ラストパス 6 | Jリーグが好きやねん

Jリーグが好きやねん

サッカー小説をのんびりと!

予想以上の大阪の攻撃に浮き足立つ名古屋は、スローインからのパスを自陣で奪われ、再び守備につく。

今度は左サイド。
同じく、6人で密集しダイレクト、ワンタッチでボールを回す。


少し引いた位置の近藤から、またも強いパスが縦に入る。
相手を背負っている倉木の、1m内側へ。


 よっしゃ


倉木は横にステップしトラップ・・・
と見せかけてスルーし、一気に反転した。


ボールに触れることなくマークをはがした倉木は一気にペナルティエリアへ。

カバーに入った名古屋CBリオ。


 来るか?出すか?打つか?


すべての選択肢は防げない。
まず防ぐべきはシュートで、次に抜かれることだ。

リオはシュートコースを消し、内側のドリブルコースを消した。



倉木はトップスピードのまま、アウトサイドで中へパスを送る。ややマイナスに。
ペナルティアークから走り込むのは二海。


 これ打たせたらやべえ!


名古屋CBが必死に足を伸ばす。


 間に合え・・・!



二海は、そのマイナスのボールをスルー。


後ろからはフリーの近藤が、ボールではなく、ゴールとキーパーの位置を見ながら走り込んできた。
そこにボールが来ることが、わかっていたかのように。


 やられた・・・!


近藤はボールに目を戻し、力の抜けた小さいフォームで、ボールを送り込んだ。
インサイドで放たれたシュートは、弧を描きながら名古屋ゴールの右上隅へ飛んでいく。

名古屋キーパー奈良沢は、二海のスルーでタイミングを外され、飛ぶこともできずにボールを見送った。



ガン!


近藤のシュートはバーに当たり、ゴールラインを割った。


何事もなかったかのように、淡々と自陣へ戻る近藤。


対して、開始10分で2度も完全に崩され、フリーのシュートを打たせた名古屋は、大阪の攻撃力に戦慄していた。

10分とはいえ、ポゼッション率はほぼ100対ゼロ。
チャンスはおろか、大阪陣内にボールを運べてさえいない。
いや、まともにボールに触れてさえいない。



「Five!」

ピッチ中央からの声に、名古屋の全員が振り向いた。
イヴァンが、五本の指を掲げながら指示を出していた。

「Five!」



「うん、そうだな」
奈良沢は納得したように頷き、DFに指示を出した。
「ダニーを下げて5バックだ。で、ラインを下げる。ペナルティラインまで下げるぞ」

 ブロックの前なら、いくらでも回させろ
 ミドルは多少打たれても仕方ない
 とにかく、エリア内から打たせないようにしよう



結果、次の大阪の攻撃は、防げた。

飛び込まず、DF5枚が絞って中央を固める名古屋に、大阪は攻めあぐねる。
裏にスペースはなく、バイタルにも3枚が戻っている。
前線にはイヴァンとクリントンだけを残し、8人で守る。
確率の低いミドルが外れて、大阪はボールを失った。