あせもには、3種類ある
あせもは、エクリン腺という皮膚表面に開いた、汗を出す管(くだ)が詰まることによってできます。
この汗を出す管の「詰まる場所」の違いによって、
1) 水様性汗疹(すいようせい・かんしん)
2) 紅色汗疹(こうしょく・かんしん)
3) 深在性汗疹(しんざいせい・かんしん)
この3つのタイプがあり、見た目など、特徴も違ってきます。
「あせも」のことを専門用語でいうと汗疹(かんしん)というので、このような難しい呼び名になるんですね。
では、ざっくりとそれぞれの汗疹の特徴を見ていきたいと思います。
1) 水様性汗疹(すいようせい・かんしん)
角層(かくそう)を構成するタンパク質、ケラチンが汗の出口をふさいでしまうためにできるあせもを、水様性汗疹とよびます。
症例写真:水様性汗疹(すいようせい・かんしん)
通常、かゆみなどの自覚症状はなく、ぽちぽちした、ちっちゃな水ぶくれが現れます。
赤みはなく、透明な1~3mmほどの水ぶくれだけなので、その見た目から水晶様汗疹(すいしょうよう・かんしん)ともよばれます。
2) 紅色汗疹(こうしょく・かんしん)
表皮内でも、角層よりさらに深いところでエクリン腺がふさがれ、管が拡張してしまうと、紅色汗疹になります。
症例写真:紅色汗疹(こうしょく・かんしん)
こうなると、汗が表皮の中にもれ出してしまい、炎症をおこすため、かゆみも発生し、湿疹化しやすくなります。
ブツブツした赤みのある、一般的によく見る「あせも」は、この紅色汗疹であることが多いですね。
3) 深在性汗疹(しんざいせい・かんしん)
表皮のさらに下、真皮(しんぴ)の上層でエクリン腺がふさがれてしまうと、深在性汗疹になります。
症例写真:深在性汗疹(しんざいせい・かんしん)
深在性汗疹の場合、汗が真皮内にもれ出ることになり、熱が皮膚にこもってしまい、ときには汗が出なくなり、熱中症になってしまうこともあります。
ただ、深在性汗疹は、熱帯地方や長時間高温の中で仕事をするなど、異常な多湿高温にさらされることがなければおこりません。
そのため、日本ではまず、深在性汗疹のような重症のあせもは見られないといわれています。
あせも予防で、化膿(かのう)しないように
水様性汗疹のように、角層内に汗がたまってしまうパターンでは、普通、角層がはがれる2日後ぐらいには、自然に治ってしまいます。
特別な治療はいりません。
一方、よく見かける紅色汗疹のタイプは、かきむしってしまうと化膿(かのう)して、うんでしまうこともあります。
あせも自体はあまり長引くものではないですが、化膿してしまうと治療が難しくなってしまうことも。
ときには、とびひなどのきっかけになってしまうこともあります。
化膿してしまったあせもは、汗腺膿瘍(かんせん・のうよう)、膿疱性汗疹(のうほうせい・かんしん)などとよばれます。
一般的には、昔から「あせものより」といわれているものです。
症例写真:汗腺膿瘍(あせものより)
こうした細菌に感染してしまったようなあせもは、抗菌薬(抗生物質)の塗り薬、さらには飲み薬を使うなど、治療が複雑になることもあります。
通常、アトピーでなければ、あせもはていねいなケアをしていくと、徐々に治っていくことも多い症状。
ある程度なら、薬を使わなくても済んでしまうんですね。
とはいっても、赤みのあるブツブツしたあせもが引かない時は、お医者さんに診てもらい、場合によってはステロイド外用薬で炎症をおさえてあげることも大切です。
さらに大事なのは、あせもの予防です。
エクリン腺という管が途中でふさがれてしまうことで、あせもはできてしまいます。
そのため、汗をかく夏場などは、ちょっとした心掛け。エクリン腺がふさがれないよう、4つのケアをしてあげることが、あせもの予防につながります。