松竹120周年祭とのことで、小津安二郎特集をやっています。1962年の作品です。
老いと孤独がテーマ。妻に先立たれた初老の男が、自分の身勝手さを悟り、娘を嫁がせることで、老いと孤独を受け入れる物語。
哀愁漂う作品で、秋刀魚は出てきませんが、人生の秋を感じさせる題名です。
主人公やその同級生達の視点で描かれていますが、女性の視点から見たらどうなのでしょう?映画のポスターには、嫁ぐ娘を見守る父の慈愛とありますが、どうなのでしょう。
主人公達が憐れむ恩師とその娘。母が亡くなり「行かず後家」となって、老父の世話に明け暮れる娘。確かに哀しい人生に見えます。
一方で、突然嫁に行けと迫られ、想い人はいるか?と問われ、叶わぬ想いであった事を父と兄から告げられる娘。見合いして結婚したことが、果たして幸せだったのか。
彼女たちの人生は自分の意志で選んだと言えるのか?
冒頭で、主人公が部下の女性社員に、歳を聞き、結婚は未だかと問う場面。今だったら、セクハラ、パワハラと言われかねません。
当時だから許される表現だったと取るのか?否、男視点で描くことで、男女の不平等を訴えていると取りたい。