かゆみ神経は伸びる
こんにちは。橋本です。
肌にある「かゆみを感じる神経」は、伸びることがあります。
健康な肌だと、かゆみの神経が、表皮の手前で止まっています。
これが正常です。
しかし、炎症を繰り返した皮膚では、かゆみの神経が、表皮の中にまで伸びることがあります。
湿疹。つまり、炎症の繰り返しで、皮膚がダメージを受けるとどうなるか?
肌が本来持っている、刺激やアレルゲンをバリアする機能。
バリア機能が壊れて、皮膚内に刺激が入りやすくなります。
さらに、その刺激を受け取る「かゆみ神経」が皮膚表面近くまで伸びると、より強いかゆみを感じるようになってしまいます。1)
このことは理論上だけではなく、実際に、アトピー性皮膚炎患者の皮膚で確認されています。
かゆみ神経が伸びて、かゆみを感じやすい。
かゆみがおきやすい、敏感な肌になってしまうんですね。
問題なのは、これだけではありません。
一度、かゆみ神経が伸びてしまうと、薬で炎症をおさえても、かゆみ神経が元に戻るまでに、どれぐらいかかるのかわかりません。
薬でかゆみ自体をおさえることはできます。
しかし、伸びたかゆみ神経を、戻すことはできません。
炎症のおきない状態を、なるべく長くキープして、徐々にかゆみ神経が正常に戻るのを待つしかありません。
つまり、何が大事かというと、
炎症がおきたら、できるだけ早くおさえてあげたほうが、かゆみ神経が伸びるのもおさえられる、ということです。
神経が伸びてから対応する。
よりも、神経が伸びる前に対応したほうが、効率がいいんですね。
せっかく炎症をおさえられても、神経が伸びて、かゆみを感じやすいと、また炎症がおきやすくなってしまうわけです。
炎症を繰り返した皮膚では、かゆみの神経が、表皮の中にまで伸びることがある。
これも、おきた炎症は早めに手を打ったほうがいい。
その理由のひとつなのです。
参考文献:
1) Tominaga M, Takamori K: Recent advances in pathophysiological mechanisms of itch. Expert Rev Dermatol, 5: 197-212, 2010.