ふぉん・しいほるとの娘(下)吉村 昭 (著) (新潮文庫) Kindle版
※イネの幼少期から父との関係など、前半の物語は上巻で描かれています。
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下巻では二宮敬作の愛媛県西予市宇和町に到着して楠本イネとしての自立の生活が始まりました。
ここで医学の基礎を十代後半から二十代前半まで学びました。
そして父の影に少し近づいたと思います。
その後、産科医の習得のため石井宗謙の元で学びます。
全てが順調でしたがある出来事が彼女の人生を揺るがします
そのことで長崎の実家に戻ってしまいます。
そこから彼女の苦悩が始まります。
ノンフィクション小説は夢を見させてくれない物語ですね。
ネタバレしたくないのではっきり言いませんが、この問題の出来事は歴史上、唯一の証言は娘(タダ)の手記でしか残っていませんでした。
知りたい方はウキペディアのリンクを見てください。
しかし、娘(タダ)が生まれたことでイネと母(其扇)は強く生き抜いたのだと思います。
またシーボルトの人脈が彼女たちを助け、更には血の継承となってきます。
そしてついに時代が変わり、父(シーボルト)が戻ってきます。
しかも息子を連れて来ます。
私の印象は2度目に来日したシーボルトが尊敬できる人ではなくなってしまったことです。
それはさておき時代は明治に入り、イネも産科医として福沢諭吉から絶賛されるようになりまたシーボルトの息子アレクサンダーも立派になり日本でも父を超える存在になって楠本一家を助ける存在になってました。
シーボルトの遺伝子はやはり優秀でした。
ハーフとして生まれ日本で初めての自分の足で女医として家族を支えた苦難に満ちた人生をこの本で一緒に歩めたことはとても心に残りました。
読んだ後も色々調べて以下のようにドラマ化されてました。
・1970年:NHK『オランダおいね』で初のドラマ化。中学生にも届くような教育的・情緒的な演出。
・2000年:『おいね~父の名はシーボルト』で再び映像化。市川森一の脚本で、手記に忠実かつ詩的な描写。
次はきっと2030年にCGを使ってドラマ化してほしいですね。
吉村昭作品は時代背景を淡々と語る場面が特に下巻は感じられました。 そのため他の人の感想を見たら長すぎると言う人もいます。 私は激動の日本をもう一度見たような気がしました
吉村昭は、感情を描かずに事実の積み重ねで読者の心を揺さぶる作家です。
この作品で十分に感動しましたが女性の作家さんだったらイネをどう描くか見てみたいと思いました。
もしかしたら2030年の脚本になる小説を女性作家の方、書いて頂けないでしょうか?
最後にヨセファ・フォン・シーボルト(楠本イネ)ありがとう💛
追伸:
カバーの絵はCopilot作 唐蘭館図(蘭船入港図)
登場人物はシーボルト、イネ、母、オルソン
本物は長崎歴史文化博物館へ

