予想以上の大阪の攻撃に浮き足立つ名古屋は、スローインからのパスを自陣で奪われ、再び守備につく。
今度は左サイド。
同じく、6人で密集しダイレクト、ワンタッチでボールを回す。
少し引いた位置の近藤から、またも強いパスが縦に入る。
相手を背負っている倉木の、1m内側へ。
よっしゃ
倉木は横にステップしトラップ・・・
と見せかけてスルーし、一気に反転した。
ボールに触れることなくマークをはがした倉木は一気にペナルティエリアへ。
カバーに入った名古屋CBリオ。
来るか?出すか?打つか?
すべての選択肢は防げない。
まず防ぐべきはシュートで、次に抜かれることだ。
リオはシュートコースを消し、内側のドリブルコースを消した。
倉木はトップスピードのまま、アウトサイドで中へパスを送る。ややマイナスに。
ペナルティアークから走り込むのは二海。
これ打たせたらやべえ!
名古屋CBが必死に足を伸ばす。
間に合え・・・!
二海は、そのマイナスのボールをスルー。
後ろからはフリーの近藤が、ボールではなく、ゴールとキーパーの位置を見ながら走り込んできた。
そこにボールが来ることが、わかっていたかのように。
やられた・・・!
近藤はボールに目を戻し、力の抜けた小さいフォームで、ボールを送り込んだ。
インサイドで放たれたシュートは、弧を描きながら名古屋ゴールの右上隅へ飛んでいく。
名古屋キーパー奈良沢は、二海のスルーでタイミングを外され、飛ぶこともできずにボールを見送った。
ガン!
近藤のシュートはバーに当たり、ゴールラインを割った。
何事もなかったかのように、淡々と自陣へ戻る近藤。
対して、開始10分で2度も完全に崩され、フリーのシュートを打たせた名古屋は、大阪の攻撃力に戦慄していた。
10分とはいえ、ポゼッション率はほぼ100対ゼロ。
チャンスはおろか、大阪陣内にボールを運べてさえいない。
いや、まともにボールに触れてさえいない。
「Five!」
ピッチ中央からの声に、名古屋の全員が振り向いた。
イヴァンが、五本の指を掲げながら指示を出していた。
「Five!」
「うん、そうだな」
奈良沢は納得したように頷き、DFに指示を出した。
「ダニーを下げて5バックだ。で、ラインを下げる。ペナルティラインまで下げるぞ」
ブロックの前なら、いくらでも回させろ
ミドルは多少打たれても仕方ない
とにかく、エリア内から打たせないようにしよう
結果、次の大阪の攻撃は、防げた。
飛び込まず、DF5枚が絞って中央を固める名古屋に、大阪は攻めあぐねる。
裏にスペースはなく、バイタルにも3枚が戻っている。
前線にはイヴァンとクリントンだけを残し、8人で守る。
確率の低いミドルが外れて、大阪はボールを失った。