TARC値という血液検査項目
こんにちは。橋本です。
アトピーの血液検査項目に、TARC(ターク)というのがあります。
これは、アトピー症状の重症度を知るための検査項目です。
数値が高いと、アトピーが重症。低いと軽症。
カンタンにいうと、それを知るための検査項目。データです。
「TARC値」と「皮膚の炎症の強さ」。それがほぼイコールになるだろう、ということになっています。 1, 2, 3)
アトピー治療のポイントのひとつ。
それは、「症状の強さに合わせたランクのステロイド外用薬を選択すること」です。
弱すぎるものでは、皮膚の炎症が治りません。
強すぎるものでは、不必要な副作用が出てしまいます。
症状に見合った強さのステロイド外用薬を使うことで、皮膚をいい状態にできるわけですね。
その重要なステロイド外用薬の選択、変更するときに、「TARC値」が参考にできます。
ただし、TARC値は、あくまでも「参考」にとどめるべきデータです。
アトピー症状の重症度は、皮膚をみて判断するのが基本。
皮膚をみるトレーニングを積んだお医者さんが、皮膚を「目で見て」「触って」、重症度を判断する。
それが基本です。
TARC値というのは、データが数字で出ます。
「皮膚をみた感じでは」というより、TARC値という数字のほうがわかりやすいですよね。
そのため、治療を進めていく中で、TARC値を取ってみて、「順調に下がってますね」。
症状が悪化していたら、「やっぱり上がってますね」と。
現在の症状の傾向を知る。その参考データにするのが、TARC値の正しい使い方です。
TARC値だけを根拠に、薬を選択したり、治療方針を決めることはありません。
「皮膚をていねいに診察する」のが、アトピー症状の重症度をみる基本。
その上で、TARC値は、さらに治療方針に迷う際の判断材料。補助的なデータです。
参考文献:
1) 中村晃一郎, 玉置邦彦: 日本皮膚アレルギー学会雑誌, 13: 1-7, 2005.
2) Tamaki, K. et al.: J. Dermatol., 33: 300-302, 2006.
3) Kakinuma, T. et al.: J. Allergy Clin. Immunol., 107: 535-541, 2001.