クローンは故郷をめざす(映画批評下書き) | ヤマモト探険記

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気の向くままの街歩き。

近未来SFです。
低予算ではありますが、そのSF的発想はレベルが高いです。

クローンの恐ろしさや技術の悪用と言った、ありがちな設定ではなく、〝クローンとなって、生き続けること〟を問うています。

そして、クローンとオリジナルとの関係をこれまでにない発想で語ろうと試みています。
このアイデアは大変ユニークで、アジア的・日本的だと思います。
映画のなかで、研究者により、仮説として披露されますが、もっと踏み込んだ解説をして欲しかったです。
全般的に、物語のいくつかポイントが観客の想像に委ねられており、物語に乗れない者には、消化不良を起こしてしまいます。
特に〝共鳴〟に関する説明不足は、この物語をSFでなく、オカルトにしてしまい、大変に残念です。
(博士にもっと語って欲しかったです。)

一方で低予算を逆手にとった演出は、上々でした。

また、永作博美の、夫がクローン再生されるとの説明を受ける妻の演技は、人類の誰も経験したことのない感情を、上手に表現したと思います。

是非、大資本による、同じ監督を起用してのリメイクを期待したいです。