対する名古屋ロッカールーム。
ホワイトボードの前に立つ監督も小さい方ではないが、立ち並ぶ選手の前で、一際小さく見える。
名古屋のスタメンは平均で180cmを優に超える。
監督は、選手に語った。
「大阪の攻撃力は、ハンパではない」
大阪はこの準決勝までの4試合で、15得点をあげている。
実力差の大きかった初戦の7得点を除いても、3試合で8得点。
サッカーは、そう簡単に点が入るスポーツではない。
大阪の場合、その攻撃力を支えるのは、フォワードではなく中盤である。
大阪の攻撃は、そのほとんどがボランチの近藤(2年)を経由する。
派手さはないが、プレーにほとんどミスがない。
パスを受けては、簡単にさばく。
短いパスを、延々と繰り返す。
危険さはなくても、相手はパスに合わせてポジションを動かす。
危険でなくても取れる可能性もない、そして動かないと、ないはずの危険が生まれる。
これは疲れる。
かと思えば、いきなり縦にクサビのパスが入る。
または、逆サイドに大きなサイドチェンジが送られる。
それを受けるのは、攻撃的ミッドフィールダーの二海(2年)と倉木(1年)。
技術の高い大阪においても際だったテクニックを持つ2人は、4-4-2のシステム上はサイドハーフに位置するが、ほとんどサイドにはいない。
特にボールを持つと、どんどん中へ入ってくる。
2トップの板東(3年)と大代(2年)
中に入ってくる二海と倉木
上がってくる近藤
さらに、サイドバックまでが、近藤のパスをスイッチにして、敵陣バイタルエリアに密集する。
大阪は密集した中でめまぐるしくポジションを入れ替え、短いパスをつなぎ続ける。
相手も同数以上が集まる。
敵は、人の多さとマークの受け渡しに混乱し、ボールにいけなくなる。
いけば、そこをが空く。
空ければ、大阪の誰かがそこを使う。
その恐怖に足が止まる。
そして、足が止まった瞬間に、密集を抜けるパスが出され、集まったディフェンス全員が置いていかれる。
人数をかけてブロックを作っても、それを高い技術とパスワークで中央突破するのが、大阪の攻撃だった。
この大阪の攻撃は、高さと対人能力で守る名古屋にとっては相性が悪かった。
「しかし」
名古屋の監督は続ける。
「大阪の守備は、インターハイのレベルではない」
そこに勝機があった。