「月まで三キロ」伊与原新 著
星の運航のように、人の生死は変えられない。
それでも、人との出会いは、未来を照らす。
『月まで三キロ』は、そんな一瞬の交差が、静かに心に残る物語でした。

SFが好きで『月まで三キロ』と「エイリアン食堂」が気になって選びました。
決して宇宙人は出てこないですがアンディ ウィアの「プロジェクト・ヘイル・メアリー」など読んでいると、つい惹かれます。
私にしては歴史小説から離れるのも昨年読んだ「運転者」から久しぶりです。
この作家さんのことも知らず「月まで三キロ」を読みました。
最初の印象は科学のことがとても詳しいし人で地質学などとても説得力を感じました。
この本は私が以前読んだ歴史小説「フォンシーボルトの娘」など史実ですが自然の摂理と人間の営みを同じように感じました。
物理法則や自然は常に同じ方向に流れているもので決して自分たちの力で変えることは出来ない。
そのような中で人間はどう生きるのかを考えさせられました。
また本の中で一番人気の「エイリアン食堂」のプレアさんの不思議な行動、すべてを科学に捧げながら、どこか肩の力が抜けている――そんなプレアさんの姿勢がとても好きです。
しかし、人はそれぞれの持つ痛みと孤独を抱えています。
そんな中で出会った食堂を経営する親子との距離感、読んでいるととても切ない思いに駆られます。
この三人が家族になれたら――そんな願いが胸をよぎりました。
でも、それは叶わないと知っているからこそ、切なさが募ります
3人とも寂しさを抱えています。 しかしそれぞれの立場が有ります。
それでも、橋の上で一瞬だけ心は通じ、夢を見ることができました。
この先は読者の創造でしかないです。
もっと先が見たくなります。
作者は伊与原新さんを全く知らなかったので調べました。
東京大学大学院卒の理学博士で、自然科学を背景にした小説を多く執筆されています。
なるほど、自分の思考と響き合うからこそ、深い共感が生まれるのですね。
アンディ ウィアも科学者で理系の視点から書く小説だから、特に好きなのかもしれません。
「月まで三キロ」題名で選びましたが私の読書の系統を継承しています。
運命とまでは言いませんが何かに導かれるように、この本を手に取っていたのかもしれません。
また、この本を読んでいて次の本は『センス・オブ・ワンダー』を選びました。
自然を愛する科学者で『沈黙の春』の著者の遺作です。(まだ読んでません)
また、静かに自分を見つめたいと思います。
