では、身近な動植物でも、普通の図鑑には載っていないことが、当たり前。
それを少しでも補いたいとの思いがあった。
これは、特に与那国島に限った植物ではないが、ソメモノカズラ。
藍色の染料が取れることから、その名がある。
よなかま図鑑では、与那国では染色に使うという話は聞いたことがありません、と、解説に書いた。
ひと月ほど前、それほど親しくもないオバアが、よたよたと歩きながら訪ねてきた。
アンタの作った図鑑に載っているソメモノカズラはどこにあるか?
と言う。
仏頂面のオジイに連れられてくるものだから、また怒られるのかと思ったよ。
オバアは機織りをしていて、絹糸の染色もしている。
よなかま図鑑見てくれたんだね。
ソメモノカズラは与那国島では、あまり多くない。
今度、おうちに届けるよ、と約束した。
届けてから、数日後、またよたよたと歩きながらオバアが訪ねてきた。
オバアが嬉しそうに手にした絹糸は、藍色に染まっていた。
僕も嬉しかった。

