戦国随一の智将「毛利元就」の謎④[三矢の訓えの真相] | 跡部蛮の「おもしろ歴史学」

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 生涯を通じて智略の限りを尽くし、軍記物に多くの逸話を残した毛利元就。

 

 智略の中には、謀略によって敵方を弱体化させ、あるいは敵方の人間に甘言を弄して寝返らせる「計略」「調略」も含まれます。

 

 どちらかというと陰湿なイメージを抱かせる戦術ですが、元就の場合、後世に陰湿な印象を残していません。

 

 それはひとえに元就の人柄によると考えられます。

 

 その象徴が有名な「三矢の訓え」でしょう。

 

 矢が1本だと簡単に折れるが、3本合わさると折れないという例の訓話です。

 

 江戸時代中期に成立した『常山紀談』に引かれ、戦前の国定教科書にも掲載されました。

 

 その話は西洋の『イソップ物語』の中の寓話を拝借したものだという説もあり、本当に元就が3人の息子(毛利隆元・吉川元春・小早川隆景)にその訓えを残したかどうかは微妙です。

 

 しかし、3本の矢の話こそでてこないものの、事実上、元就はそれに類する話を3人の息子に残しています。

 

 元就61歳の弘治3年(1557)、3人に宛てて14箇条に及ぶ教訓状を送り、「三子教訓状」と呼ばれています。

(つづく)

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