試合前のミーティングが終わった大阪ロッカールーム
あと数分で選手入場というとき、金髪でふてぶてしい面構えの安井は、、、、カチンコチンに緊張していた。
「おまえ、なに縮こまってんねん?」
近藤がどこか抜けた調子で安井に声をかけた。
「近藤さん・・・」
「名古屋、俺んとこ狙ってきますかね・・・?」
安井はうつむいて近藤に問いかけた。
安井は、これまでとレベルの違う名古屋が、自分を狙うことに恐怖していた。
「当たり前やんけ、名古屋やなくてもお前狙うわいや」
ずーん・・・・・・・
「今までの相手も全部お前狙いやったやんけ、何をいまさら」
安井は胃が上がってくるような錯覚をうけた。
見た目は小生意気でも若干1年生の大舞台、それもこれまでとは比較にならない強豪が、自分を弱点として狙ってくる。
「狙われたら、どないしたらいいんすか?」
「気合いで止めんかい!!」
横から声を出したのは、FWの3年板東。
「お前抜かれたらアウトやぞ!抜かれんなよ?絶対抜かれんなよ!!」
この人、1年生に向かって・・・プレッシャーをやわらげたろとか思わんのか・・・
だいたいアンタかてしょっちゅう決定機外してるやんか・・・
FWは気楽でええのう・・・
「安井!」
次に声をかけたのはキーパーでこれまた3年の本田。
「お前のせいで負けたら殺すでホンマ・・・」
あかん!こいつらあかん!頭悪すぎるやろ、3年のくせに!
「お前ら、やめとけや・・・」
割って入ったのはキャプテンの山田。
「安井、守備はまあ・・・・・・・なんとかがんばれや」
「それより」
山田が続けた。
「攻めてこんかい」
安井が山田を見上げる。
「攻めて攻めて攻め倒せ」
「おう、張り倒したろうぜ」
板東が続く。
近藤も安井に声をかける。
「俺が持ったら、とにかく上がれ。後ろは気にすんな。点取られるとか心配する前に、点取ってナンボやろうが」
「おう、ビビんなよ」
「どつきあいにしたら勝てるわい」
「は、ハイ!!」
そして、選手入場。