尾道から東京への老夫婦最後の旅行。
都会での子供たち家族とのやり取りは、戦前のゆったりした家族の中で暮らしたであろう両親に対し、せわしない都市生活と共に核家族化の到来を突き付けるものとなっている。
長男も長女も(そう、末娘も)先生と呼ばれる職につき、忙しさから両親の相手が出来ず、独身の三男も時間に追われる鉄道員である。唯一老夫婦を和ませるのは戦死した次男の嫁、しかし彼女には再婚して欲しいと(=家族で無くなること)願う相手でもある。
子ども達がそれぞれ家族を作り、やがて離れて行くのは昔から変わりません。しかし、戦後の経済発展と都市化は、否応無くそれまでの大家族を崩壊させました。多くの国の人々が同じような不安を感じていた1950年代、小津監督の作品が世界中で共感を得たであろうことを感じます。
「東京物語」を下地に作られた山田監督の「東京家族」を観ていて想像していたのとは少し違いました。ストーリーはほぼ同じでしたが、ある設定の違いが、見終わった後の印象を変えているのです。是非、見比べて欲しいですね。